ものづくりプレス
2024-10-01
ゴム成形の金型を洗浄する方法とは?業者に頼むべき?
ゴム金型の洗浄は、金型の寿命を設計通りに保ち、成形品の品質を長期間にわたって維持するために欠かせません。成形加工後の金型には、成形材料から発生する樹脂の残留物や成形時に発生するガスが付着し、金型の表面に汚れが蓄積します。これらの汚れは、放置すると次第に固化し、時間が経つほど除去が難しくなります。また、空気中の湿気を吸収し、錆や腐食の原因となるため、金型の性能が低下し、最終的には成形品の不良を引き起こす可能性があります。
定期的な金型の洗浄やメンテナンスを怠ると、金型の寿命が短くなるだけでなく、製品不良の発生率が高まり、生産効率の低下やコストの増加を招きます。したがって、金型の洗浄は成形加工工程における重要なプロセスの一環であり、長期的な視点で見ると製造コスト削減にも寄与します。
オーバーホールとは
オーバーホールとは、金型の性能や品質を確保するために行う大規模なメンテナンス作業を指します。金型は、長期間にわたって連続して使用されると、日常的なメンテナンスだけでは取り切れない汚れが蓄積し、さらに成形材料から発生するガスなどの影響で、金型自体が微妙に変形することもあります。このような状態を防ぐために、金型を一度分解して洗浄し、必要に応じて消耗部品の交換を行うのがオーバーホールです。
オーバーホールは、故障や不具合が発生する前に行うことが推奨され、これにより金型の寿命を延ばし、成形品の品質を安定させることができます。また、金型や成形材料の種類によっては、日常的なメンテナンスの一環として分解洗浄が必要な場合もあります。そのため、日常的なメンテナンスとオーバーホールを適切に組み合わせることが、金型の安定した稼働を支えるために不可欠です。
ゴム金型のメンテナンス方法
ゴム金型のメンテナンスは、成形後に発生する汚れや「やに」と呼ばれるガスの付着物を効果的に除去するために重要です。特に、キャビティやコアの表面、分割面に蓄積する「ガスヤニ」は、金型の性能に悪影響を及ぼす可能性があります。この「ガスヤニ」が蓄積すると、ガスの排出が妨げられ、成形品にショートショットやバリが発生する原因となります。
メンテナンスの基本的な方法として、作業終了後に柔らかい布やウェスを使用し、金型洗浄剤を含ませて表面を拭き取ることが推奨されます。その後、金型クリーナーを使用してさらに汚れを取り除き、最後に錆止めスプレーを塗布することで、金型の寿命を延ばし、錆や腐食の発生を防ぐことができます。
ただし、エポキシなどの熱硬化性樹脂を扱う場合は、通常の拭き取りだけでは不十分であることが多く、分解洗浄やクリーニングシートを使用することが必要です。特に、金型の形状が複雑化している近年では、通常のメンテナンス方法では取り切れない箇所が増えており、定期的な分解洗浄が不可欠です。
金型のメンテナンス手順
ゴム金型のメンテナンスには、以下の手順が一般的に用いられます。
手順1 ブラスト洗浄
ブラスト洗浄では、分解した金型の部品に特殊なプラスチックやドライアイスの粒子を圧縮空気で吹き付けます。これにより、短時間で効率的に汚れを除去でき、金型の表面にダメージを与えることなく清掃が可能です。
手順2 金型洗浄剤を使用した分解洗浄
金型洗浄剤を使用して部品を洗浄します。分解した部品を金型洗浄剤に浸漬することで汚れが軟化し、その後流水で洗い流します。特に頑固な汚れや付着物に対して有効な方法です。
手順3 超音波洗浄
通常の方法では取り切れない細部の汚れを除去するために、超音波洗浄が使用されます。金型洗浄剤を超音波洗浄機にかけることで、微細な汚れやデポジットを徹底的に除去することができます。
手順4 オーバーホールのチェック
洗浄後、各部品の状態を詳細に確認し、錆や摩耗がある場合には研磨やメッキ加工を行います。特に摩耗の激しい部品は修理や交換を行い、必要に応じて部品の再作製も行います。オーバーホール後にチェックリストを作成し、今後のメンテナンス計画に役立てます。
金型の洗浄は業者に頼むべき?
自社での金型洗浄は、時間と労力がかかる反面、コストの削減が可能です。一方で、業者に依頼する場合は、専門的な技術と設備を活用でき、より効率的かつ効果的な洗浄が期待できます。また、業者は豊富な経験を持っているため、成形品の品質向上に直結する洗浄を行えるというメリットもあります。
金型の洗浄を業者に依頼するか、自社で行うかは、コスト、品質、リソースのバランスに応じて検討すべきです。長期的な視点で見た場合、業者に依頼することで金型の寿命が延び、生産効率や製品品質の向上につながる可能性があります。
結論
金型の洗浄とメンテナンスは、成形品の品質を維持し、金型の寿命を延ばすために不可欠なプロセスです。自社で対応するか、専門業者に依頼するかは状況に応じて最適な方法を選択する必要がありますが、いずれにしても、適切なメンテナンスを行うことが最終的に企業の利益向上につながる重要な要素であることに変わりはありません。
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