ものづくりプレス

2024-09-08

ゴムの劣化を防止するには?

ゴムの劣化は、製品の性能や寿命に深刻な影響を与えるため、その原因を理解し、適切な対策を講じることが非常に重要です。ゴムの劣化は、主に次のような外部要因によって引き起こされます。


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ゴムの劣化の原因

酸化による劣化: 酸化は、ゴムが空気中の酸素と化学反応を起こすことで発生し、ゴムの分子構造が破壊される現象です。この酸化反応により、ゴムは徐々に硬くなり、弾力性が失われ、ひび割れや脆化が進行します。酸化による劣化を防ぐためには、ゴムの製造過程で酸化防止剤を配合することが一般的です。酸化防止剤は、ゴムと酸素の反応を遅延させる役割を果たし、結果としてゴム製品の寿命を延ばすことができます。


オゾンによる劣化: オゾンは非常に強力な酸化剤であり、ゴムに対して特に有害です。オゾンにさらされると、ゴムの表面にひび割れが発生し、これがさらに進行すると製品全体の性能が著しく低下します。オゾン劣化を防止するためには、オゾン劣化防止剤をゴムに加えることが効果的です。また、オゾンの発生が少ない環境での保管や使用も重要な対策となります。たとえば、ゴム製品を保管する際には、オゾンを発生させる電気機器(コピー機、レーザープリンターなど)から距離を置くことが推奨されます。


紫外線による劣化: 紫外線は、ゴム製品が直射日光にさらされることでゴムの分子鎖を切断し、製品の柔軟性を失わせる要因となります。これにより、ゴムは脆くなり、破損しやすくなります。紫外線劣化を防止するためには、紫外線吸収剤をゴムに添加することが有効です。さらに、ゴム製品を保管する際には、直射日光の当たらない場所を選ぶことが望ましいです。


熱による劣化: ゴムは高温環境にさらされると、その弾力性が損なわれ、硬化やひび割れが発生することがあります。特に、繰り返し高温にさらされると、ゴムの化学構造が劣化し、製品の寿命が短くなります。熱劣化を防ぐためには、ゴム製品を使用する環境の温度管理が不可欠です。冷暗所での保管や、直射日光を避けることが効果的な対策です。また、ゴムの耐熱性を向上させるために、熱安定剤を配合することも推奨されます。


機械的ストレスによる劣化:
ゴム製品は、日常的な使用において、引っ張りや圧縮などの機械的ストレスを受けます。これにより、摩耗や疲労が生じ、ゴムの物理的特性が劣化することがあります。特に、過度な負荷や繰り返しのストレスは、ゴムの劣化を加速させる要因となります。これを防止するためには、ゴム製品を適切な負荷で使用し、過度なストレスを避けることが重要です。また、定期的な点検とメンテナンスを行い、異常が見られた場合には早期に対応することで、製品の寿命を延ばすことが可能です。

総じての劣化防止対策

ゴムの劣化を防止し、製品の寿命を延ばすためには、以下のような対策が重要です。


・酸化防止剤の使用: 酸化を遅延させることで、ゴムの硬化や脆化を防ぎます。
・オゾン劣化防止剤の使用: オゾンによるひび割れを抑え、製品の耐久性を維持します。
・紫外線吸収剤の添加: 紫外線からゴムを保護し、強度の低下を防止します。
・熱安定剤の配合: 高温環境下での劣化を抑え、長期的な使用を可能にします。
・適切な保管方法: 直射日光や高温多湿を避け、冷暗所での保管が推奨されます。
・適正な使用方法: 過度な負荷を避け、定期的なメンテナンスを行うことで、ゴム製品の寿命を延ばすことができます。


これらの対策を講じることで、ゴム製品の劣化を効果的に抑制し、性能を維持することができます。製品の用途や環境に応じた劣化防止策を適用することで、ゴム製品の長期的な使用が可能となります。


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