ものづくりプレス

2024-07-19

スチレンブタジエンゴム(SBR)とは?

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スチレン・ブタジエンゴム(SBR)とは

スチレンブタジエンゴム(SBR)は、スチレン(styrene)とブタジエン(butadiene)を共重合して作られる合成ゴムです。
SBRは天然ゴムに類似した性質を持ち、低価格であるため、合成ゴムの中で最も多く生産・消費されています。
その品質は安定しており、異物の混入が少ないのも特徴です。
SBRの重合方法には、乳化重合によるE-SBRと溶液重合によるS-SBRの2種類があります。


◇乳化重合SBR(E-SBR)

ラジカル重合によって製造され、標準的なものはスチレン含有量が23.5%です。
タイヤや防振ゴム、一般工業製品に広く利用されており、SBR全体の生産量の約80%を占めています。


◇溶液重合SBR(S-SBR)

アニオン重合で製造され、E-SBRに比べて分子構造の自由度が高いです。
ポリマー構造や末端修飾を目的に応じて選択できるため、生産量が徐々に増加しています。
特に、制動性と低燃費性を兼ね備えた低燃費タイヤに使用されています。


スチレンブタジエンゴム(SBR)の特徴

◇メリット

SBRは物性のばらつきが少なく、加工性に優れています。
さらに、耐熱性、耐摩耗性、耐老化性にも優れています。
品質が安定しているため、合成ゴムの中で最も生産・消費されています。


天然ゴム(NR)は超高分子量成分を含むため素練りが必要ですが、SBRは適切な粘度に調整されているため、素練りせずに直接混練することが可能です。


◇デメリット

天然ゴム(NR)と比較すると、機械的強度が劣ります。
また、加硫が遅いため、NRより多くの加硫促進剤を使用する必要があります。


SBRは二重結合を持つため、耐候性が低いです。


E-SBRは、スチレン含有量が増加すると、ベンゼン環の影響で分子間力が強くなり、引張強度が向上します。
しかし、分子鎖の熱運動が制限されるため、弾性や耐寒性が低下します。


スチレンブタジエンゴム (SBR) の主な用途

SBRは機械的強度や耐摩耗性などの性能が優れており、加工がしやすいことから、自動車タイヤ、防振ゴム、一般的な工業製品など、幅広いゴム製品に利用されています。
しかし、耐油性が低いため、パッキンやオイルシールには適していません。


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