ものづくりプレス

2024-07-26

ブロー成形と射出成形の違い

プラスチック成形にはブロー成形と射出成形があり、どちらも溶かしたり柔らかくした樹脂を金型に入れて成形を行います。

射出成形では、液体に近い状態の樹脂を金型に注入して成形します。

ブロー成形では、筒状のシート状樹脂を金型に入れ、内部から膨らませて成形します。


しかし、金型に樹脂を入れるだけでは、狙った形状には成形されません。 細かい部分、深い部分、複雑な部分、アンダーカットなどを早く正確に成形する必要があります。

金型はこれらの要素を十分に考慮した設計が必要です。

G

◇圧力のかけ方の違い


射出成形では、溶かした樹脂を金型に注入して成形します。


樹脂は、

①スプール→②ランナー→③ゲート→④成形品部 

という順で金型に入っていきます。

射出成形では、ドロドロの材料を細いランナーやゲートを通して製品の隅々にまで行き渡らせます。

そのためには非常に大きな力で材料を金型に注入する必要があります。 また、

金型の合わせ面(PL)から樹脂が漏れないように、さらに強力な力で金型を締め付ける必要があります。


具体的な数値としては、

成形圧力(材料を注入する力):300~500 kgf/㎠

型締圧力:180トン~1,800トン(当社所有の成形機)

このように高い圧力が必要となります。


一方、ブロー成形は大気開放系と呼ばれる製法で、そこまで大きな力はかかりません。

具体的な数値を言うと、

ブロー圧力(金型内で空気でパリソンを膨らませる圧力)・・・5~8kgf/㎠

型締め圧力・・・70~200トン となります。


射出成形は金型に大きな圧力がかかるため、強度の高い金型材質(S55CやSCM440)が必要です。

金型のたわみを計算し、厚みや補強を設けます。

ブロー成形では、空気で樹脂を膨らませるため、金型にかかる力は少なく、金型の厚みも薄くて済む場合があります。

この部分を比較すると、ブロー成形金型の方が材料費は安く済むのかもしれません。


ブロー成型でパリソンを金型に押し付ける力は空気によるもので、パリソンを大気中にさらした後、金型で挟んで成形します。

そのため、複雑な形状の箇所には、パリソンと金型の間に空気が残ることがあります。

この状態で成形を行うと、「エアー溜まり」という不具合が発生し、金型通りの形状が転写されません。



この問題を解決するために、金型には「ガス抜き」や「バキューム」といった構造が設けられています。

「ガス抜き」は空気を逃がす穴で、「バキューム」は金型とパリソンの間の空気を吸い出す穴です。

軟らかい材料の成形にはガス抜きを、刻印のように転写が難しい部分にはバキュームを、硬い材料(発泡材など)の成形にはバキュームを使うことが一般的です。

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