ものづくりプレス
2025-04-12
真空成形と圧空成形の違いと適用例
「真空成形」と「圧空成形」、聞いたことはあるけれど、どんなものなのか詳しく知らない方も多いかもしれません。
これらはプラスチックシートを使ってさまざまな製品を作り出す技術です。
たとえば、家電の外装や自動車のパネル、さらには医療機器のケースなど、私たちの身近なアイテムにも活用されています。
それぞれの方法には得意な分野があり、製品の形状や用途に応じて使い分けられます。
このような成形技術は、デザイン性と機能性を兼ね備えた製品を実現するために欠かせないものです。
この記事では、「真空成形」と「圧空成形」の基本や手順、特徴を分かりやすくご紹介していきます。
身近な製品がどのように作られているのか、ぜひ一緒に探ってみましょう!
真空成形と圧空成形の基本知識①
真空成形とは?
真空成形は、プラスチックシートを加熱して柔らかくし、金型に真空で吸い付けて形を作る方法です。
これを使えば、大きな製品でも比較的低コストで作ることができるため、家電の外装や自動車のパネルなど、さまざまな製品に利用されています。
真空成形の手順
加熱
プラスチックシートをオーブンで温め、柔らかくします。
真空吸引
温めたシートを金型に乗せ、真空ポンプで吸い寄せてシートを金型にぴったりと密着させます。
冷却
シートが冷えて形が固定されるのを待ちます。
トリミング
不要な部分を切り取って、完成形に仕上げます。
真空成形のメリットとデメリット
メリット
大きな成形品を低コストで作れる
型を作る費用が安い
生産が早くできる
プロトタイプから量産まで対応可能
デメリット
複雑な細かいディテールの再現が難しい
厚みや寸法にバラつきが出やすい
一部の材料では成形が難しいことがある
真空成形に使う材料
ABS
強度や耐衝撃性が高く、家電や自動車部品に使われます。
PVC
耐薬品性があり、医療機器や化学装置に適しています。
PET
透明性があり、食品包装や飲料容器に使用されます。
PC
耐熱性や耐衝撃性に優れていて、電子機器や防護具に使われます。
真空成形と圧空成形の基本知識②
圧空成形とは?
圧空成形は、真空成形の進化版で、金型にプラスチックシートを押し付けるために、真空と空気圧を使う方法です。
この方法では、真空成形よりも細かいディテールや複雑な形状を作りやすくなります。
圧空成形の手順
加熱
プラスチックシートを加熱して柔らかくします。
真空と空気圧
シートを金型に置き、真空でシートを引き寄せた後、空気圧をかけてさらに密着させます。
冷却
金型にぴったりと密着した状態でシートを冷やし、形を固定します。
トリミング
不要な部分を取り除いて完成です。
圧空成形のメリットとデメリット
メリット
より精密でシャープな形状が可能
複雑なデザインにも対応
細かいディテールも再現しやすい
デメリット
真空成形よりコストが高くなることがある
加工時間が少し長くなる
圧空成形に使う材料
ABS
強度や耐衝撃性に優れ、家電や自動車部品に使われます。
PVC
耐薬品性があり、医療機器や化学装置に利用されます。
PETG
透明性と耐衝撃性が高く、医療機器や食品包装に使われます。
HIPS
耐衝撃性が高く、家電製品や玩具に使われます。
これらの技術を使うことで、さまざまな製品のデザインや機能性に合わせた形を作り出すことができます。
それぞれの成形方法には特長があるので、製品の用途や必要な精度に応じて選ぶことが大切です。
成形品の特徴と用途
真空成形で作られる製品の適用例
真空成形は、比較的大きなサイズの製品やシンプルな形状のものを作るのに適しています。
以下のような製品でよく使われています。
パネル
家電や工業機械のパネル部分に使用
カバー
機械の保護カバーや外装カバー
トレイ
部品の運搬用や食品の包装用
家電製品の外装
エアコンや洗濯機などの外装部分
自動車のパネル
車の内装や外装パーツ
医療機器のケース
機器を保護し、持ち運びやすくするケース
圧空成形で作られる製品の適用例
圧空成形は、真空成形よりも高精度で複雑な形状を必要とする製品に向いています。
以下のような製品がその例です。
高精度が求められるカバー
電子機器や精密機器のカバー部分
ディスプレイ部品
タッチパネルやディスプレイのフレーム
精密機器の外装
医療機器や産業機械の細かな外装部分
どちらもそれぞれの特長を活かして、多くの場面で活躍しています。
製品の用途やデザインに合わせて、最適な方法を選ぶことがポイントです。
まとめ
「真空成形」と「圧空成形」について紹介しましたが、いかがでしたか?
私たちの身近な製品にも使われていると思うと、少し親しみがわいてきませんか?
用途やデザインに合わせた成形方法を選ぶことで、より良い製品が生まれるというのも、ものづくりの面白さの一つです。
この技術を知ることで、身近な製品を見る目が変わるかもしれません。
ぜひ、次に何かを手に取ったときには、「これってどうやって作られているんだろう?」と考えてみてくださいね!
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