ものづくりプレス

2025-06-19

オイルシールの材質比較|耐久性・摩擦特性を考慮した最適選定

オイルシールは、機械の性能を保つために非常に重要な部品です。

しかし、オイルシールの材質を選ぶ際には、使用する環境や条件に合わせた選定が不可欠です。

たとえば、高温や低温、油や薬品との接触など、様々な要素に耐える必要があります。

耐久性を高めるためには、適切な材質を選ぶことが重要です。

ニトリルゴムやフッ素ゴム、シリコーンゴムなど、それぞれの材質には特徴があり、使用環境に適したものを選ぶことで、長期間にわたり安定した性能を発揮できます。


この記事では、オイルシールに使われる主な材質とその特徴を詳しく解説し、用途に合った最適な選び方をご紹介します。

オイルシール

主な材質とその特徴

オイルシールには、使用する場所や環境に応じてさまざまな材質が使われており、それぞれに特徴があります。 ここでは、主要な材質とその特徴をわかりやすく紹介します。



ニトリルゴム (NBR)

ニトリルゴムは、-30℃ ~ +120℃の温度範囲で使用できます。

このゴムは、オイルや燃料に強く、耐摩耗性にも優れています。

そのため、自動車のエンジンやギアボックスなど、油が使われる場所でよく使われます。


フッ素ゴム (FKM)

フッ素ゴムは高温でも使える素材で、温度範囲は-20℃ ~ +200℃です。

特に耐熱性や耐油性、耐薬品性が優れているため、化学工業や航空宇宙など、高温環境下でよく使用されます。


シリコーンゴム (VMQ)

シリコーンゴムは、-50℃ ~ +200℃の広い温度範囲に対応しており、低温で柔軟性を保ち、高い耐熱性も持っています。

そのため、医療機器や食品産業、低温環境でも活躍します。


エチレンプロピレンゴム (EPDM)

EPDMは、-50℃ ~ +150℃という温度範囲で使用でき、耐候性や耐水性に優れています。

しかし、油に対しては弱いため、自動車部品や建築、蒸気環境などでの使用が多いです。


ポリウレタン (PU)

ポリウレタンは-40℃ ~ +80℃の温度範囲で使用でき、高い耐摩耗性や機械的強度を持っています。

高摩耗環境や工業用機器に最適な素材です。


ポリテトラフルオロエチレン (PTFE)

PTFEは、-200℃ ~ +260℃という非常に広い温度範囲に対応できる素材です。

耐熱性、耐薬品性、低摩擦性に優れており、高温や高圧、腐食性環境での使用に適しています。

材質選定のポイント

オイルシールの材質を選ぶ際には、温度条件をしっかり考慮することが大切です。

たとえば、高温の環境ではフッ素ゴムやPTFE、低温環境ではシリコーンゴムが適しています。

さらに、オイルや薬品、水など、接する流体との相性も重要なポイントです。

油に強いニトリルゴム、化学薬品に強いフッ素ゴムなど、用途に応じて選びましょう。


また、摩擦や圧力が強い環境では、ポリウレタンやPTFEが優れた選択肢となります。

最後に、コストと耐久性のバランスも考慮して、過剰な性能を避けることが経済的な選び方となります。

具体的な用途例

自動車産業

自動車では、エンジンやトランスミッションシステムで耐油性と耐摩耗性が求められます。

ニトリルゴムやフッ素ゴムが主に使われています。


食品・医療分野

シリコーンゴムは、非毒性であるため食品や医療用途に最適です。

これにより、食品との接触や医療機器での使用が可能になります。


化学工業

腐食性の薬品を扱う環境では、PTFEやフッ素ゴムが選ばれます。

これらの素材は耐薬品性に優れており、化学工業で多く利用されています。


用途や使用環境に合わせて適切な材質を選ぶことで、オイルシールの性能を最大限に引き出すことができます。

まとめ

オイルシールの材質選びは、機械の性能や耐久性を左右する重要なポイントです。

使用環境や求められる機能に応じて適切な素材を選ぶことで、長期間にわたって安定した性能を保ち、トラブルを防ぐことができます。

また、材質選定の際には、耐久性だけでなく、コスト面も重要な要素です。

過剰な性能を選んでしまうと、無駄なコストがかかってしまうこともあります。

用途や環境に合わせて、最適な素材を選ぶことが、経済的かつ効果的な選択となります。

ご紹介した素材の特徴を参考に、あなたの機械にぴったりなオイルシールを見つけてくださいね。