ものづくりプレス
2025-01-03
海水で溶けるプラスチック開発!マイクロプラ抑制に期待
理化学研究所をはじめとする研究チームは、新たに海水中で分解し、自然に戻る特性を持つプラスチックを開発したと発表しました。
この成果は、海洋に浮かぶプラスチック由来の微小な粒子「マイクロプラスチック」が生態系に与える影響が懸念される中で、環境汚染の抑制に貢献する可能性があります。
この記事では、理化学研究所の研究チームが開発した、海水中で分解され、マイクロプラスチックを生成することなく自然に戻る特性を持つ「超分子ポリマー」を使った新しいプラスチックについて紹介します。
マイクロプラスチックの影響
最近、地球温暖化が原因とされる大きな自然災害が世界中で増えており、私たち人間や他の生物の未来に対して警鐘が鳴らされています。
そのため、私たちの生活スタイルをできるだけ早く見直すことが必要だと言われています。
廃プラスチック問題も、地球温暖化や環境汚染を進めてしまう大きな原因のひとつです。
従来のプラスチックは石油を主な原料としており、海中では分解されず、長期間残留します。
その中で、マイクロプラスチックは直径5ミリ以下の微細なプラスチック粒子で、プラスチックごみが海に流れ込み、紫外線や波の影響で細かく砕けることによって発生します。
九州大学の研究によれば、タイ周辺の海域では、紫外線で劣化した微小プラスチックがサンゴに蓄積し、海洋生態系に長期的な影響を及ぼすことが明らかになりました。
この現象は、サンゴが死後もプラスチックを含んだまま海底に残り、千年単位で環境中に留まるという、私たちの想像を超えるスケールの課題です。
自然に戻る新しい超分子ポリマー
今回のチームは、食品添加物などに使われる2種類の物質を組み合わせて、分子が結びついた集合体である「超分子ポリマー」の新しいプラスチックを開発しました。
このプラスチックは塩水に入れると、元の原料まで分解し、マイクロプラスチックを生成することなく自然に戻ることが確認されました。
この研究を率いた理研の相田卓三グループディレクターは、「この新しいプラスチックは原料が安価で、従来のプラスチックよりもリサイクルしやすい。また、燃えにくいため、温室効果ガスを排出しないという利点もある」と述べています。
従来のプラスチックに匹敵、あるいはそれらをしのぐ性能を備えた無色透明で超高密度のガラス状超分子プラスチックを得ることに成功しました。
また、東京大学の伊藤耕三特別教授(高分子材料)は、「この研究は画期的な成果であり、将来的にはリサイクルが難しかったプラスチック製品、例えば感染症対策用の遮蔽板や透明なコップなどの代替品として利用される可能性がある」と話しています。
今後の期待
今回の研究では、二種類のイオン性モノマーを使い、結びつくと同時に相分離する性質を活かし、超分子ポリマーの可逆的な結合を抑えることで、超分子プラスチックの安定性を大きく向上させました。
例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウムのようなイオン性モノマーを使えば、超分子プラスチックの概念をもっと広く一般化することも可能になります。
この研究は、「超分子ポリマーは弱くて役に立たないのか、それとも革新的な素材として活躍できるのか?」という問いに、新しい答えを提示しています。
環境問題は私たち一人ひとりにとって重要な課題です。この新しいプラスチックが、未来の海洋汚染を防ぐ大きな力となることを願っています。
今後も研究が進み、もっと多くの場所で使われるようになることを期待しながら、私たちも環境に配慮した選択をしていきたいですね。
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