ものづくりプレス

2024-08-20

RoHS指令とは?概要や規制対象の物質を解説!

RoHS指令で守る自然

RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)とは?

RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances Directive)は、電子機器や電気製品に含まれる有害物質の使用を制限する環境規制です。
2003年に欧州連合(EU)によって制定され、2006年から施行されました。
この指令の主な目的は、廃棄された電気・電子機器から有害物質が環境に放出されるのを防ぎ、人々の健康と環境を守ることです。


RoHS指令は、EU市場における電子機器や電気製品に適用されます。
この指令は、製品が市場に出る前に、有害物質の含有量が規制値を超えないようにすることを求めています。
規制対象となる製品には、家電製品、コンピュータ、通信機器、照明機器、電動工具、おもちゃ、医療機器などがあります。


この指令に準拠することで、製造業者は製品が安全で環境に優しいことを証明し、EU市場での販売を可能にします。
RoHS指令に違反した製品は、EU市場に投入することが禁止されるため、製造業者にとっては非常に重要な規制です。

規制対象の物質

RoHS指令では、特定の有害物質の使用が厳しく制限されています。
初版のRoHS指令(RoHS 1)では、以下の6つの有害物質が規制対象とされました。


鉛(Lead, Pb)
水銀(Mercury, Hg)
カドミウム(Cadmium, Cd)
六価クロム(Hexavalent Chromium, Cr6+)
ポリ臭化ビフェニル(Polybrominated Biphenyls, PBB)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(Polybrominated Diphenyl Ethers, PBDE)


2013年に改定されたRoHS 2(2011/65/EU)では、これらの物質に加え、新たに4つのフタル酸エステルが規制対象として追加されました。


フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(Bis(2-Ethylhexyl) phthalate, DEHP)
フタル酸ブチルベンジル(Butyl Benzyl Phthalate, BBP)
フタル酸ジブチル(Dibutyl Phthalate, DBP)
フタル酸ジイソブチル(Diisobutyl Phthalate, DIBP)


これらの物質は、特に環境や人体に悪影響を与えることが知られています。
例えば、鉛は神経系に有害であり、水銀は環境中で生態系に深刻な影響を及ぼします。
フタル酸エステルは、内分泌かく乱物質として知られ、発がん性の懸念もあります。

企業への影響

RoHS指令は、製造業者にとって大きな影響を及ぼします。
企業は、製品設計の段階から有害物質の使用を避け、規制に準拠するための適切な材料を選定する必要があります。
また、サプライチェーン全体での管理が求められ、各部品や材料の供給元に対してもRoHS準拠の証明を要求することが一般的です。


さらに、製品がRoHS指令に準拠していることを確認するためのテストや認証が必要となり、これには追加のコストが発生する場合があります。
しかし、これらの努力により、企業は環境負荷を低減し、消費者の信頼を得ることができます。