ものづくりプレス

2025-04-14

ゴムの木の生産地とその社会経済的影響を考える

ゴムは私たちの身の回りに多く使われている素材ですが、その起源や生産には歴史的な背景や環境への影響があります。

もともとブラジルのアマゾンのジャングルで育てられていたゴムの木は、イギリス人によって他の地域へと広がり、現在ではタイやインドネシア、マレーシアなどが主要な生産地となっています。

しかし、ゴムの木を栽培するために森林が伐採され、環境問題や貧困など社会的影響も深刻化しています。


本記事でゴムの生産がもたらす課題を理解し、持続可能な方法を模索していくことが、私たちの未来にとって重要なステップとなるでしょう。

ゴムの木

天然ゴムの歴史

天然ゴムの歴史はとても古く、もともとはブラジルのアマゾンのジャングルで育てられていました。

実は、イギリス人がその種を持ち帰って植物園で育てることに成功したことが、現在の広がりにつながっているんです。


今では、天然ゴムの主要な生産国はタイ、インドネシア、マレーシアの3カ国で、なんと世界全体の生産量の約70%を占めています。


それでは、天然ゴムがどんなものに使われているかというと、実はそのほとんどが自動車のタイヤやチューブなんです。

全体の約80%がこれらに使われています。

ゴムが与える環境と社会的影響

ゴムの生産と利用はますます広がっていますが、その過程で環境や社会に問題も生じています。


まず、ゴムの木を育てるために広がる農園が原因で、森林がどんどん失われていることが問題です。

タイでは、2001年から2014年の間にゴム農園が160万ヘクタールも増え、その分、120万ヘクタールの森林が消えてしまいました。

これにより、希少な動物たちが住んでいる場所が減り、絶滅危機にあるトラやゾウ、ヒョウなどの生息地が脅かされています。


一方で、ゴム栽培は東南アジアの人々にとって大切な収入源でもあります。

特にタイでは、小規模な農家が90%を占めており、その多くは貧困に悩んでいます。

小規模農家が抱える課題は、ゴムの栽培方法や加工技術に関する知識が不足していることが多く、これが生産性の低さや品質の悪化を招いています。

そして、貧困が原因で違法な狩猟や森林破壊が進むこともあります。


さらに、ゴムの利用も環境に負荷をかけています。

タイヤが使われる過程で摩耗し、そのカスが道路に残ります。

これらは風や雨で海に流れ込み、海洋プラスチック汚染の一因となっています。

このタイヤくずは「一次マイクロプラスチック」と呼ばれ、海洋に排出されるプラスチックの約12.5%を占めています。

その中でも、タイヤくずは海洋プラスチック汚染の3.5%を引き起こしていると言われています。


ゴムの生産と利用は、環境や社会に様々な影響を与えていることがわかります。

ゴムのリサイクル

ゴムのリサイクルは進んでおり、特に日本では廃タイヤの90%以上がリサイクルされています。

でも、実際のところ、リサイクル方法の大半は焼却してエネルギーを再利用する「サーマルリサイクル」で、物として再利用する「マテリアルリサイクル」の割合はまだ少ないのが現状です。


理想的なのは、タイヤから新しいタイヤを作ったり、他の製品に再利用したりする効率の良いリサイクル方法の開発です。

今後、こうした方法が進むことが期待されています。


さらに、日本では毎年何万トンもの廃タイヤが不法投棄されている問題もあります。

環境意識の高まりにより減少しているものの、まだ不法投棄が続いています。


廃タイヤは「適正処理困難物」として処分が難しいため、自治体の粗大ゴミとしては出せません。

しかし、ガソリンスタンドやカー用品店、車の販売店などで処分できるので、適切に処理することが大切です。

リサイクル可能なものなので、環境汚染を防ぐためにも、正しい方法で処分することが重要です。

まとめ

ゴムに関する環境や社会的影響ににさまざまな課題が存在していますが、それでもゴムは私たちの日常生活に欠かせない素材です。

ゴム栽培の影響を最小限に抑え、持続可能な方法で生産していくことが今後の大きな課題となります。

また、ゴムのリサイクル技術を進化させることで、環境への負担を減らし、社会的影響を改善する道も開けるでしょう。

私たち一人ひとりがゴムの利用とその影響を理解し、より良い選択をすることが、未来のために大切だと言えます。