ものづくりプレス

2025-01-16

ラテックスアレルギーとは?ゴム製品の使用時に知っておきたいこと

ラテックスアレルギーは、天然ゴム製品に含まれるラテックスが引き金となり、即時型アレルギー反応を引き起こす疾患です。ラテックスに触れることで、特異的IgE抗体が反応し、以下のような症状を引き起こします。


・接触性蕁麻疹:ラテックスに触れた皮膚に赤みや腫れ、かゆみが現れる。
・喘息様の症状:気道が狭くなり、息苦しさや咳、喘鳴が生じる。
・アナフィラキシー:急激な血圧低下や意識障害を伴う全身性のアレルギー反応。
・アナフィラキシーショック:命に関わる重篤な状態に発展することもある。


特に、医療従事者や頻繁に医療機器を使用する患者は発症リスクが高く、国内では医療従事者の有病率は3.3~13.8%とされています。一方、一般人では1%未満ですが、過去にはアメリカで1,000例以上のアナフィラキシーショックの報告があり、15例が死亡に至った事例もあります。


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ラテックスとは?

ラテックスは、天然ゴムの主成分であり、医療用手袋やカテーテル、絆創膏などの医療用品から、炊事用手袋、風船、輪ゴム、コンドームといった日用品にまで幅広く使用されています。この天然ゴムは、Hevea brasiliensis(ゴムの木)の幹から採取される乳白色の樹液を原料とし、そこにはさまざまなタンパク質が含まれています。
このタンパク質がアレルギーの原因物質(アレルゲン)となり、人体がこれを異物と認識してIgE抗体を作ることでアレルギー反応が引き起こされます。特に感作(アレルギーを引き起こしやすい状態)が進むと、再びラテックスに触れた際、より重篤な症状が発生するリスクが高まります。


ラテックス感作のメカニズム

ラテックス感作は、ラテックスに含まれるアレルゲンが体内に侵入することで始まります。以下はその仕組みです。


1.皮膚の傷からの侵入
皮膚に小さな傷があると、ラテックスのアレルゲンがそこから体内に入り込みます。免疫系はこれを異物と認識し、抗体を作り出します。これが「感作」と呼ばれる状態です。


2.再接触時の反応
感作された状態で再びラテックスが体内に入ると、免疫細胞が異物を攻撃しようとし、アレルギー反応が引き起こされます。


3.パウダー付き手袋による感作
医療用のパウダー付きラテックス手袋は、手の滑りを良くするためにパウダーが使用されています。このパウダーには多くのラテックスアレルゲンが付着しており、手袋を外す際に空気中に飛散します。これを吸い込むことで鼻や気管の粘膜からも感作が進む可能性があります。


ラテックスアレルギーへの対処法

現在、ラテックスアレルギーを完全に治す治療法はありません。そのため、以下のような予防と対処が重要です。


1. ラテックス製品の使用を避ける
アレルギーがある場合、ラテックス製品を避けることが最も効果的な対策です。特に医療用手袋やカテーテル、日常生活で使用するゴム製品には注意が必要です。


2. ラテックスフリー製品の利用
現在では、ラテックスを含まない手袋や医療機器が多数開発されています。医療従事者やアレルギーを持つ患者は、ラテックスフリー製品を選択することでリスクを軽減できます。


3. アナフィラキシーへの備え
アナフィラキシーを発症するリスクがある場合、**アドレナリン自己注射薬(エピペン)**を携帯することが推奨されます。症状が出た際は直ちに使用し、医療機関を受診する必要があります。


4. 症状に応じた治療
・蕁麻疹やかゆみ:抗ヒスタミン薬の服用や外用薬を使用。
・喘息症状:気管支拡張薬の吸入や内服、必要に応じてステロイドを服用。
・アナフィラキシー:医療機関ではアドレナリンの筋肉注射が行われます。


まとめ:ラテックスアレルギーと向き合うために

ラテックスアレルギーは、日常生活や医療現場で非常に身近な問題です。正しい知識を持ち、以下を実践することで安全な生活環境を整えられます。


・ラテックス製品を避ける。
・アナフィラキシーのリスクに備えた対策を取る。
・周囲と情報を共有し、アレルギーに対する理解を深める。


これらを実践することで、アレルギーによる健康リスクを軽減し、安心して生活を送ることが可能です。