ものづくりプレス

2025-04-19

ゴムと金属の複合加工:強度と柔軟性を兼ね備えた新素材開発

ゴムと金属、それぞれの良さを活かした新しい素材が登場しました。

産業技術総合研究所(産総研)と東京大学は、ゴムのように柔らかく、金属並みの高い熱伝導性を持つゴム複合材料を開発しました。

さらに、三菱マテリアル株式会社も、金属並みの高温耐性とゴムの柔軟性を兼ね備えた「金属ゴム」を開発。

これらの新素材は、熱管理が求められる製品や高温環境で柔軟性が必要な用途に適しています。

ゴムと金属の複合加工によって、さまざまな産業で革新を起こすことが期待されています。


本記事では、ゴムと金属の複合加工の最新技術をご紹介します。

ゴム


産業技術総合研究所 金属並みの熱伝導性を持つゴム複合材料を開発

産業技術総合研究所(産総研)と東京大学の研究チームが、ゴムのように柔らかいのに金属並みの熱伝導性を持つ新しいゴム複合材料を開発しました。

この素材は、カーボンナノファイバー(CNF)とカーボンナノチューブ(CNT)という2種類の繊維状カーボンと、特殊なポリマー「ポリロタキサン」を組み合わせたものです。


これまでは、繊維状カーボンをゴムにうまく混ぜるのが難しかったのですが、水中プラズマ技術を使ってカーボンの表面を改良し、さらに電界を使ってCNFを整列させました。

その結果、材料は柔らかさを保ちながらも、14 W/mKという非常に高い熱伝導性を持つことができました。


この新しいゴム複合材料は、フレキシブルな電子機器の放熱シートや熱を効率よく逃がすための放熱板など、熱管理が求められる製品に活用されることが期待されています。



ポイント

2種類の繊維状カーボンを使ってネットワークを作り、金属並みの熱伝導率を実現

ゴムの素材に特別なポリマーを使うことで、カーボンをたっぷり加えてもゴムの弾力を保つ

フレキシブルな電子機器の放熱シートなど、熱をうまく管理するための素材として活躍


三菱マテリアル株式会社 「金属ゴム」を開発

三菱マテリアル株式会社は、金属のように高温にも耐えられ、ゴムのように柔軟性を持つ全く新素材「金属ゴム」を開発しました。

これまで、柔軟性が必要な場面ではゴムなどの有機材料が使われてきましたが、これらは高温に弱いという課題がありました。

一方で、金属は高温に強いものの、硬くて柔軟性には欠けていました。


そこで、両方の特性を兼ね備えた素材を作り出すために、ヤモリの足裏にある特殊な毛にヒントを得て、金属の表面に微細な形状を作る技術を応用しました。

その結果、金属並みの高温耐性と、ゴムのような柔軟性を持つ「金属ゴム」が誕生したのです。


この新しい素材は、特に高温でも柔軟性が必要な接着や仮固定の用途にぴったりです。

今後、航空宇宙や半導体、医療など、さまざまな分野で活用されることが期待されています。


まとめ

いかがでしたか?

ゴムと金属の特性をうまく融合させた新素材の開発は、今後の技術革新に大きな影響を与えるでしょう。

これらの新しい素材は、電子機器の熱管理や航空宇宙、医療分野など、多くの産業での活用が期待されます。

ゴムと金属の複合加工によって、従来の制約を超えた柔軟性と強度を兼ね備えた製品が登場し、より高機能で効率的なものづくりが可能になります。

新素材の発展がもたらす未来には、さらなる可能性が広がっています。