ものづくりプレス
2025-01-22
コストと品質でどう違う?ゴム金型の海外製と国内製比較ガイド
かつて「金型大国」と呼ばれた日本。
世界一の生産額を誇り、年間で2兆円近くの金型を生産していました。
しかし、2000年以降、日本の金型産業には大きな変化が訪れました。
自動車や家電メーカーが次々と海外へ拠点を移したり、中国などの新興国の企業が急成長したりしたことで、日本国内の金型需要が減少。
2009年には中国に生産額で追い越され、「世界一」の座を譲ることになったのです。
生産額が減少しただけでなく、金型工場の数やそこで働く人の数も大幅に減少しています。
ただし、1社あたりの生産額は増えており、この20年で日本の金型産業は少しずつその形を変えてきています。
この記事では、日本の金型産業の現状や課題、そして海外製金型との比較などを詳しく見ていきます。
金型産業の現状を数字で見る
経済産業省の統計によると、2018年の日本の金型生産額は約1兆4752億円で、前年比3.4%減少しました。
この数字は1998年のピーク時(約1兆8954億円)の8割弱にまで減っています。
特に大きな影響を受けたのは、プラスチックやゴム金型です。
2018年のプラスチック型の出荷額は約4326億円で前年比6.1%減少、ゴムやガラス用の金型は約442億円で2.6%減少しました。
20年前と比べると、3~4割ほども減少しています。
なぜ減ってしまったのか?
最大の理由は、新興国の成長です。
特に中国は、目覚ましい成長を遂げました。
国際金型協会によると、2016年の中国のプラスチック・ゴム金型の生産額は約121億ドルで、日本とほぼ同じ規模にまでなっています。
また、タイやベトナムなどの東南アジア諸国も技術をどんどん向上させ、日本との差が縮まっています。
日本の金型が持つ強みと課題
最近では、高精度な金型について、日本製と中国や韓国製の価格差がほとんどないと言われるようになってきました。
低精度な金型の場合、中国や韓国の製品は圧倒的な価格競争力を持っています。
なぜなら、彼らは日本製の1/4~1/2ほどの価格の工作機械を使い、安い人件費や材料を活用して、製造コストを日本の1/4程度にまで抑えているからです。
その結果、低価格な金型が市場で流通しています。
しかし、高精度な金型となると話は別です。
この分野では、安い工作機械ではなく、高精度な日本製の工作機械を使う必要があり、場合によっては高品質な日本製の材料を指定されることもあります。
そのため、人件費は安くても、製造コスト全体としては日本製と比べて8~9割程度にしか下がらないのが現実です。
つまり、高精度な金型においては、価格面での差はそれほど大きくないのです。
金型が支える日本のものづくり
「完成品の品質は部品の精度を超えられず、部品の精度は金型の精度を超えられない」と言われるように、金型の品質は製品全体の品質に直結します。
そのため、高品質を求める企業にとって、金型産業はものづくりの「縁の下の力持ち」的な存在です。
日本が国際競争力を維持するためには、金型産業の発展が欠かせません。
金型のような分野では、工作機械やNCシステムの技術改良だけでは補えない「職人技」や「熟練技術」が求められます。
こうした技術は、簡単に他国に追いつかれるものではありません。
今後の展望
金属だけでなく、プラスチックの分野でも新しい動きがあります。
例えば、自動車の軽量化に伴い、新素材の開発が進み、それに合わせた高度な金型が求められています。
こうした高度な要求に応えられる技術力を持つ日本の金型メーカーは、これからも世界で戦える可能性を秘めています。
まとめ
いかがでしたか?
日本の金型産業は、かつての栄光を失ったように見えるかもしれませんが、高度な技術力を活かして新しいニーズに応える力があります。
新素材や高精度な製品が求められる中で、その存在感はますます重要になるでしょう。
これからどのように進化していくのか、引き続き注目していきたいですね。
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