ものづくりプレス

2024-07-24

加硫促進剤の歴史

ゴム製品の製造で、素練りの後に行われる加硫は、製品の品質を決定する非常に重要な工程です。
この工程で使用される加硫促進剤は、古くから多くの研究が行われ、数多くの種類が開発されてきました。
これらの加硫促進剤は、適切に組み合わせることで優れた効果を発揮しますが、使い方を間違えると大きな損害を被る可能性があります。
そのため、薬剤の選択と使用方法には特に注意が必要です。


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加硫促進剤の歴史

1906年、オーエンスレーガーはアニリンが加硫を促進することを発見し、有機系加硫促進剤の使用が始まりました。
しかし、アニリンは毒性があるため、その翌年に毒性を改善したDPTU(チオカルボアニリド)が開発されました。
同時期にはHMT(ヘキサメチレンテトラミン)も使用されていました。
1912年には、ジチオカルバミン酸塩系のPPDC(N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩)が発見されました。
1915年にはキサントゲン酸塩系の加硫促進剤が見つかり、1918年から1922年の間に、
ジチオカルバミン酸金属塩、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPG(ジフェニルグアニジン)、
MBT(メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ベンゾチアジルジスルフィド)といった多くの加硫促進剤が次々と発見されました。
1932年には、スコーチ時間が長いスルフェンアミド系加硫促進剤が発見され、1930年代には現在の加硫促進剤の基本的な化学構造がほぼ完成しました。


初めて国産化に成功した高品質の加硫促進剤は,1931年のジフェニルグアニジン(DPG)です。
1933年からMBT,MBTSおよびTMTDが国産化されるようになり,輸入品から国産品へと移り変わっていきました。


加硫促進剤は単独使用だけではなく、複数の種類を組み合わせて使用されることが多いです。
現在さまざまな加硫促進剤が使用されていますが、ほとんどは数十年前に開発されたものであり、昔と比較して大きく変化していないこともあります。
このように、有機加硫促進剤はゴム工業において重要な役割を果たしてきました。


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