ものづくりプレス

2025-11-21

用途別ゴム材質の選び方・早見表|失敗しないゴム材料選定の基本

「どのゴム材質を選べば良いのか分からない」「とりあえず汎用ゴムを指定している」といったお悩みはありませんか。

ゴムは、材質によって耐熱性・耐油性・耐候性・耐薬品性が大きく異なり、用途に合わない材質を選んでしまうと、早期劣化・漏れ・破損などのトラブルに直結します。



この記事では、主要なゴム材質の特徴と、用途別のおすすめ材質を「早見表」形式で分かりやすく整理しました。

設計・調達・保全ご担当者さまの、ゴム材質選定の入門ガイドとしてご活用ください。

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1.ゴム材質選定の前に押さえたい4つのポイント

まずは、「どの材質を選ぶか」を考える前に、以下の4つの条件を整理することが重要です。


① 使用温度範囲

常温付近で使うのか、100℃以上の高温か、マイナス温度帯なのかで、選べる材質は大きく変わります。

例)-20〜+80℃であれば汎用ゴムで対応可能なケースが多く、150℃を超える場合はシリコーンやフッ素ゴムが候補になります。


② 接触する媒体(流体・ガス)の種類

水・油・燃料・薬品・ガスなど、接触する媒体によって適したゴムは異なります。

例)鉱物油にはNBRが強く、熱水やスチームにはEPDMが使われるケースが一般的です。


③ 屋内か屋外か(耐候性・耐オゾン性)

直射日光や風雨にさらされる屋外用途では、耐候性・耐オゾン性の高いEPDMやシリコーンが有利です。


④ 安全・規格要件 飲食・医療・半導体などの分野では、食品衛生法や各種規格への適合が必要になることもあります。

使用環境や業界規格も、材質選定の重要な条件になります。


これらの条件をざっくり整理したうえで、次の「ゴム材質の特徴」と「用途別早見表」を見ると、候補が絞り込みやすくなります。

2.代表的なゴム材質の特徴  (NR・SBR・CR・NBR・EPDM・FKM・シリコーン)

ここでは、工業用途でよく使われる代表的なゴム材質を、ざっくり比較できるように整理します。

NR(天然ゴム)・SBR(スチレンブタジエンゴム)

●NR

高い弾性と機械的強度が特徴。

耐摩耗性も良好で、タイヤ・防振材などに多用。


●SBR

NRに近い特性を持つ合成ゴム。

コストバランスが良く、一般産業用途で広く使用。


●弱点

耐油性・耐候性・耐オゾン性があまり高くないため、油・屋外・高温には不向き。

CR(クロロプレンゴム)

・耐候性・耐オゾン性・耐油性のバランスが良く、汎用性の高い材質。

・ベルト・ホース・シール材・防振材など多用途。

・「ひとまず何でもそこそこ対応できる」一方で、これといった突出した特性には乏しいため、厳しい条件では専用材質の検討が必要。

NBR(ニトリルゴム)

・耐油性に優れた代表的なゴム材質で、潤滑油・燃料油・グリスなどに接触する部位で多用。

・Oリング・オイルシール・パッキンなど、油圧・空圧機器にはほぼ必ず登場。


●弱点

耐候性・耐オゾン性・耐熱性はEPDMやFKMに劣るため、高温・屋外・熱水にはあまり向かない。

EPDM(エチレンプロピレンゴム)

・耐熱水性・耐候性・耐オゾン性に優れた材質で、屋外シール・パッキン・ホースなどに広く使用。

・水・熱水・スチーム・ブレーキフルード系に強いのが特徴。


●弱点

鉱物油・燃料油には弱く、油が絡む用途には不向き。

FKM(フッ素ゴム)

・耐熱(200℃級)・高耐油・高耐薬品を兼ね備えた高機能ゴム。

・自動車・化学プラント・石油精製・半導体など、厳しい条件下のシールに採用。


●弱点

コストが高く、低温性や圧縮永久歪など、配合によっては注意が必要。  

「困ったら何でもフッ素ゴム」ではなく、他材質で対応できないかも併せて検討するのがポイント!

シリコーンゴム(VMQなど)

・広い温度範囲(おおよそ-50〜+200℃)に対応し、耐候性・耐オゾン性にも優れる。

・電気絶縁性や無味無臭性から、電気・電子部品や食品・医療分野でも使用。


●弱点

機械的強度がNRやNBRほど高くなく、摩耗・切れが懸念される部分には不向きなこともある。

3. 用途別ゴム材質の選び方・早見表

ここからは、実務でよくある用途を切り口に、どのゴム材質が候補になりやすいかを早見表形式でまとめます。

※あくまで一般的な目安であり、実際には各社の配合や使用条件により大きく変わります。詳細は個別にご相談ください。


特性別・代表的なゴム材質の目安

特性ごとの「おすすめ材質」とコメントの目安です。


●耐油性(鉱物油・グリス)

・おすすめ材質:NBR / FKM / 一部CR  

・コメント:一般油圧・空圧はNBR、高温・特殊油はFKMが候補。


●耐燃料油(ガソリン・軽油など)  

・おすすめ材質:FKM / 特殊NBR  

・コメント:膨潤・硬化を起こしやすいため、事前評価が必須。


●耐熱水・スチーム  

・おすすめ材質:EPDM / 一部FKM  

・コメント:NBRは熱水に弱い。ボイラ・給湯系はEPDMが主役。


●候性・耐オゾン性(屋外)  

