ものづくりプレス

2024-10-10

静電気防止効果を持つゴム材料の種類と用途

静電気防止ゴムは、静電気による障害を防ぐために、特別に設計されたゴム製品です。一般的には「帯電防止ゴム」とも呼ばれます。通常の加硫ゴムは、約10¹⁴ Ω cmという高い電気抵抗を持っていますが、静電気防止ゴムにはカーボンブラックなどの導電性材料が添加されることで、その抵抗が大幅に減少します。このため、静電気が発生しやすい環境での使用が可能となり、様々な産業での安全性や信頼性を向上させます。本記事では、静電気防止ゴムの種類や用途、さらにはその製造プロセスについて詳しく解説していきます。


image_fx_ (14)

静電気防止ゴムの抵抗調整とその応用例

静電気防止ゴムの特性は、その電気抵抗によって決まります。例えば、ゴム分100部に対して約20部のカーボンブラックを加えると、体積固有抵抗は約10¹⁰ Ω cmに達します。さらに、CC(カーボンコンパウンド)やFCF(フラットカーボンフィラー)などの導電性カーボンブラックを30部追加することで、抵抗は急激に低下し、約10⁴ Ω cmまで減少します。このように配合を調整することで、10⁷~10⁹ Ω cmの範囲に設定された帯電防止ゴムは、ゴムベルト、ロール、自動車のタイヤ、さらにはゴム靴など、様々な用途に利用されています。


静電気防止ゴムの種類

導電性ゴム

導電性ゴムは、カーボンブラックや金属粉末などの導電性フィラーが添加されており、ゴム自体が導電性を持ちます。このため、静電気を逃がしやすく、電子機器のシールド材や静電気を逃がすための部品として広く利用されています。特に、精密機器や電子部品の製造現場では、その特性が重要視されています。


帯電防止ゴム

帯電防止ゴムは、特に静電気の発生を抑制するために設計されています。帯電防止剤が添加されることで、ゴムの表面に薄い導電性の膜が形成され、静電気を効率的に逃がすことが可能となります。このタイプのゴムは、作業場のマットや静電気が発生しやすい環境での使用に適しています。


導電性ゴムシートの原理

導電性ゴムシートは、静電気防止に非常に効果的です。その原理は、絶縁体であるゴムに金属粉末やカーボンブラックなどの導電性フィラーを混ぜることで、ゴムに導電性を持たせることにあります。通常のゴムシートでは静電気の放電に時間がかかりますが、導電性ゴムシートは触れることで即座に静電気を流し込み、人体や電子部品の帯電を防ぐことができます。また、導電性を高めるためには、導電成分の割合を増やす必要があり、その結果としてゴムの弾性や伸縮性が損なわれる場合もあります。このようなゴムシートの特性を示す指標として、体積固有抵抗率が約1.0×10²Ω・cmであり、一部のモデルではアース線を接続できるものも存在します。


静電気防止ゴムの用途

静電気防止ゴムは、幅広い製品で重要な役割を果たしています。以下に代表的な用途を挙げます。


1.リモコンやキーボードの接点
導電ゴムは、リモコンやキーボードのスイッチ接点部分に広く使用されており、スムーズな操作を実現しています。


2.電磁波シールド
導電ゴムは、機械や電子機器からの電磁波漏れを防ぐためのパッキンやシールド材として使用されます。これにより、電磁波による干渉やノイズを防ぎ、製品の信頼性を向上させます。


3.静電気対策
静電気対策が必要な工場では、導電ゴムが冶具や防塵素材の部品として利用されます。これにより静電気の発生を防ぎ、製品や作業環境の安全性を向上させることができます。


このように、導電ゴムはさまざまな製品や用途において重要な機能を提供しています。


まとめ

導電性ゴムは、静電気を迅速に逃がす必要がある場合や、湿度に依存しない環境での使用に最適です。静電気防止ゴムの様々な用途と特性を理解することで、適切な選択と活用が可能になります。静電気対策や電磁波シールドなど、多くの分野での応用により、静電気防止ゴムは今後も重要な役割を果たし続けるでしょう。