ものづくりプレス

2024-10-24

ゴムの抵抗値と導電性についての基礎知識を解説

ゴムは通常、絶縁体として広く知られている材料であり、電気の流れを妨げる特性があります。しかし、特定の条件下では導電性を持たせることも可能です。本記事では、ゴムの電気抵抗値や導電性の基本的な概念を解説し、それらの測定方法について詳しく説明します。これらの特性を理解することは、ゴムが使われる産業分野や製品設計において非常に重要です。


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電気抵抗値とは

電気抵抗値とは、材料が電流の流れに対してどれだけ抵抗を示すかを表す指標で、ギリシャ文字の「ρ(ロー)」で示されます。これは材料が電流の通過をどれだけ妨げるかを数値化したもので、抵抗率が低いほど電流が流れやすくなります。ゴムは、分子構造が電荷の移動を抑制するため、非常に高い抵抗値を持ちます。一般的なゴムの抵抗値は、約10^13〜10^14オームセンチメートル(Ω・cm)という非常に高い数値です。このため、ゴムは電気を通さない絶縁体として多くの場面で使用されます。


ゴムの抵抗値測定方法

ゴムの電気抵抗値を測定するには、以下のような方法が一般的です。


1.水中での測定方法
 測定対象のゴムをあらかじめ1時間以上「清水」に浸し、その状態で測定を行います。この際、単心のケーブルでは「導体」と「清水」の間に、複数心のケーブルでは「導体相互」と「清水」の間に100V以上の直流電圧をかけ、1分以上5分以内に絶縁抵抗を測定します。この手法は、特にゴム製品が水中で使用される状況での耐久性や安全性を確認するのに有効です。


2.空気中での測定方法
 空気中で測定する場合、「導体相互」の間に100V以上の直流電圧を加え、同様に1分以上5分以内で絶縁抵抗を測定します。ゴム製品が空気中で使われる用途において、その絶縁性を確認するために行われます。また、ゴムに金属被覆が施されている場合は、「導体相互」と「接地された金属被覆」の間で測定が行われることがあります。


導電率とは

導電率は、電気抵抗値の逆数であり、ギリシャ文字の「σ(シグマ)」で表されます。導電率は、材料がどれだけ効率的に電流を伝導できるかを示すもので、数値が高いほど電流を通しやすくなります。ゴム自体は絶縁体ですが、特定の条件下では導電性を持たせることが可能であり、これによりゴムはより幅広い用途で利用されます。


導電性ゴムとは

導電性ゴムは、ゴムの基本特性に加え、導電性を持たせるために特定の材料を混合することで作られます。例えば、カーボンブラックや金属粉を混ぜることで、ゴムの絶縁性は部分的に残しつつ、一定の導電性を持たせることができます。この特性を持つゴムは、静電気の防止や電磁シールド、さらには特殊なセンサーや接触部品に利用されています。導電性ゴムは、電気機器や自動車、航空機などの産業で、静電気対策やノイズ対策が求められる場面で重要な役割を果たします。


導電率の測定方法

導電性ゴムの導電率を正確に測定するために、以下のような方法が採用されます。


1.2電極法
 この方法では、ゴム試料に2つの電極を接触させ、電圧をかけて電流を測定します。電極間に印加された電圧と流れる電流から、導電率を計算します。シンプルな手法ですが、電極と試料の接触抵抗が影響するため、結果に若干の誤差が生じる場合があります。


2.4電極法
 この方法では、4つの電極を使用します。外側の2つの電極で電流を流し、内側の2つの電極で電圧を測定します。この配置により、電極と試料の接触抵抗の影響を排除し、より正確な導電率の測定が可能です。特に精度が求められる場合に有効な測定方法です。


3.二重リング電極法
 平面状のゴム試料に対して二重リング電極を用いて測定する方法です。この方法では、主電極とリング電極の間に電圧をかけ、流れる電流を測定します。この手法により、ゴムの体積抵抗率や表面抵抗率を評価することができます。体積および表面の導電性を区別して測定できるため、ゴムの特性評価において非常に便利です。


結論

ゴムの電気抵抗値や導電率は、材料としての特性を把握する上で極めて重要な指標です。これらの特性を理解し、適切な測定方法を用いることで、製品の性能や用途に応じた最適な材料選定が可能になります。特に導電性ゴムは、多様な工業用途において、革新的な材料として広く活用されています。信頼性の高い測定を行うことで、設計や製造の精度を高めることができるでしょう。


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