ものづくりプレス

2024-12-30

フェノールとは?特性や用途、メリットをご紹介!

フェノールとは
フェノール(英: phenol)は、芳香環にヒドロキシ基(水酸基)が結合した化合物の一種で、特に最も基本的な構造を持つヒドロキシベンゼンを指します。
化学式は ArOH(Arはベンゼン環などを表す)で、和名は「石炭酸」と呼ばれています。
歴史的な経緯からこの名前が付けられました。
本記事では、フェノールの用途や性質についてご紹介します。

科学

フェノールの特徴

常温では白い結晶状の物質で、特有の薬品のような匂いを放ちます。
水には少し溶けますが、エタノールなどの有機溶媒には非常に溶けやすい性質を持っています。
「フェノール」という名称は、古い言葉「phene」に由来します。

化学的性質


フェノールは毒性があり、腐食性も高いため、皮膚に触れると重大な影響を及ぼす可能性があります。
そのため、毒物及び劇物取締法で「劇物」に指定されており、取り扱いには注意が必要です。
水に対する溶解度は20℃で8.4g/100mLであり、さまざまな有機溶媒にもよく溶けます。

酸としての性質

フェノールは弱い酸性を示し、その酸解離定数(pKa)は9.95です。
この性質は、芳香環の共鳴によってフェノキシドイオン(C6H5O-)が安定化されるためです。
この特性を利用して、金属カチオンと結合して塩を形成することができます。

フェノールの検出方法

フェノールは、特定の試薬と反応して特徴的な色を持つ化合物を作るため、簡単に検出することが可能です。

たとえば、塩化鉄(III)溶液と反応すると、赤紫色や青紫色の錯体を生成します。

この反応は、フェノール類を確認する基本的な方法として広く利用されています。

生産方法と用途

フェノールは、コールタールから分離されるか、ベンゼンを原料とした化学反応で合成されます。
代表的な合成法には「クメン法」があり、ベンゼンをスルホン化してナトリウム塩を作り、さらにアルカリ融解を経てフェノールを生成します。
このプロセスでは、副産物としてアセトンが得られます。


フェノールは、フェノール樹脂などのプラスチックや、医薬品、染料の製造に使用されるほか、希釈して消毒剤としても用いられます。
また、生物学の分野では、DNAやRNAの抽出・精製にも利用される重要な物質です。

主なフェノール誘導体

フェノールから派生した代表的な化合物には、以下のようなものがあります。


・クレゾール
・サリチル酸
・ピクリン酸
・カテコール
・レゾルシノール


これらの誘導体は、フェノールの性質を活かしてさまざまな製品の原料や中間体として利用されています。
フェノールが持つ独自の特性により、これらの化合物は化学工業において欠かせない重要な素材とされています。


フェノールは、その特性を活かして、化学工業から医薬品、消毒剤、生物学研究に至るまで、私たちの生活や産業に欠かせない役割を果たしています。
身の回りには、フェノールが活用された製品が意外と多く存在しているんです。
普段使っているものにも、こうした化学の知識が活かされていると知ると、ちょっと身近に感じられますよね。
化学の力がどれほど私たちの生活を豊かにしているか、少し実感できたのではないでしょうか?
これからも化学の可能性を楽しみながら学んでいきましょう!


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