ものづくりプレス
2024-12-16
ブチルゴムの電気絶縁性について
ゴムは優れた電気絶縁性を持つため、絶縁用途で広く使われています。例えば、電線の被覆材として使用されることが多く、電気が通る部分を外部から保護し、漏電を防ぐ役割を果たしています。以前は、電線の被覆材としてゴムが一般的でしたが、現在はビニール(塩化ビニル)製の電線被覆が主流です。これにより、より軽量で扱いやすく、コストの低いビニール系電線が一般的に普及しました。
キャブタイヤケーブルに使用されるゴム材料
ゴム製のキャブタイヤケーブルには「PNCT」「CT」「RNCT」の種類があり、ビニール製のキャブタイヤケーブルには「VCT」や「VCTF」があります。また、環境に配慮した「EMキャブタイヤケーブル」も登場し、より安全かつエコロジーな選択肢が増えています。以下は各種ケーブルに使われるゴム材料の種類です。
・CTケーブル:天然ゴム製で、柔軟性と耐久性に優れているため、産業用途で使用されることが多いです。
・PNCTケーブル:EP(エチレンプロピレンゴム)とCR(クロロプレンゴム)を使用しており、耐候性や耐油性が高く、過酷な環境下で使用可能です。
・RNCTケーブル:天然ゴムとCR製で、耐久性と柔軟性を兼ね備え、耐候性や耐熱性も確保されています。
また、ブチルゴムは過去に電線被覆材として使用されていたものの、現在の製品ではほとんど採用されていません。その理由として、破壊電圧が低く、絶縁層を厚くする必要がある点が挙げられます。
電線被覆材としてのブチルゴムの歴史
かつてブチルゴムは電線の被覆材として広く使用されていました。その背景には、ブチルゴムが炭化水素骨格を持ち、極性がないことから、電気絶縁性に加えて耐コロナ性や耐トラッキング性が優れていた点があります。コロナ放電やトラッキング(電流が絶縁体表面を流れることで発生する放電)に耐える特性は、電線被覆材として重要でした。
しかし、ブチルゴムは破壊電圧が低いため、電気的なストレスに対応するためには絶縁層を厚くしなければならないという欠点がありました。このため、耐熱性や耐候性、絶縁性能の面で優れるエチレンプロピレンゴム(EP)が開発され、ブチルゴムの代替材料として主に使用されるようになりました。これにより、電線被覆材としてのブチルゴムの役割は徐々に少なくなっていったのです。
ブチルゴムの新たな用途と自己融着テープ
電線被覆材としての役目を終えたブチルゴムですが、その優れた絶縁性や耐久性を活かして、現在では自己融着テープとして使用されています。自己融着テープは、電線の端末処理や接続部の保護に使われるため、電工や自動車整備などの専門職で広く使用されています。特にブチルゴム製の自己融着テープは、長期間にわたり耐久性を保持し、劣化やねばつきを抑える特性があるため、ビニールテープと比べて長持ちする点が特徴です。
ブチルゴム製の自己融着テープは、さらさらとした手触りで、20年以上経過しても接続部分をしっかりと保護します。特に、ビニールテープが暑さでべたつく、または経年劣化により粘着性が低下することが気になる場合には、ブチルゴム製のテープが優れた選択肢です。自己融着性があるため、使用時には軽く引っ張りながら重ね巻きにすることで、強力な保護層を形成します。
自己融着テープの多用途での利用方法
ブチルゴムの自己融着テープは、電線保護以外にも幅広い用途で使用されることがあります。以下は、自己融着テープの多様な用途です。
・電線端末の保護:電線の端部に巻くことで、接続部を保護し、漏電や短絡のリスクを軽減します。
・コネクタの固定:電気接続部のコネクタをしっかりと固定し、振動や緩みによる接続不良を防止します。
・ホースの修理:ホースに生じたひび割れや小さな漏れを一時的に補修し、耐水性や耐油性のある保護層を提供します。
・滑り止め効果:ゴルフクラブや釣り竿などの持ち手部分に巻きつけることで、滑りにくく持ちやすいグリップを形成します。
・配管の保護:配管に巻き付けることで、外部からの衝撃や摩耗から保護し、配管の寿命を延ばします。
自己融着テープは、巻きつける際に一定のテンションをかけて半分重ねながら巻くことで、しっかりとした保護効果が得られます。最初は難しいと感じるかもしれませんが、使いこなせば非常に強力な保護を実現できるため、長期的な耐久性や高い絶縁性が求められる場面で重宝されています。
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