ものづくりプレス
2025-03-11
タイヤの未来を変える?リサイクルゴムの新技術とは
「サステナビリティ」という言葉を耳にする機会が増えていますが、日常生活でどう取り組むべきか悩む方も多いのではないでしょうか?
実は私たちが当たり前に使っているタイヤにも、環境に配慮した「リサイクル技術」が活用されていることをご存じですか?
車や自転車に欠かせないタイヤですが、年間で約100万トンもの廃タイヤが発生しています。
それらをそのまま廃棄するのではなく、新たな価値を生み出す「リサイクルゴム」として再利用する技術が進化しており、サステナブルな社会づくりに一役買っています。
この記事では、リサイクルゴムの仕組みやメリット、そしてタイヤ技術がどのように環境問題に貢献しているかをご紹介します!
リサイクルゴムの5つのメリット
リサイクルゴムを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
コストの削減
リサイクルゴムは、通常のゴムに比べて加工時間が短く、生産効率が高いため、低コストで調達可能です。
これにより、製品の価格を抑えられるため、より多くの顧客に選ばれる可能性が高まります。
多様な製品への応用が可能
リサイクルゴムは通常のゴムよりも押し出しや成形がしやすく、さまざまな製品に活用できます。
また、安定した可塑性があるため、他の素材と組み合わせた新しい製品の開発にも適しています。
廃棄物の削減に貢献
リサイクルゴムは、これまで廃棄されていたゴム素材を再利用することで、ゴミの排出量を減らします。
廃タイヤなどの年間排出量は約100万トンとされていますが、これらを再生素材として活用すれば、大幅なゴミ削減が期待できます。
不法投棄の防止
廃材となったタイヤやチューブの不法投棄は、近年深刻な問題となっています。
リサイクルが広がることで、これらの廃材が適切に再利用され、不法投棄の減少につながります。
不法投棄を防ぐことで、悪臭や発火といったトラブルのリスクも軽減できるでしょう。
循環型経済(サーキュラーエコノミー)の促進
リサイクルゴムを活用することで、廃棄されるはずだったゴム資源を循環させることができ、サーキュラーエコノミーの実現に近づきます。
サーキュラーエコノミーとは、資源を有効活用しながら循環させる経済システムで、持続可能な社会を目指すうえで重要な概念です。
天然ゴムは環境に優しい素材ですが、限りある資源を効率的に活用するため、リサイクルゴムの利用がより持続可能な選択となります。
企業がこの仕組みに積極的に取り組むことで、焼却処分時の環境負荷の削減にも寄与します。
リサイクルゴムのデメリット
一方で、リサイクルゴムにはいくつかの課題も存在します。
品質の低下
リサイクルゴムは高温・高圧・高速の加工過程で素材にダメージを与えるため、天然ゴムと比較して品質が劣る場合があります。
ニオイの問題
再生工程で使用する原料や薬品による独特な強いニオイが課題となっており、製品化の際には注意が必要です。
これまではリサイクルゴム単体での使用が難しく、他の素材と混ぜて利用されるのが一般的でした。
しかし近年では、こうしたデメリットを克服するための技術が進歩しており、高品質なリサイクルゴムの開発が進んでいます。
サステナブルな社会を目指し、リサイクルゴムにはさらなる技術革新と普及が期待されています。
廃タイヤのリサイクルの現状
現在、廃タイヤのほとんどがリサイクルされており、2020年には約97%がリサイクル利用されています。
その具体的な内訳をご紹介します。
サーマルリサイクル(熱回収)
廃タイヤを単に焼却処分するのではなく、焼却時に発生する熱エネルギーを回収し、発電や燃料として利用する方法です。
この方法は廃タイヤリサイクルの中で最も一般的で、全体の65%を占めています。
具体的には、44%が製紙工場、10%が化学工場などで利用されています。
ただし、ペーパーレス化の進展に伴い製紙工場の生産量が減少しており、リサイクル利用量も減少傾向にあるようです。
海外輸出リサイクル
廃タイヤを中古タイヤやタイヤチップとして海外に輸出し、燃料やその他の用途に再利用する方法です。
特にタイヤチップは、発展途上国で代替燃料として利用され、重要なエネルギー資源として注目されています。
マテリアルリサイクル(材料再利用)
廃タイヤのスチールコードや強化繊維を取り除き、ゴム部分を粉砕して粒状に加工し、再生ゴムの原料やゴム製品、舗装材などの素材として再利用する方法です。
燃料利用ではなく、素材として再び活用するマテリアルリサイクルは、ゴム製品メーカーの間で見直されています。
たとえば、ゴムマットはこの分類に含まれます。
リユース(再利用)
状態の良い廃タイヤを、中古タイヤや更生タイヤ(トレッド部分を交換したタイヤ)として再利用する方法です。
タイヤの摩耗や劣化は主にトレッド部分で発生するため、その他の部分は再利用可能な場合が多いです。
更生タイヤは、飛行機やバス、トラックなどの大型車両で採用されることが多い一方、一般車両向けにはコストや信頼性の課題から普及が進まず、リサイクル率はわずか5%にとどまっています。
まとめ
リサイクルゴムや廃タイヤの再利用についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
普段何気なく使っているタイヤが、サステナブルな未来をつくる一助になると考えると、とても身近に感じられますよね。
大きなことを始めるのは難しくても、「リサイクルされた製品を選ぶ」「資源を大切にする」という小さな行動なら、私たち一人ひとりにもすぐに始められます。
地球にも未来にも優しい選択を、日々の暮らしの中に少しずつ取り入れてみませんか?
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