ものづくりプレス

2024-12-19

Oリングの材質を徹底比較!どんな物性の違いがある?

Oリングを選定する際、最も重要なのが材質の選択です。Oリングはゴム素材でできており、使用環境に応じてその性能が大きく変わります。特に耐熱性や耐薬品性は、材質によって大きな差が生じます。そのため、適切な材質を選ぶことが、シール性能を最大化するための鍵となります。
この記事では、Oリングに使用される材質の特性について詳しく解説し、選定時に考慮すべきポイントを分かりやすく整理しています。この記事が、最適なOリングを選ぶ際のお役に立てば幸いです。


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Oリングの材質とその形成過程

Oリングの材質は、加硫ゴムと呼ばれる特殊なゴム材料で作られています。このゴム材料は、原料ゴムに配合材を混ぜ合わせて生成されるコンパウンドが基礎です。加硫プロセスを通じて架橋反応が起こり、これによってゴムの形状と物理的特性が確定します。
Oリングの性能や物理的特性は、この材質に大きく依存します。使用環境(温度、圧力、接触する物質など)に適した材質を慎重に選ぶことが重要です。また、材質選定だけでなく、適切なサイズの選定もOリングの効果を十分に発揮するためには欠かせません。


Oリング材質選定の基本ポイント

Oリングの材質を選ぶ際には、使用環境を正確に把握し、適した材質を選ぶことが成功の鍵です。以下の3つの要素を総合的に検討することが求められます。


1. 温度
使用環境の温度範囲は、材質選定において最も基本的な要素です。高温・低温の環境、さらには急激な温度変化が予想される場合には、それに対応できる耐熱性や耐寒性を持つ材質を選びましょう。たとえば、高温環境ではFKM(フッ素ゴム)、低温環境ではVMQ(シリコンゴム)が適しています。


2. 圧力
圧力条件下で使用される場合、Oリングが過剰に変形することや、圧力による膨張・はみ出し(エクストルージョン)を防ぐ必要があります。高圧環境では、耐圧性や耐ブリスター性に優れた材質を選択し、必要に応じてバックアップリングを併用することで、シール性能を向上させることができます。


3. 接触対象
Oリングが接触する物質(油、薬品、大気中の成分など)は、材質選定の重要な要素です。たとえば、耐油性が求められる場合にはNBR(ニトリルゴム)が適していますが、耐薬品性が必要な場合はFFKM(パーフルオロエラストマー)などを検討しましょう。また、気体透過性や耐プラズマ性が重視される用途では、専用の素材が推奨されます。


Oリングの主要材質とその特性

NBR(ニトリルゴム)
汎用性が高く、特に油圧・空圧機器で多用される材質です。耐油性に優れますが、耐熱性や耐薬品性には限界があります。


FKM(フッ素ゴム)

耐熱性、耐油性、ガスバリア性に優れ、高温環境や化学薬品にさらされる用途に最適です。特に高機能が求められる分野で利用されます。


VMQ(シリコンゴム)

-60℃から200℃までの広範囲で使用可能な材質で、家庭用製品や食品業界で広く採用されています。ただし、耐油性が低い点には注意が必要です。


CR(クロロプレンゴム)
耐候性と耐油性を持つ素材ですが、現在ではNBRに置き換えられることが増えています。


U系統(ウレタンゴム)
機械的強度と耐圧性に優れ、高圧用途に適しています。ただし、耐水性や耐薬品性に課題があり、特定用途でのみ使用されます。


HNBR系統(加硫ニトリルゴム)
高温高圧環境やHFC冷媒用途に適しており、耐油性と機械的特性が優れています。フッ素ゴムの代替として選ばれることもあります。


FFKM(パーフルオロエラストマー)
耐薬品性、耐熱性、耐プラズマ性が非常に高く、半導体製造装置などの過酷な環境で使用されています。ただし、高価で耐寒性が低いという課題があります。


FFKO(フルオロオレフィン)
-50℃以下の低温でも弾性を維持する能力があり、耐薬品性に優れますが、機械的強度やガスバリア性は劣ります。


Oリングの設計とカスタム対応

Oリングは、標準的なサイズや形状だけでなく、特定の用途や設計要件に合わせたカスタム形状のものも製造されています。これにより、独自の環境条件に対応した最適なソリューションが提供可能です。また、シールの信頼性を高めるためのバックアップリングや大口径の特殊サイズも選択肢に含まれます。


最適なOリングを選ぶために

適切なOリングの選定は、使用環境を正確に把握し、材質や設計を慎重に検討することから始まります。本記事で紹介した材質の特性を参考に、使用条件に合った最適な素材を選んでください。また、選定に迷った場合は、専門家に相談することをお勧めします。
富士ゴム化成では、ゴム加工に加えて、材質選びに関するご相談も承っております。もしお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。最適なOリング選びを全力でサポートいたします。


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