ものづくりプレス
2024-11-16
樹脂の削り出しとは?押し出し加工とどちらが良い?
切削加工と押し出し加工は、プラスチック製品の製造において非常に重要な加工方法です。これらの手法は、それぞれ異なる特性を持ち、製造する製品の特性や生産量に応じて使い分けられます。切削加工は主に少量生産や高精度な試作品製作に使用され、押し出し加工は大量生産に適しています。以下では、それぞれの加工方法について詳しく解説します。
削り出し(切削加工)とは?
切削加工は、プラスチックのブロックやロッドから不要な部分を削り取って製品を作る方法です。この方法は、マシニングセンタ、同時五軸加工機、NC旋盤などの工作機械を使用して行います。切削加工では、非常に高精度な形状が求められるため、加工対象の素材は通常、規格化されたプラスチック材料を使用します。
特徴とプロセス
切削加工のプロセスでは、素材に高速回転する刃物を接触させ、不要な部分を削り取ることによって所定の形状を形成します。一般的に、数千個を超える大量生産には向いていませんが、1個から1000個程度の少量生産や試作品の製作には非常に効果的です。また、複雑な形状や高い精度が要求される部品を製作する際に非常に重宝されます。
切削加工のメリット
切削加工の最大のメリットは、高精度な製造が可能である点です。特に、NC機械を使用することで、10ミクロンの公差管理が可能となり、複雑な形状でも高精度な寸法が安定して出力できます。また、突発的な追加注文にも柔軟に対応できるため、小ロットの製品製造に適しています。
・高精度な加工: 高精度を必要とする製品において、切削加工は欠かせません。特に、微細な公差管理や複雑な形状に対応できる能力があります。
・少量生産向き: 数個から数千個規模の製品に向いており、少量生産や試作段階での利用に最適です。
・柔軟性: 様々な形状や素材に対応可能で、製造途中での変更にも対応しやすいです。
切削加工のデメリット
一方、切削加工にはいくつかのデメリットも存在します。特に、以下の点が課題として挙げられます。
・大量生産には不向き: 1回の加工にかかる時間が長く、大量生産には不向きです。また、加工時に発生する切削熱や摩耗による工具の劣化も考慮する必要があります。
・人手と技術に依存: 精度の高い加工を行うには、経験豊富な技術者が必要です。技術の伝承や人材不足が進んでいる業界では、品質の安定性に影響が出る場合もあります。
押し出し加工とは?
押し出し加工は、加熱した樹脂をシリンダーから押し出し、金型を通して一定の断面形状を持つ製品を製造する方法です。押し出し加工は、ところてんを押し出すイメージに近いです。シリンダーに入れた樹脂に圧力をかけ、口金を通過させることで、長い形状の製品が得られます。この方法は、特に同じ断面形状を長く連続して製造したい場合に有効です。
特徴とプロセス
押し出し加工のプロセスは、まず樹脂を加熱し、柔らかくします。その後、シリンダー内で圧力を加え、口金を通過させることで製品を押し出します。押し出された製品は冷却され、最終的に所定の長さで切断されます。この方法では、製品の断面形状は固定されており、長尺物の製造が得意です。
押し出し加工のメリット
押し出し加工の最大のメリットは、大量生産に適していることです。長尺物を一定の断面で生産するのに非常に効率的で、コストパフォーマンスが高いです。また、製品の形状が均一であるため、品質が安定しやすいです。
・大量生産向き: 同一断面形状の製品を大量に生産することができ、製造コストを低く抑えることができます。
・コスト効率が良い: 金型を使用して一度に大量に製造できるため、特に小型の部品を大量に製造する場合に最適です。
・製品の均一性: 押し出し加工では、製品の断面が均一であるため、高品質な製品が安定して製造できます。
押し出し加工のデメリット
押し出し加工のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
・断面形状が制限される: 押し出し加工は、単一断面形状の製品しか製造できません。例えば、U字型や丸型、正方形などの形状は作れますが、異なる断面形状に変更することはできません。
・初期コストがかかる: 押し出し加工は、金型の製作が必要であり、初期投資が高くなります。そのため、小ロット生産には不向きです。
どちらを選ぶべきか?
切削加工と押し出し加工は、それぞれ異なる目的に適した加工方法です。選択は製品の目的、用途、生産量に依存します。切削加工は、精密な形状や少量生産に適しており、試作や高精度な部品製作に有利です。一方、押し出し加工は、大量生産や均一な断面形状を持つ製品を製造するのに最適で、特にコスト面での優位性があります。
最終的には、製造する製品の特性や生産条件を総合的に考慮して、最適な加工方法を選定することが重要です。
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