ものづくりプレス

2025-04-15

ゴムの木の成長と収穫:知られざるゴムの生産プロセス

私たちの身の回りには、ゴムを使ったものがたくさんあります。

タイヤ、長靴、手袋、文房具……。実はこれらのゴムの多くは、「ゴムの木」と呼ばれるパラゴムノキから採れる天然ゴムが原料になっているんです。


ゴムの木は、南米アマゾン川周辺の熱帯地域が原産で、現在では東南アジアなどでも盛んに栽培されています。

植えてから約6年で天然ゴムを採取できるようになり、その乳白色の液体(ラテックス)を固めてゴム製品が作られます。


また、ゴムの加工技術の発展により、より丈夫で使いやすい製品が生み出されてきました。

特に、自動車や飛行機のタイヤには、天然ゴムの弾力性や耐久性が欠かせません。


今回は、そんなゴムの成長から生産、そして暮らしへの活用までをご紹介します!

ゴムの木

ゴムとは

ゴムとは、力を加えて引っ張ると大きく伸び、手を離すと元に戻る性質を持った物質のことです。

この特性を持つゴムには、植物から取れる天然ゴムと、石油などを原料にして人工的に作られる合成ゴムがあります。


天然ゴムは、パラゴムノキという木の樹皮に傷をつけ、その傷口から出てくる乳白色の液体(ラテックス)を集めて固めたものです。

ゴムの伸び縮みする特性を活かして、ラテックスからゴムタイヤなどが作られます。

ゴムの木の栽培とゴムの生産方法

パラゴムノキの栽培

パラゴムノキは、アマゾン川が広がる熱帯雨林に生えている樹木で、特に高温多湿の環境で育ちます。

土壌はやせたラトソル土壌で、強い風に弱いため、東南アジアでは木を密集して植えて風を避けています。


天然ゴムを採取するには、木を植えてから6年以上経た樹木が必要です。

毎朝、樹木の幹に刃物で斜めに切り込みを入れ、その切り込みから流れ出る乳白色の液体(ラテックス)を集めます。

このラテックスが固まると天然ゴムになり、ゴム製品の原料として利用されます。


現代では、自動車のタイヤや使い捨て手袋、長靴などのラテックス製品として利用され、また電気を通さない特性を活かして絶縁体や免震ゴムとしても使われています。

ゴムの生産と利用

集めたラテックス(乳液)は、薬剤を加えて固められ、「生ゴム」になります。

固めた生ゴムは、いろいろな添加剤を加えて練り合わせ、形を整えた後、硫黄を加えて加工します。

この加工を「加硫(かりゅう)」と言います。


加硫を行うことでゴムの分子がつながり、網目状の構造ができます。

これにより、ゴムがさらに伸び縮みしやすくなり、普段私たちが使うゴム製品の弾力性が生まれます。


天然ゴムそのままでは温度変化に弱く、耐久性も低いため限られた用途しかありませんでした。

しかし、1839年に加硫法が発明されてから、ゴムタイヤなどの実用化が進み、現在のゴム産業に繋がっています。

タイヤには天然ゴムが欠かせない!

車のタイヤには、「天然ゴム」「合成ゴム」の2種類のゴムが使われています。

天然ゴムは、パラゴムノキから採れるゴムで、合成ゴムは石油を原料に作られたものです。

実は、タイヤに使われるゴムの半分以上が天然ゴムなんです。


なぜなら、天然ゴムは合成ゴムよりも「耐摩耗性(すり減りにくさ)」「弾性(伸び縮みする力)」に優れていて、タイヤに必要な強さやしなやかさを持っているからです。

合成ゴムは路面をしっかりつかむ(グリップ)力が高いので、天然ゴムと組み合わせることで、タイヤの性能をさらに向上させ、安定させることができます。

特に飛行機のタイヤには、もっと多くの天然ゴムが使われています。


天然ゴムの基本的な構造は、「イソプレン」と呼ばれる小さな分子が数千個以上も鎖のようにつながったものです。

この仕組みをまねた合成ゴムも作られていますが、今のところ、天然ゴムとまったく同じ性質を持たせることはできていません。

そのため、高性能なタイヤには、やっぱり天然ゴムが欠かせないのです。

まとめ

ゴムの生産方法について解説しましたが、いかがでしたか?

ゴムの木が育ち、天然ゴムが生産されることで、私たちは快適で安全な暮らしを送ることができます。

特にタイヤは、天然ゴムの弾力性や耐久性があるからこそ、スムーズな走行や安全性が保たれているのです。

これからもゴムの木の成長を支えながら、より環境に配慮したゴムの生産や活用方法が求められていくでしょう。

私たちの生活を支えるゴムの役割を知ることで、その大切さを改めて実感できるのではないでしょうか。