ものづくりプレス

2024-12-22

ザグリ加工(皿穴加工)と丸穴加工の違いとは?

ザグリ加工と丸穴加工は、どちらも金属加工における穴加工の一種であり、さまざまな場面で活用されています。しかし、両者の加工目的と特性には明確な違いがあり、用途に応じて使い分けられます。ザグリ加工は主にネジやボルトの頭部を表面下に沈めるために行うのに対し、丸穴加工は単純な穴開け作業を目的としています。


ザグリ加工(皿穴加工)と丸穴加工の違いとは?

ザグリ加工とは

ザグリ加工(皿穴加工・皿揉み加工とも呼ばれる)は、ネジやボルトを取り付けた際に頭部が表面より下に沈むように加工する方法です。この方法により、ボルトやネジの頭部が露出せず、平らな仕上がりとなるため、外観がすっきりし安全性が向上します。


通常の工程では、ドリルで下穴を開けた後、エンドミルや専用工具でザグリ加工を施します。これによりネジやボルトの頭部が表面から飛び出さないように配置され、特に鋳物のような粗い表面や、傾斜のある表面に対しても締め付け力を均一にする効果があります。また、専用の「ザグリドリル」などを使用することで、一度の作業で下穴とザグリ加工が可能になり、効率が向上することもあります。


丸穴加工とは

丸穴加工は、ドリルを使用して直径の均一な円形の穴を開ける一般的な穴加工の方法です。この加工では、下穴、ねじ穴、ピン用の穴、はめ合い穴など、特定の用途に応じた穴を形成します。たとえば、図面に「10キリ」と記載があれば、直径10mmの穴をドリルで開けることを意味します。丸穴加工では、ネジやボルトの頭部は通常、加工面よりも上に飛び出した状態となるため、外観よりも構造や組み立てのための穴加工に適しています。


・ザグリ加工と丸穴加工の主な違い

ザグリ加工では、ボルトやネジの頭部を収容する形状を作成するために行う特殊な加工であるのに対し、丸穴加工はシンプルな穴開け作業で、ボルトの頭部が表面に残る場合に用いられます。各加工は、製品のデザイン、設計要件、安全性、耐久性などに応じて適切に選択されます。


ザグリ加工・皿穴加工のメリット・デメリット

・メリット
・安全性と美観の向上:ザグリ加工を施すことで、ネジやボルトの頭部が露出せず引っかかりやケガのリスクを軽減できます。また、外観が整い、美観も向上します。
・安定性と緩み防止:表面が平坦になるため、設置や組み合わせの安定性が増し、振動などによるネジやボルトの緩みを防ぐことができます。
組み立てのしやすさ:部品同士がしっかり密着することで、製品の耐久性が増し、長期使用にも向いています。


・デメリット
・作業工程の複雑さ:穴開けとザグリ加工を別々に行う場合、作業時間が増え、位置精度の確認も必要です。専用工具を使用して一度に加工する場合でも、工具の準備や保守に手間がかかります。
・工具の選択と制約:頻繁にネジやボルトの着脱を行う場合、専用のドライバーなど適切な工具が必要になるため、レンチなどの一般工具では対応が難しい場合があります。


これらのメリットとデメリットを踏まえ、用途や製品仕様に応じて、ザグリ加工と丸穴加工を選定することが重要です。


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