ものづくりプレス

2025-11-29

脱炭素・省エネ要求はゴム部品にも影響する?軽量化・長寿命化に効く設計のヒント(後編)

こちらの記事は後編となります。

ぜひ

https://www.fujigom.co.jp/manufacturing/20251128-5598/

を先にお読みください!

ChatGPT Image 2025年11月28日 21_31_37

ゴム部品の見直しが脱炭素・省エネにつながった事例イメージ

ここでは、実際の案件をイメージしやすいように、 業界・用途を抽象化した事例イメージをご紹介します。

油圧機器のシール見直しで駆動電力を削減した例

油圧機器のシャフトシールにおいて、
「漏れを恐れるあまり接触圧を高めに設定していた」ケースでは、
材質と硬度を見直し
・リップ形状を最適化し、接触幅を適正化
・低摩擦タイプのグリースを組み合わせる
ことで、シール性を維持したまま摩擦トルクを低減できました。


その結果、
ポンプの起動トルク・定常トルクが低下
発熱・騒音も低減
電力消費とCO₂排出量の削減に寄与
という効果が得られました。

防振ゴムの構造最適化でモーター小型化に貢献した例

ある装置で、過剰に硬い防振ゴムが使われており、
振動とガタを抑えるために、モーターの容量を大きくせざるを得ない状況がありました。


そこで、
ゴム硬度と形状を最適化
必要な防振性能を維持しつつ、無駄な剛性を削減
したことで、装置全体の振動特性が改善し、
モーター容量のダウンサイズが可能になりました。


結果として、
装置全体の軽量化
消費電力の低減
騒音・振動の低減
につながり、ユーザー評価も向上しました。

ゴムパッキンの寿命延長でライフサイクルCO₂を削減した例

短寿命が課題だったゴムパッキンについて、
現場の温度・圧力・薬品条件を改めてヒアリングすると、
当初想定よりも厳しい環境にさらされていることが分かりました。


そこで、
材質を変更し、圧縮永久ひずみに強い配合へ
硬度を最適化し、必要なシール力と寿命のバランスを調整
溝形状・圧縮率を見直し
といった改良を行った結果、交換周期が約2倍になりました。


その結果、
部品製造・輸送・交換作業・廃棄に伴うCO₂が長期的に削減
保守回数の低減により、ユーザー側の稼働率も向上
という、環境面と経済面の両方にメリットが生まれました。


設計レビューで使える「ゴム部品・脱炭素チェックリスト」

最後に、設計レビューやVA/VE検討の場で使える 簡易チェックリストのイメージをご紹介します。

設計段階で確認したい10の質問

1.このゴム部品は、軽量化の余地が本当にないか
2.固体ゴムを、発泡ゴムや中空構造に置き換える選択肢はないか
3.金属+ゴム構造を、ゴム+樹脂や複合部品にできないか
4.シール抵抗を下げても、機能・安全上問題ない箇所はないか
5.現状の硬度・形状・圧縮率は、初期性能だけでなく寿命末期まで見据えて設定されているか
6.使用温度・圧力・薬品条件は、実際の現場条件を正しく反映しているか
7.寿命試験の条件は、現場の“最悪条件”をきちんと想定できているか
8.材質は、過剰なオーバースペック/危険なアンダースペックになっていないか
9.将来の脱炭素・環境規制を考えたときに、材料変更の余地を残した設計になっているか
10.設計変更によるCO₂削減効果を、社内で共有しやすい指標に落とし込めているか


これらの問いに向き合うことで、
「なんとなく従来通り」から一歩進んだ、根拠のある脱炭素・省エネ設計へ近づくことができます。

社内で「脱炭素・省エネ」の成果を説明するコツ

設計変更の意義を社内で理解してもらうには、

・部品1個あたりではなく、製品1台×年間出荷台数×寿命年数でのCO₂削減インパクト

・「交換回数」「メンテナンス工数」「停止時間」といった現場メリット

・モデルチェンジや新規案件提案の際にアピールできる環境性能の向上


といった観点で説明できると、経営・営業・生産部門にも伝わりやすくなります。

富士ゴム化成が支援できること:脱炭素・省エネを見据えたゴム部品の共同設計

富士ゴム化成は、ゴム部品メーカーとして長年培ってきた技術に加え、
現在では樹脂部品との複合化・金属との組み合わせなど、
さまざまな素材をまたいだ部品設計を支援しています。


そのため、
「この部品を軽量化したいが、どこまで攻められるか分からない」
「省エネを意識してシール抵抗を下げたいが、漏れが不安」
「寿命を伸ばして、ライフサイクル全体でのCO₂を削減したい」
といったご相談に対して、


用途・使用環境のヒアリング
ゴム材質・硬度・構造の複数候補案の提示
必要に応じた試作・評価のサポート


など、設計初期の段階から伴走する形でのご支援が可能です。
「図面が固まってから」ではなく、
コンセプト段階・構想設計の段階で声をかけていただくほど、
手戻りを抑えつつ、脱炭素・省エネと性能を両立しやすくなります。

まとめ:ゴム部品でできる「小さな改善」が、脱炭素の大きな一歩になる

最後に、本記事のポイントを整理します。
脱炭素・省エネの流れの中で、ゴム部品は


・重量・摩擦・寿命の観点から見直すことで、意外と大きな改善インパクトを持ちうる


・軽量化、省エネ、長寿命化を考える際には、
機能要件
使用環境
寸法・形状・公差
コスト・量産方法
将来の変更・共通化のしやすさ
といった判断軸で設計を見直すことが有効


・「単価の安い部品」であっても、
台数×年数×交換回数の掛け算で見ると、CO₂削減への貢献度は決して小さくない


・設計者だけで抱え込まず、ゴム部品の専門メーカーを早い段階から巻き込むことで、
手戻りを抑えつつ、環境性能と信頼性を両立できる可能性が広がる


脱炭素・省エネの要求が高まるほど、「何か大きな一手」を探したくなりますが、
実際には、こうした部品レベルの小さな改善の積み重ねが、
着実なCO₂削減と競争力強化につながっていきます。


もし、ゴム部品の軽量化・省エネ・長寿命化について、
「どこから手をつけるべきか」を検討されているようでしたら、
まずは既存部品1点からでも、改善の余地を一緒に洗い出してみませんか。

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