ものづくりプレス

2025-05-04

難燃グレード樹脂材料の高騰、アンチモン不足が引き起こす価格波乱

最近、アンチモンの価格が急激に上昇しており、業界では大きな話題になっています。

特に、難燃グレード樹脂材料の需要が増えていることが、価格高騰の一因とされています。

アンチモンは、難燃剤として様々な製品に使用されており、特に電子機器や建材などで重要な役割を果たしています。

さらに、カーボンニュートラル政策の影響で、太陽光発電関連の設備でも使用されるようになり、需要が一段と高まっています。


本記事では、アンチモン価格高騰の背景にある供給不足や需要増加の要因、そして市場の今後の動向について紹介します。

アンチモン


アンチモン価格高騰の背景にある供給不足と需要増加

最近、アンチモンの価格がどんどん上がり、業界内で大きな話題になっています。

特に今年に入ってからは価格上昇の勢いが増し、なんと12年ぶりの最高値を記録しました。

この値上がりの理由は、主に「供給の減少」と「需要の増加」の2つに分けられます。



供給が追いつかない理由

短期的には、季節的な要因で生産量が減る時期に入っているため、市場に出回るアンチモンの量が少なくなっています。


さらに長期的に見ると、そもそも採れる鉱石の量が減ってきており、資源そのものが少なくなっているのも問題です。





需要はどんどん増加中

一方で、アンチモンを必要とする産業では需要が高まっています。


特に、難燃剤や電子部品を扱う業界では、景気回復とともにアンチモンの消費量が増えているのです。

また、政府の「二酸化炭素排出削減(カーボンニュートラル)」政策の影響で、太陽光発電関連の設備にもアンチモンが使われるようになり、さらに需要が拡大しています。




価格上昇の影響は?

供給が少なく、需要が高まれば、当然価格は上がります。


実際、1月22日にはアンチモンインゴットの価格が一斉に上昇し、最も高いものでは1トンあたり90,560元(約185万円)に達しました。


この価格上昇は、アンチモンを扱う企業にさまざまな影響を与えています。

鉱山企業(採掘する側)

アンチモンが高く売れるので利益は増えるが、資源不足と採掘コストの上昇に苦しんでいる。


加工企業(製品に使う側)

原材料価格が上がることで、製造コストが増え、製品の価格競争力が落ちるリスクがある。



今後もアンチモンの需要が伸びると予想されるため、価格がさらに上がる可能性もあります。

企業は原材料の確保やコスト管理にますます工夫を求められそうです。

アンチモン市場の現状と今後の動向


アンチモン市場は今後も成長を続ける

アンチモンの市場規模は、2024年には約96.72キロトンと推定され、2029年には104.17キロトンに達すると予測されています。


年間の成長率(CAGR)は1.5%とされ、今後も緩やかに拡大していく見込みです。


しかし、COVID-19の影響で、世界中の鉱山が一時的に操業停止になり、サプライチェーンが混乱。労働力不足も重なり、アンチモンの供給に大きな影響を与えました。

それでも、電池やセラミックなど、さまざまな分野でアンチモンの需要が伸びており、市場全体としては成長が期待されています。


特に、ペットボトルの原料であるPET樹脂やプラスチック業界からの需要が増えており、これが市場拡大の大きな要因になると考えられています。




代替材料の開発と環境問題への懸念

その一方で、アンチモンの代わりとなる材料の開発や、環境・健康への影響を懸念する声もあり、市場の成長を妨げる要因となる可能性があります。


とはいえ、アンチモンのリサイクル技術が進めば、今後の供給安定化につながるかもしれません。


まとめ


アンチモンの需要は今後ますます増えると予測されています。

特に、難燃グレード樹脂材料を使った製品が増えることで、市場がさらに活発になるでしょう。

しかし、供給不足や環境への影響を考えた代替材料の開発も進んでおり、これが今後の市場に大きな影響を与えるかもしれません。

企業にとっては、原材料の確保やコスト管理がますます重要になり、変動する市場にうまく対応していくことが求められるでしょう。