ものづくりプレス
2024-12-02
液体シリコーンゴムとは?使用用途や費用を解説
液体シリコーンゴム(LSR)は、その卓越した特性と多様な用途から、現代の製造業や技術革新において欠かせない素材のひとつとなっています。
従来のゴムや樹脂とは異なり、液状で提供されるこの特殊なシリコーン素材は、優れた熱安定性、弾力性、耐薬品性を持ち、さらに生体適合性や電気絶縁性といった特長を兼ね備えています。
このため、自動車部品や医療機器、電子部品など、精密かつ過酷な条件が求められる分野で広く利用されています。
本記事では、液体シリコーンゴムの基本特性や種類、メリットとデメリット、さらには具体的な用途について詳しく解説し、その可能性と課題に迫ります。
液体シリコーンゴムとは
液状シリコーンゴム(LSR)は、原材料としては比較的粘度が低い液体またはペースト状の状態で提供されます。
硬化温度は比較的低く、室温で自然に硬化することも可能です。流動性が高いため、複雑な形状や精密な部品の製造に適しています。
液体シリコーンゴムの種類
このシリコーンゴムには、1液型(そのまま硬化するタイプ)と、2液型や3液型(硬化剤を混合して硬化するタイプ)のバリエーションがあります。
液体シリコーンゴムの特長
液状シリコーンゴム (LSR) は、その独自の特性によって、多くの過酷な条件下でも優れた性能を発揮する多用途で強力な素材です。
熱安定性
液体シリコーンゴムは非常に広範な温度範囲に対応可能で、-55°C ~ +300°C (-67°F ~ +572°F) の間でも安定した性能を維持し、温度変化の激しい環境での使用に適しています。
弾力性と柔軟性
優れた弾力性を持ち、繰り返し伸ばしたり曲げたりしても元の形状に戻ります。
この特性は、シールなどの伸縮が必要な用途において重要です。
耐久性と長寿命
摩耗に強く、長期間にわたって性能を維持するため、工業製品や消費者向け製品のどちらにも適しています。
耐薬品性
水、油、酸、塩基などの化学物質に対して高い耐性を持ち、化学処理や過酷な環境下での使用にも適しています。
生体適合性
医療用途では、液体シリコーンゴムの無毒性と微生物に対する抵抗力が重要です。
殺菌可能で、安全に体内で使用できるため、医療機器にも最適です。
電気絶縁
優れた電気絶縁体であり、電子部品を保護し、正常に機能させるために不可欠です。
透明性と着色性
液体シリコーンゴムは基本的に透明ですが、着色も可能です。
そのため、視覚的に魅力的な製品を製造する際に利用されます。
これらの特性により、LSR は製造過程で調整可能で、多様な用途に対応するカスタムバージョンを作成することができます。
メリットとデメリット
メリット
多様な特性
シリコーンゴムは多くの特性を持ち、熱硬化性樹脂の代替品として様々な分野で利用可能です。
成形サイクルの短縮
従来のコンプレッション成形に比べ、射出成形により成形サイクルが短縮され、大量生産にも適しています。
(ノーバリ・ランナーレス化、成形の自動化など。なお、高精度な金型が必要です。)
自由度の高さ
液体状態の材料は自由度が高く、複雑な形状や精密な成形に対応可能です。
デメリット
コスト
一般的なゴムや樹脂材料に比べ、価格が高めです。
専用設備の必要性
2液混合と加硫の工程が必要で、通常の成形機ではなく専用設備が求められます。
再利用の難しさ
熱硬化性のため、一度加硫した材料は再利用できません。
液体シリコーンゴムの用途
液体シリコーンゴムの使用例としては、自動車部品やコーティング、製造設備でのシールや接着、輸送機器の部品などが挙げられます。
また、産業機器やFA機器におけるポッティング、一般工業分野での保護や補修、防振などにも幅広く利用されています。
まとめ
シリコーンゴムは高い付加価値を持ち、今後の需要拡大が見込まれています。
しかし、材料の高価格や粉砕・再利用ができない点から、スプルーやランナーの排出を最小限にしないとコスト面での課題が生じます。
費用面でのデメリットもありますが、長期的な性能と耐久性を重視する場面では、その価値を十分に発揮します。
これらの課題を克服することで、さらに広範な用途での利用が進むと期待されます。
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