ものづくりプレス

2024-10-11

ゴムのたわみ特性とは?その影響と設計への応用について

たわみとは

荷重が加わると部材がたわみ、これが製品の強度に影響を与えます。

たわみが大きくなると、部材が破損するリスクが高まるだけでなく、他の部材と干渉して強度が低下する可能性もあるためです。

そのため、信頼性の高い製品を設計するためには、設計においてたわみを計算することが非常に重要となります。

ゴムのたわみ特性とは?その影響と設計への応用について

たわみの大きさの要素

たわみの大きさ(たわみ量)は、以下の7つの要素によって決まります。


・梁の支持条件

片持ち梁や単純梁など、梁の支持方法によって異なる計算式を用います。


・荷重条件

集中荷重や分布荷重など、荷重のかけ方によっても使用する公式が変わります。


・荷重の大きさ

荷重が大きいほど、たわみも大きくなります。


・梁の長さ

梁が長いほど、たわみは大きくなります。

長い梁では小さなたわみが重なり合い、結果的に大きなたわみとなるためです。


・曲げ剛性

曲げ剛性が大きいほど、たわみは小さくなります。


・ヤング率

材料の特性を示し、引っ張りに対する抵抗の程度を表します。


・断面二次モーメント

梁の断面形状から算出される値で、曲げに対する変形のしにくさを示します。

たわみ特性の設計への応用

・防振ゴムの設計

防振ゴムは、機械や建物の振動を吸収するために使用されます。

たわみ特性を考慮することで、適切な防振性能を持つゴム部品を設計できます。

例えば、ゴムの静的せん断弾性率や形状率を考慮して、最適なばね定数を決定します。


・シール材の設計

ゴムのたわみ特性は、シール材の設計にも重要です。

適切なたわみ量を確保することで、シール性能を向上させることができます。

例えば、Oリングのつぶし率を適切に設定することで、漏れを防ぐことができます。


・荷重分散の設計

ゴム部品の設計において、荷重が均等に分散されるようにすることが重要です。

これにより、局所的なストレスが減少し、耐久性が向上します。

たわみ特性を考慮して、ゴムの形状や配置を最適化します。


・シミュレーションの活用

シミュレーションソフトウェアを使用して、ゴムのたわみ特性を評価し、設計に反映させることができます。

これにより、実際の試験を行う前にゴムの挙動を予測し、設計の最適化が可能です。

具体例

例えば、防振ゴムの設計において、以下の手順を踏みます。


・材料の選定

使用環境に適したゴム材料を選びます。

例えば、耐熱性が必要な場合はシリコーンゴム、耐油性が必要な場合はニトリルゴムを選びます。


・形状と寸法の設計

ゴム部品の形状や寸法を設計し、たわみ特性を考慮して最適なばね定数を決定します。

シミュレーション シミュレーションソフトウェアを使用して、ゴムのたわみ特性を評価し、設計の妥当性を確認します。



たわみ特性は製品設計において重要な役割を果たします。

防振ゴムやシール材の設計において、材料選定や形状、シミュレーションを駆使して最適化を図ることで、より高性能で信頼性のある製品を提供することが可能になります。

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