・おすすめ材質:EPDM / シリコーン / 一部CR  

・コメント:屋外ガスケット・ルーフシールなどに多用。


●高温(150℃以上)  

・おすすめ材質:FKM / シリコーン  

・コメント:使用温度と負荷条件によって使い分け。


●低温(-30℃以下)  

・おすすめ材質:シリコーン / 特殊NBR / 一部EPDM  

・コメント:低温で硬化しすぎない配合かどうかを確認。


●一般的な機械部品・防振  

・おすすめ材質:NR / SBR / CR  

・コメント:油・熱・屋外などの条件が厳しくない場合の汎用材。

用途別ゴム材質早見表(例)

用途ごとの使用条件と候補材質の例です。


●用途:油圧機器のシール(Oリング・パッキン)  

・代表的な使用条件:鉱物油・グリス、-20〜+100℃程度  

・候補材質:NBR  

・ポイント:標準はNBR。高温・特殊油の場合はFKMも検討。


●用途:給湯・給水系パッキン  

・代表的な使用条件:水・熱水、室内〜半屋外

・候補材質:EPDM  

・ポイント:耐熱水・耐塩素水性を重視。油接触がある場合は注意。


●用途:屋外建材シール(サッシ周りなど)  

・代表的な使用条件:雨・直射日光・温度変化  

・候補材質:EPDM / シリコーン  

・ポイント:長期耐候性がポイント。色や意匠性も考慮。


●用途:自動車エンジン周りのシール  

・代表的な使用条件:高温油・燃料・ガス  

・候補材質:FKM / 特殊NBR  

・ポイント:温度・油種・燃料との適合性を必ず事前評価。


●用途:食品機械用パッキン  

・代表的な使用条件:水・洗浄剤・油・温度変化  

・候補材質:シリコーン / EPDM / FKM(用途により)  

・ポイント:食品接触の可否・規格適合(食品衛生法等)も要確認。


●用途:防振ゴム・緩衝材  

・代表的な使用条件:常温〜中温、機械振動  

・候補材質:NR / SBR / CR  

・ポイント:荷重・変位量・周波数に応じて硬度設計が必要。


●用途:電気・電子機器のシール  

・代表的な使用条件:熱・湿気・絶縁性  

・候補材質:シリコーン / EPDM  

・ポイント:電気特性や難燃性グレードの有無もポイント。


実際の設計では、単純に「油だからNBR」「屋外だからEPDM」と決めてしまうのではなく、 「温度」「圧力」「使用頻度」「想定寿命」「安全上の重要度」なども含めて総合的に判断することが重要です。

4. よくある失敗パターンとチェックリスト

「とりあえず汎用ゴム」で選んでしまう

コストを優先して汎用ゴムを指定した結果、 数ヶ月で硬化・ひび割れが発生し、ライン停止や漏れに繋がるケースは少なくありません。

とくに、油・熱水・屋外・薬品が絡む箇所は、汎用ゴムではなく専用材質の検討が必要です。

温度条件を「常温」とだけ認識している

設計時の想定は常温でも、実際には日射・熱源・配管の輻射熱などで局所的に温度が上がっているケースもあります。

「環境温度」だけでなく、実際のゴム表面温度・媒体温度を想定・計測しておくことが重要です。

媒体の変化(洗浄剤・添加剤)を見落とす

初期設計時には問題なくても、その後に洗浄プロセスや添加剤が変わることで、ゴム材質が合わなくなるケースがあります。

「運用変更の影響」を考慮し、余裕を持った材質選定・評価を行うことが望まれます。

選定時のチェックリスト例

✅使用温度範囲(最低〜最高)は把握できているか?

✅接触する媒体(主媒体+洗浄剤・添加剤)は洗い出せているか?

✅屋外か屋内か、紫外線・オゾン・風雨の影響はあるか?

✅想定寿命・交換周期と、破損時のリスク(安全・環境・コスト)はどの程度か?

✅関連する法規制・業界規格(食品・医療・半導体等)はないか?

迷ったら「使用条件」と「リスク」の棚卸しから

本記事では、代表的なゴム材質の特徴と、用途別の選び方・早見表をご紹介しました。

ポイントを改めて整理すると、次の通りです。

・ゴム材質選定のカギは、「温度・媒体・設置環境・安全要求」の4点を整理すること。

・油にはNBR、熱水にはEPDM、高温・高耐薬品にはFKM、広い温度帯・耐候性にはシリコーンなど、用途ごとの「定番」が存在する。

・「とりあえず汎用ゴム」では、早期劣化や漏れなどのトラブルにつながるリスクがある。


実際には、同じ「NBR」「EPDM」でも、メーカーやグレード・配合によって性質は大きく異なります。

自社の使用条件に合わせた材質選定・評価を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、設備の安定稼働・メンテナンスコスト削減につながります。

用途に合ったゴム材質を個別に相談したい方へ

「うちの使用条件だとどの材質がベストか分からない」

「現在使っているゴム部品の寿命トラブルを減らしたい」 といったお悩みがあれば、用途・温度条件・接触媒体などをお知らせいただければ、 専門スタッフが最適なゴム材質をご提案いたします。


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など 「用途別ゴム材質の選び方・早見表を見た」と一言添えてお問い合わせいただくと、話がスムーズです!