ものづくりプレス

2024-12-06

EPDMゴム vs. SBRゴム どちらを選ぶべきか?

エチレンプロピレンゴム(EPDMゴム)とスチレンブタジエンゴム(SBRゴム)は、それぞれ異なる特性を持つ合成ゴムです。

EPDMゴムは優れた耐熱性や耐候性を誇り、特に高温環境や屋外での使用に適しています。

一方、SBRゴムは加工性に優れ、耐摩耗性や機械的強度が求められる場面で重宝されます。

この記事では、EPDMゴムとSBRゴムの特徴や用途、選び方について詳しく解説し、それぞれのゴムの特性を最大限に活かす方法を考察します。

最適なゴム選びが、製品の性能向上につながることを目指しています。

EPDMゴム

EPDMゴムの特長

エチレンプロピレンゴム(EPDM)は、次のような特長と欠点を持っています。


特長

耐熱性・耐候性

EPDMゴムは主鎖に二重結合を持たないため、ジエン系ゴムよりも優れた耐熱性、耐候性、耐老化性、耐オゾン性を持ちます。


優れた耐オゾン性

耐オゾン性は配合に影響されず、EPDMの本質的な特性であり、CR(クロロプレンゴム)やIIR(ブチルゴム)を大きく上回ります。


電気的特性

EPDMゴムは絶縁体として優れた電気的特性を持ち、IIRと同程度の体積固有抵抗を示します。


耐薬品性

アルコール、エステルなどの極性溶剤や硫酸などの無機酸、アルカリに対して高い耐薬品性を持ちます。


コスト面での優位性

油展性や充填剤の添加性が優れているため、性能を大きく損なわずにゴム分を減らせ、コスト削減につながります。


耐熱用途に対応

パーオキサイド加硫を行うことで、最高使用温度が150℃まで上がり、耐熱が求められる用途に使用できます。


欠点

耐油性の低さ

鉱物油やトルエンなどの有機溶剤に弱く、他のゴムに比べ耐油性は劣ります。


加工性の課題

生ゴムのロール巻付性はあまり良好ではありませんが、粘着剤やオイルを配合することで改善可能です。


硫黄加硫による耐熱性の制限

硫黄加硫をしたEPDMゴムの耐熱性は低く、最高使用温度は約70℃までとなります。


耐炎性の欠如

EPDMゴムは可燃性であり、耐炎性はありません。

SBRゴムの特長

スチレンブタジエンゴム(SBRゴム)は以下のような特性を持っています。


特長

安定した品質と優れた加工性

SBRは物性のばらつきが少なく、加工性に優れています。

また、耐熱性や耐摩耗性、耐老化性も良好です。


素練り不要

NR(天然ゴム)は超高分子量成分を含むため素練りが必要ですが、SBRは適切な粘度に調整されており、素練りなしで混練りが可能です。


欠点

機械的強度の低さ

NRと比較すると機械的強度が劣ります。

また、加硫速度が遅いため、NRよりも多くの加硫促進剤を必要とします。


耐候性の低さ

SBRゴムは分子に二重結合を有しているため、耐候性が低いという短所があります。


スチレン含量によるグレードの違い

E-SBR スチレン含量が増加すると、ベンゼン環により分子間力が強化され、引張強度が向上しますが、分子鎖の熱運動が抑えられ、弾性や耐寒性が低下します。


S-SBR

分子量や分子量分布、ブタジエンのミクロ構造などの分子設計に柔軟性があり、ブタジエン部分のビニル量を10〜80%の範囲で調整可能です。

スチレン含量と組み合わせてガラス転移温度(Tg)を調整することができます。

まとめ

どちらのゴムを選ぶかは、具体的な使用条件や必要な性能によって異なります。

例えば、屋外や高温環境での使用が主な場合はEPDMゴムが適しており、一方で耐摩耗性や機械的強度が重視される場合はSBRゴムがより適しています。

両者ともにそれぞれの特性を活かし、最適な用途で利用することが重要です。

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