ものづくりプレス
2025-10-06
ゴムの硬度測定に使えるデュロメーターの選び方と使い方
ゴムの硬度測定とは?デュロメーターの基本原理を理解しよう
ゴム 硬度測定は、製品の感触・シール性・耐摩耗・加工性を左右する重要指標です。硬度は「押し込み抵抗」を数値化したもので、デュロメーター(硬度計)の圧子を一定力でゴムに押し当て、針の沈み込み量を0〜100のスケールで読み取ります。値が高いほど硬く、低いほど柔らかいことを示します。
ゴムは粘弾性体のため、押し込み直後と一定時間後で値が変わる「クリープ」や、温度・厚み・表面状態による誤差が発生します。正しいデュロメーターの選定と手順に従うことで、再現性の高いゴム 硬度測定が実現できます。測定の目的(受入検査、配合評価、工程管理、最終検査)を明確にし、対象の硬度域・形状・測定環境を整理することが第一歩です。
デュロメーターの種類と選び方
デュロメーターには複数のスケールがあり、対象物の硬さに応じて使い分けます。代表は以下の通りです。
- ショアA:一般的なゴムの硬度測定に最も多用。シール材、ゴムローラー、パッキンなどの中硬度領域(概ね20A〜90A)に適合。
- ショアD:硬質ゴム・プラスチック寄りの材料向け(50D前後〜)。高充填ゴム、硬質シート、ゴム樹脂複合材に。
- ショアOO(デュロOO):非常に柔らかい発泡ゴム・ゲル状エラストマー用(10OO〜90OO)。ウェアラブルや緩衝材の評価に有効。
選定のポイントは、①想定硬度域(スケールの中央付近で測れるか)、②試料形状(平滑面・十分な厚みが取れるか)、③環境(温度・湿度・清浄度)、④読み取り方式(アナログ/デジタル/荷重制御スタンド)です。ライン検査やデータ管理が必要なら、デジタル式+測定スタンドを推奨。スタンドは垂直荷重・一定速度・一定圧接を再現でき、作業者依存を抑えます。さらに、指示値の安定化とトレーサビリティ確保のため、校正用ブロック(標準硬度ブロック)の併用を検討しましょう。
正確に硬度を測るための測定手順とポイント
- 試料準備:表面は平滑で清潔に。厚みは6mm以上が理想(薄い場合は同材を積層して裏当て)。温度は室温安定(目安:23±2℃)に整えます。
- ゼロ調整・校正:測定前にデュロメーターのゼロ点確認。標準ブロックで日常点検を行い、異常があれば校正へ。
- 圧子の垂直保持:本体を試料面に対し垂直に接触。手持ちの場合は体重をかけず、スタンド使用時は下降速度を一定に。
- 圧接と保持時間:接触後、一定時間(例:1秒値と3秒値)を規定して読み取り。クリープの影響を最小化するため、読み取り時間は常に統一します。
- 測定点数:端部・リブ・刻印を避け、等間隔で5点以上測定し平均。ばらつきが大きい場合は外れ値を確認し再測定。
- 記録:硬度値に加え、温度・湿度・試料厚み・測定者・器差・スタンド有無などをログ化。再現性確保に直結します。
よくある誤差要因は、試料が薄い/曲面である、圧子先端の摩耗、表面の粉・油分、押し当て力のばらつき、環境温度の変動です。ゴム 硬度測定では「同一条件での繰り返し性」を最優先に運用しましょう。
測定結果の活用と品質管理への応用
硬度は、配合変更・可塑剤量・充てん材・加硫条件の違いを鋭敏に反映します。量産においては、規格値+管理限界(例:70A±5、管理幅±3など)を設定し、ロット間のばらつきを可視化。トレンドが逸れ始めた段階で配合・温度・成形圧の微調整を行う「予防保全」が有効です。
さらに、硬度と他特性の相関を活かすと、品質と生産性の両立が進みます。例えば、硬度×圧縮永久ひずみでシールのヘタリ予測、硬度×反発弾性でローラーの走行性を評価、硬度×引張強度で耐摩耗を推定する、といった使い方です。現場では、デュロメーターの結果をSPC(統計的工程管理)に取り込み、Xbar-R管理図で工程漂移を監視。異常が発生したら、測定条件の再確認→材料ロット/加硫履歴の追跡→設備点検の順で原因切り分けを行います。
最後に、顧客との合意仕様では「スケール(A/D/OO)」「測定条件(温度・保持時間)」「測定位置・点数」「機器の型式・校正周期」を明記しておくと、ゴム 硬度測定の解釈違いを防げます。適切なデュロメーター選定と標準化された手順、そしてデータ活用の仕組み化こそが、安定品質と不良低減への最短ルートです。
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