ものづくりプレス

2026-10-26

3Dプリント試作の納期の目安|日数を左右する4つの要素

3Dプリントで試作品をつくりたい。ところが、依頼してからいつ手元に届くのか、見当がつかない。会議や次の工程の日程を組むために、おおよその目安を知りたい。そんな場面は、設計や開発の現場でよくあります。

この記事では、3Dプリント試作の納期がどのように決まるのかを、日数を左右する4つの要素に分けて整理します。参考期間の読み方と、依頼前にそろえておくものもお伝えします。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月26日 最終更新日 2026年10月26日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

3Dプリント試作の納期は、何で決まりますか?

材質、造形の大きさと細かさ、データの状態とやり取りの回数、数量と後処理の4つで決まる、と考えると整理しやすくなります。日数は品物ごとに変わるため、固定の数字をお約束することはできません。

3Dプリントの試作を、お問い合わせからデータ確認、見積り・発注、製品作成・お届けまでの4段階で示す図 図1 3Dプリント試作の、依頼から受け取りまでの4段階 STEP 1 お問い合わせ やりたいことを 伝える STEP 2 データ確認・打合せ データの状態と 条件をすり合わせる STEP 3 見積り・発注 内容と条件を 決める STEP 4 製作・お届け 造形して 受け取る 造形の時間だけでなく、前後の段階も納期の一部になります。

納期は、造形の時間だけを指すわけではない

3Dプリントの試作は、造形している時間だけで日程が決まるわけではありません。自社ページに載っている受注の流れは、お問い合わせ、データの確認とお打ち合わせ、お見積り・発注、製品作成・お届けの4段階です。データ確認の段階が長引けば、造形の前にも日数がかかります。

「短納期で必要で、製作する時間がない」という悩みは、自社ページにも載っている

自社ページには、3Dプリント・切削加工を検討する方の悩みとして、金型を作る前に形状を確認したい、開発段階で設計変更が多い、短納期で必要なため製作する時間がない、といった声が挙げられています。納期への不安は、試作の依頼で代表的な悩みです。

3Dプリントと切削加工の全体像は切削加工・3Dプリントのページにまとめています。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(受注フロー・お客様の悩み)(自社情報・2026年10月確認)。

自社ページに載っている参考期間は、どう読めばよいですか?

自社ページには、造形の参考期間として、シリコンが2週間、硬質樹脂が1週間、エラストマが1週間と載っています。ただし時点が確定していないため、最新の状況は個別にご確認ください。

自社ページに記載されている3Dプリント造形の参考期間を、シリコン2週間、硬質樹脂1週間、エラストマ1週間として比べた図 図2 自社ページに記載の、造形の参考期間(材質別) シリコン 2週間 硬質樹脂 1週間 エラストマ 1週間 自社ページに記載の参考期間です。最新の状況は個別に確認します。

参考期間は、お届けまでの日数の保証ではない

この数字は、造形についての参考期間として自社ページに載っているものです。お問い合わせからお届けまでの全体の日数をお約束するものではありません。形状の複雑さや大きさ、数量、データの状態によって前後します。

最新の状況は、依頼の時点で個別に確認する

工場の稼働状況によって、状況は変わります。日程が決まっている場合は、希望の時期を最初に教えてください。個別に確認したうえで、その時点の見通しをお伝えします。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(造形の参考期間)(自社情報・2026年10月確認)。

日数を左右する4つの要素は、それぞれ何を見ますか?

材質、造形の大きさと細かさ、データとやり取り、数量と後処理の4つです。依頼前にこの4つを整理しておくと、納期の見通しが立てやすくなります。

要素 見るところ 事前に決めておくと進みやすいこと
材質汎用樹脂か、スーパーエンプラか、エラストマ・シリコンか使用条件と、ご希望の材質
大きさと細かさ3辺の寸法、高さ、積層ピッチ必要な精細さの水準
データとやり取りデータの有無と状態、確認の回数図面かデータ、現物の有無
数量と後処理何個必要か、仕上げが要るか数量の見込みと仕上がりの要望

材質によって、造形の参考期間が異なる

自社ページに載っている対応材質は、PLA・ABSなどの汎用樹脂、PEEK・PPS・PEIなどのスーパーエンプラ、エラストマー、シリコンです。先ほどの参考期間も、材質によって異なっていました。材質は使用条件から決まる面が大きく、日数だけで選ぶと用途に合わなくなることがあります。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

データの状態が整っているほど、確認の往復が減る

寸法や形状が分かるデータがそろっていれば、データの確認と打ち合わせの段階が短く済む傾向があります。反対に、寸法が足りない、現物だけがある、といった場合は、確認の往復が増えやすくなります。

数量と後処理が増えれば、その分の作業も加わる

同じ品物を複数個つくる場合や、造形のあとに仕上げの作業が必要な場合は、その分の作業が加わることが多くなります。仕上がりの要望は、最初に伝えておくと見通しのずれを減らせます。

造形サイズと積層ピッチは、時間にどう関わりますか?

