ものづくりプレス

2024-11-16

ゴムを屋外で使用するのはNG?正しい保管方法とは

屋外で使用するゴム素材は、さまざまな気象条件や環境に耐えられる必要があります。紫外線、オゾン、湿度、温度変化などにさらされても性能を維持できる素材を選ぶことが重要です。以下に、特に屋外での使用に適したゴム素材を紹介します。


タイヤ

エチレンプロピレンゴム(EPDM)

エチレンプロピレンゴム(EPDM)は、屋外での使用に最も適した合成ゴムの一つです。EPDMはその分子構造において、二重結合が少ないため、紫外線やオゾンに対して非常に高い耐性を示します。これにより、長期間の屋外使用でも劣化しにくく、特に屋外の装置や自動車部品に最適です。
さらに、EPDMは耐候性、耐酸化性、耐熱性(約120℃程度)に優れており、酸や塩分を多く含む環境でも安定した性能を保ちます。例えば、ゴムパッキンやシール材、外部の建材に多く使われています。しかし、油分や油性の化学物質には弱く、使用範囲には制限があります。また、EPDMの表面には「ブルーム」や「ブリード」と呼ばれる現象が起こることがあり、これは加熱や光によって添加剤が表面に浮き上がることによるものです。この現象が発生すると、外観に影響を及ぼすことがあります。


シリコーンゴム(Q)

シリコーンゴムはその独特の分子構造により、高い耐熱性と優れた耐候性を持っています。シリコーンゴムの主鎖はケイ素と酸素の結合から成り、この結合はエネルギーが非常に大きく、化学的にも非常に安定しています。このため、シリコーンゴムは高温(約180℃〜200℃)や低温(約-70℃〜-120℃)においても性能を発揮します。屋外での極端な温度変化に強いため、屋外の電子機器部品や食品機器関連のパーツに使用されています。
さらに、シリコーンゴムは透湿性が高いため、ガス透過膜として利用されることもあります。しかし、シリコーンゴムには蒸気や過度の水分には弱いという欠点があります。また、引裂き強度や耐摩耗性が他のゴムよりも劣るため、摩耗や引裂きが発生しやすい環境では使用を避けるべきです。


フッ素ゴム(FKM)

フッ素ゴムは、非常に安定した構造を持つゴムで、耐油性、耐薬品性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性などにおいて優れた性能を発揮します。特に、化学物質が多く含まれる環境や高温環境での使用に適しています。フッ素ゴムは、その分子構造内にフッ素原子を持ち、フッ素と炭素の結合は非常に強固で、外的な攻撃からゴムを保護します。
ただし、フッ素ゴムのガラス転移温度は約-20℃と高く、低温環境で使用するには不向きです。これを避けるためには、使用温度範囲を考慮し、適切な用途に絞った選定が重要です。また、フッ素ゴムと共に使用されるテフロン(PTFE)は、摩擦係数が非常に低いため、摩耗の少ない機器部品などに利用されます。


ゴムの保管方法

ゴム製品は、その特性を長期間保つために適切に保管する必要があります。正しい保管方法を守ることで、ゴムの劣化を防ぎ、長持ちさせることができます。特に屋外で使用するゴム製品は、日常的に紫外線や天候の影響を受けやすく、保管方法が非常に重要です。


直射日光を避ける

直射日光に長時間さらされると、ゴムの分子が紫外線の影響で破壊され、ゴムの劣化が進行します。これは「光劣化」と呼ばれる現象で、ゴムが脆くなったり、ひび割れたりする原因となります。そのため、ゴム製品は直射日光を避け、涼しく乾燥した場所で保管することが重要です。特に自動車タイヤや外部で使用されるゴム部品は、太陽光にさらされることが多いため、日陰で保管することを心掛けましょう。


ゴム製品同士を密着や重ね置きしない

ゴム製品同士を重ねて保管したり、密着させて保管すると、接触部分で変質や変色が生じることがあります。ゴムの素材によっては、接触部分が劣化しやすいため、個別に分けて保管することが推奨されます。例えば、ゴム製の靴や手袋を重ねて保管すると、色移りや素材の変形が発生することがあるので、十分にスペースを確保して保管するようにしましょう。


まとめ

屋外で使用するゴム素材を選ぶ際には、耐候性、耐紫外線性、耐熱性などの特性を十分に考慮することが重要です。エチレンプロピレンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、フッ素ゴムのそれぞれが持つ特性を理解し、用途に適したゴムを選択しましょう。また、ゴム製品の寿命を延ばすためには、適切な保管方法を実践することも欠かせません。直射日光を避け、ゴム製品同士を適切に分けて保管することで、ゴムの性能を最大限に引き出し、長期間にわたって使用することができます。


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