ものづくりプレス
2024-10-01
ゴム金型における喰い切りとは?その構造と加工方法をご紹介
ゴム成形品の製造には、金型が必要不可欠です。金型は、ゴムの形状を正確に作り出すための型であり、これがなければゴム製品を製造することはできません。特に、ゴム製品のバリ(成形の際にできる余剰な部分)を効率よく取り除くために「喰い切り」と呼ばれる重要な構造が金型に備わっています。
本記事では、この「喰い切り」について、その役割や具体的な構造、さらにはどのような加工方法が用いられているかを詳しく解説します。ゴム成形品の品質を左右する重要な要素である「喰い切り」を理解することは、製品の精度や仕上がりに直結するため非常に重要です。
喰い切りの役割
ゴム製品を成形する過程では、バリと呼ばれる余分な部分が発生します。このバリは、ゴム製品の表面や縁にできる微細な突起や余剰物で、成形後にこれをいかに美しく除去するかが製品の品質に大きく影響します。
特に熱硬化性樹脂であるゴムの成形では、コンプレッション成形という手法を使用するため、どうしてもバリが発生しやすくなります。このバリを効率的に除去するために、金型には「喰い切り」という構造が組み込まれています。喰い切りは、ゴム成形品の縁にあるバリを正確にカットし、製品が美しい仕上がりになるようにするためのものです。バリが残っていると、製品の寸法精度が低下し、見た目や機能性に悪影響を及ぼす可能性があるため、喰い切りは非常に重要な役割を果たします。
バリとは
「バリ」とは、金型の合わせ面や突き出しピンの隙間からゴムや樹脂が漏れ出してしまう現象を指します。これにより、成形品の外形からはみ出た部分が形成されます。このバリが残っていると、製品の見た目が悪くなるだけでなく、寸法精度や機能性も損なわれる恐れがあります。
ゴム製品の場合、成形方法の特性上、金型の隙間から材料がわずかに漏れることが避けられず、これがバリとして表れます。バリをきれいに除去しなければ、組み立てや使用時に不具合が生じる可能性があります。このため、成形工程の後にバリを取り除く作業が必要であり、その作業を効率的に行うための工夫が「喰い切り」構造です。
喰い切りの構造
喰い切りは、製品に形成された余剰部分を除去するための金型の構造です。ゴム成形時には、金型の合わせ面(コアとキャビティ)に微細な隙間ができやすく、この隙間から材料が漏れ出してバリが発生します。喰い切り構造は、バリが発生した際にこれを効率よくカットし、製品の外観を整える役割を担います。
しかし、喰い切り構造には、金型のコアとキャビティが接触し、金型自体を損傷させるリスクがあります。これを防ぐため、喰い切り部分には勾配が設けられており、一般的には3°〜5°の傾斜が付けられます。このような勾配により、金型が過度に接触しないようにしながら、バリを効果的に取り除くことが可能です。
喰い切り構造の種類
喰い切り構造には主に2種類のタイプがあります。1つは「V字喰い切り」、もう1つは「ブロック喰い切り」と呼ばれる構造です。それぞれの構造には異なる特徴があり、用途や製品の形状に応じて使い分けられます。
V字喰い切り
V字喰い切りは、上型と下型の接合部分にV字型の溝を彫り込む構造です。このV字溝の役割は、成形後にゴム材料をしっかりと固定し、バリをきれいに製品から分離することです。V字喰い切りは、製品とバリの境目を明確にし、成形品の品質を向上させます。
V字喰い切りの特徴
V字喰い切りは、V字型の溝によってバリを成形品から効率よく分離しますが、この溝の設計は素材の種類や硬度、求められる寸法精度に応じて調整が必要です。また、フラットな部分の寸法よりもバリの幅が広くなりがちなため、使用するゴム材料に応じて最適な設計が求められます。例えば、柔らかいゴム材ではバリが広がりやすいため、V字喰い切りの溝を深く設計する必要がある場合があります。
ブロック喰い切り
一方、ブロック喰い切りは、ブロック状の構造を持ち、V字型とは異なる設計です。ブロック喰い切りでは、バリ幅を最小限に抑えることができ、設計次第ではバリ幅を「ゼロ」にすることも可能です。このため、製品の形状や使用環境に応じて、バリの発生を抑えつつ高品質な成形が可能です。
ブロック喰い切りの特徴
ブロック喰い切りの最大の特徴は、バリ幅が実質的にゼロになることです。これは、V字喰い切りとは異なり、溝を設けずに製品とバリを分離できるため、バリを発生させずに成形が可能です。また、ブロック喰い切りには刃のような部分がないため、耐久性が高く、金型の摩耗を防ぐことができます。ただし、製品の形状によってはブロック喰い切りが適用できない場合もあるため、設計時には注意が必要です。
まとめ
ゴム製品における喰い切り構造は、バリの処理と製品の仕上がりにおいて非常に重要な役割を果たします。V字喰い切りとブロック喰い切りの特性を理解し、製品の形状や使用環境に応じて最適な設計を行うことで、製品の品質を大幅に向上させることができます。正しい喰い切り構造を採用することで、製造工程の効率化も図れ、高品質で耐久性のある製品を提供することが可能となります。
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