自社ページでは、造形サイズの目安を3辺の合計が1,000mmまで、高さは最大340mmとしています。積層ピッチは、標準が0.2mmから、ノズル径の半分の0.1mmが目安です。

積層ピッチを標準の0.2mmから設備上の最小の0.01mmまで細かくするにつれ、造形時間が延びることを示す図 図3 積層ピッチと、造形時間の関係 標準 0.2mm 最小 0.01mm 積層ピッチを細かくするほど、造形時間は延びる傾向があります。 設備上の最小0.01mmは、造形時間が数百時間になるため現実的ではないとしています。 出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ FAQ(2026年10月確認)

設備上の最小ピッチは、現実的な選択肢にならない

自社ページでは、設備上の最小の積層ピッチは0.01mmとしたうえで、造形時間が数百時間になるため現実的ではない、と説明しています。用途に必要な精細さを見極めることが、納期を考えるうえでも大切です。

長い品物は、ベルト搬送式の硬質樹脂用3Dプリントを検討する

造形サイズの目安を超えるような長尺の品物には、ベルト搬送式の硬質樹脂用3Dプリントで対応する場合があります。対応可否は形状と材質で変わるため、寸法を添えてご相談ください。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ FAQ(造形サイズ・積層ピッチ・長尺)(自社情報・2026年10月確認)。

依頼前に何をそろえると、進みが早くなりますか?

データまたは現物、使い道、数量、希望の時期とその理由の4つです。最初の連絡でこの4つが伝わっていれば、確認の往復を減らしやすくなります。

01データ(図面・3Dデータ)か、現物

02使い道(どこで、どう使う試作か)

03必要な数量と、ご希望の材質

04希望の時期と、その理由

希望の時期は、理由とあわせて伝える

「できるだけ早く」とだけ伝えるより、いつまでに何のために必要かを添えていただくほうが、見通しを具体的にお伝えしやすくなります。用途によって、優先する点が変わるためです。

使い道を一言添えると、造形前の提案につなげやすい

自社ページには、ゴム・樹脂のノウハウにより、造形前に強度の足りない所や、ご要望の品物をどう造形すればよいかを提案できる、と載っています。使い道が分かっていれば、作り直しの手戻りを減らす提案がしやすくなります。

試作の目的によっては、工法そのものを見直す

自社ページでは、3Dプリントは形状の自由度が高い反面、精度や耐久性に課題が残る、としています。目的によって工法が変わると、納期の考え方も変わるため、迷うときは目的を先にお知らせください。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ(造形前の提案・切削加工との比較)(自社情報・2026年10月確認)。

自社の依頼は、納期の相談に必要な情報がそろっていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な情報が欠けている状態です。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

3Dプリント試作を依頼する前の情報チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個依頼に必要な情報がほぼそろっています。データと条件をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個一部が未整理です。使い道と希望の時期から、先に言葉にしてみてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず使い道と寸法を書き出すことをおすすめします。

3Dプリント試作の納期について、よくいただくご質問は?

日数の目安、急ぎの伝え方、大きな品物、積層ピッチ、相見積もりについてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

3Dプリントの試作は、何日で届きますか?
品物ごとに変わるため、ここで日数をお約束することはできません。自社ページには材質別の造形の参考期間を載せていますが、形状・大きさ・数量・データの状態によって前後します。最新の状況は個別に確認しますので、図面かデータを添えてご相談ください。

急ぎの場合、何を伝えれば進みが早くなりますか?
希望の時期と、その理由を先に教えてください。あわせて、データ(または現物)、使い道、数量、材質の希望をそろえていただくと、確認のやり取りが減りやすくなります。

大きな品物でも、3Dプリントで試作できますか?
自社ページでは、造形サイズの目安として3辺の合計が1,000mmまで、高さは最大340mmとしています。長尺の品物には、ベルト搬送式の硬質樹脂用3Dプリントで対応する場合があります。形状によって変わるため、個別にご確認ください。

積層ピッチを最小にすれば、仕上がりがよくなりますか?
設備上の最小は0.01mmですが、造形時間が数百時間になるため現実的ではないとしています。標準は0.2mmから、ノズル径の半分の0.1mmが目安です。仕上がりと時間のバランスは、用途を伺ったうえでご提案します。

相見積もりで納期を比べたいのですが、気をつけることはありますか?
相見積もりを歓迎しています。データ、材質、数量、希望の時期を同じ内容で各社に伝えていただくと、日数を同じ条件で比べやすくなります。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面(または現物)、仕様・用途、数量、材料・材質の4点があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

3Dプリント試作の納期を相談する

日程が決まっている場合は、希望の時期もお知らせください。データや条件が固まっていない段階でも構いません。

見積りを依頼する

3Dプリント試作の納期の目安|日数を左右する4つの要素

記事検索

NEW

  • 廃盤ゴムホースの再製作|現物から起こすときの4つの確認
    2026/10/26
    廃盤ゴムホースの再製作|現物から起こすときの4つの確認
    設備のゴムホースが劣化し...
  • 3Dプリント試作の納期の目安|日数を左右する4つの要素
    2026/10/26
    3Dプリント試作の納期の目安|日数を左右する4つの要素
    3Dプリントで試作品をつく...
  • コンプレッション成形の特徴とは|選ばれる理由を解説する
    2026/10/18
    コンプレッション成形の特徴とは|選ばれる理由を解説する
    ゴム部品の成形方法にはい...
  • 射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説
    2026/10/17
    射出成形と押出成形の違い|ゴム・樹脂部品での選び方を解説
    ゴムや樹脂の成形方法には...

CATEGORY

ARCHIVE