ものづくりプレス
2025-04-16
ゴム加工:精密な微細加工で実現する高機能ゴム部品
現代の産業界では、製品の小型化や高性能化が進む中で、「ゴム部品」の重要性がますます高まっています。とりわけ、精密な加工技術の進歩により、従来では不可能とされていた微細で高精度なゴム部品の製造が可能になりました。医療機器や宇宙開発、自動車、電子機器など、さまざまな分野で活躍するこれらの部品は、技術革新の恩恵を受け、より高品質・高機能な製品へと進化を遂げています。
本記事では、そんな「高性能ゴム部品」がどのような技術によって生み出されているのか、特に注目される精密な微細加工技術とNC旋盤による自動化加工に焦点を当ててご紹介します。
高性能ゴム部品を作るためのゴム加工
ゴムという素材は、柔らかく弾力性があり、気密性や絶縁性に優れるといった特性を持っています。このような性質を活かしつつ、高精度で複雑な形状の部品を製造するためには、高度な加工技術が不可欠です。特に近年では、従来の加工法では対応が難しかった微細な穴あけや凹凸の形成が可能となり、より精密で高品質なゴム部品の供給が実現しています。
精密な微細加工技術
近年、注目されているのが「微細加工技術」です。これは、髪の毛の1/6以下という非常に細い10μm(マイクロメートル)以下の穴や溝を、ゴムなどの柔らかい素材に正確に加工する技術です。従来の加工技術では実現できなかったこの微細レベルの加工は、精密さを求められるあらゆる分野で画期的な進歩をもたらしています。
たとえば、医療分野では内視鏡やカテーテルなどに使用される部品において、血液や空気の通過を精密にコントロールできるシール材やフィルターが求められます。こうした部品の製造には、微細な穴や溝を正確に成形できる加工技術が不可欠です。
また、大学や研究機関との共同開発により、人工歯の金型や、レーザー光を制御するための微細な光学パーツなどの製作にもこの技術が活用されています。さらに、超高精度が求められる宇宙開発の分野では、ロケット部品にも採用されており、過酷な環境下でも信頼性の高い性能を発揮するゴム部品が実現しています。
このように、微細加工技術は、単に「小さな部品」を作るだけでなく、「高い機能性と安定性」を備えた製品を生み出す要となっているのです。
NC切削加工
ゴム部品の精密加工を語る上で欠かせないのが、「NC旋盤」による切削加工です。NCとは「Numerical Control(数値制御)」の略で、あらかじめプログラムに入力した数値に基づき、機械が自動的に加工動作を行う仕組みです。これにより、従来の手作業による加工に比べ、格段に効率と精度が向上しました。
従来は「汎用旋盤」と呼ばれる手動操作の機械を職人が扱い、部品を一つひとつ丁寧に加工していました。しかし、熟練の技術を要し、作業には時間も労力もかかるうえ、仕上がりの品質にもバラつきが出やすいという課題がありました。
そこで登場したのが、NC旋盤による自動化加工です。加工条件を数値で設定すれば、同じ品質の製品を大量かつ安定して生産することができます。初期の設定には一定の知識や技術が必要ですが、一度プログラムを組めば、比較的経験の浅い作業者でも高度な加工をこなすことができるようになります。
また、NC旋盤では一人の作業者が複数台を同時に操作することも可能となり、人件費の削減や生産効率の向上にも大きく貢献しています。特に変形しやすいゴム素材の加工では、この自動化技術が力を発揮し、安定した品質と高い精度を両立することが可能になりました。
さらに、従来の技術では難しかった複雑な形状や異なる素材との組み合わせも、NC旋盤の活用によりスムーズに対応できるようになり、製品開発の自由度が大幅に向上しています。
精密シールゴム部品の製造と応用事例
微細加工技術やNC旋盤技術の進歩により、医療用ゴム部品の品質と機能性も飛躍的に高まりました。たとえば、内視鏡に用いられる遮光シールゴムや、血液や気体の漏れを防ぐ精密シールゴム部品などがその代表例です。これらの部品は、人の体内という極めて繊細で過酷な環境下でも正確に機能する必要があるため、極めて高い加工精度と素材の信頼性が求められます。
また、こうした部品の製造には、精密な寸法管理と異物混入の防止といった品質管理の徹底も不可欠です。ゴムという柔らかく伸縮性のある素材に対して、数ミクロン単位の制御を加えることで、医療現場に求められる厳しい要求を満たすことができるようになっています。
まとめ
今回ご紹介したように、ゴム部品の加工技術はこの数年で大きく進化を遂げています。とりわけ、微細加工技術とNC旋盤による自動化加工の登場は、製品の精度・信頼性・量産性を飛躍的に向上させる画期的なブレイクスルーとなりました。
医療分野では患者の命を支える精密部品として、宇宙開発分野では過酷な環境に耐えうる構造材として、ゴム高機能部品の需要は今後さらに拡大していくことでしょう。
これからもゴム加工技術は、ものづくりの現場を支える重要な存在として、私たちの生活や社会を陰ながら支えていくことが期待されます。技術の進歩によって広がる可能性に、引き続き注目していきましょう。
記事検索
NEW
-
2025/05/11金型不要のゴム加工で実現する高品質製品の製造プロセスゴム製品を作る際、「金型が...
-
2025/05/11金型不要で革新!ゴム加工の新技術とそのメリット「試作したいけど、金型を作...
-
2025/05/10オイルブリードの影響と活用ゴム製品を使用していると、...
-
2025/05/10アンチモン不足がもたらすポリオキシメチレン樹脂の価格上昇とその対策ポリオキシメチレン(POM)は...
CATEGORY
ARCHIVE
-
2025
お知らせ 151 -
2025
ゴム 151 -
2025
その他ものづくり 151 -
2025
成形・加工方法 151 -
2025
樹脂・プラスチック 151 -
2024
お知らせ 244 -
2024
ゴム 244 -
2024
その他ものづくり 244 -
2024
成形・加工方法 244 -
2024
樹脂・プラスチック 244 -
2023
お知らせ 41 -
2023
ゴム 41 -
2023
その他ものづくり 41 -
2023
成形・加工方法 41 -
2023
樹脂・プラスチック 41 -
2022
お知らせ 7 -
2022
ゴム 7 -
2022
その他ものづくり 7 -
2022
成形・加工方法 7 -
2022
樹脂・プラスチック 7 -
2021
お知らせ 18 -
2021
ゴム 18 -
2021
その他ものづくり 18 -
2021
成形・加工方法 18 -
2021
樹脂・プラスチック 18