ものづくりプレス
2026-10-26
廃盤ゴムホースの再製作|現物から起こすときの4つの確認
設備のゴムホースが劣化して交換しようとしたところ、メーカーでは廃盤になっていた。手元にあるのは外した現物だけで、図面も型番も残っていない。こうしたご相談は、廃盤部品の再現に関するお悩みとして自社ページにも挙げられているものです。
この記事では、廃盤になったゴムホースを現物から作り直すときに確認する4つの項目と、依頼までの進め方を整理します。
作成者 西田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報
作成日 2026年10月26日 最終更新日 2026年10月26日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分
廃盤になったゴムホースは、現物からどう再製作を検討しますか?
現物を確保し、読み取れる情報を整理して相談する、という順に進めます。当社の廃盤部品の再現は、ヒアリングから現物調査、設計、試作・評価、量産・納品までの5段階です。
型番が分からなくても、使われていた場所が手がかりになる
ホースの表面に型番の印字が残っていないことは珍しくありません。その場合は、どの設備のどこに付いていたか、何が流れていたか、どちら向きに付いていたかが手がかりになります。外す前に、取り付け状態の写真を撮っておくと、現物調査の段階で役に立ちます。
ホースが使われる設備は、業界を問わず幅広い
廃盤部品の再現の主な納入業界として、自社ページには設備機器、医療機器、自動車、建機、建築部材、エレベータが挙げられています。ホースの使われ方は設備ごとに違うため、業界が同じでも、同じ作り方になるとは限りません。
当社の事業内容には、工業用ゴム製品としてベルトホースが含まれています。ご相談のホースが対象に当たるかどうかは、現物を拝見して個別に確認します。
廃盤部品の再現の全体像は廃盤部品の再現のページにまとめています。
出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ・「会社概要」ページ・「3Dプリント」ページ(自社情報・2026年10月確認)。
現物のホースでは、何を確認しますか?
確認するのは、寸法、形、端部、補強層の4つです。いずれも現物から読み取れる情報で、図面が無くても整理を始められます。
| 確認項目 | 見るところ | 分からない場合 |
|---|---|---|
| 寸法 | 内径・外径・長さ | 現物をお預けいただき、こちらで測る |
| 形 | 直管か、曲がりのあるものか | 全体が分かる写真を添える |
| 端部 | 口金や継手との接続部の形 | 接続相手の部品も一緒に送る |
| 補強層 | 布やワイヤが入っているか | 切り口の写真か、現物ごと送る |
寸法は、内径・外径・長さを分けて控える
ホースの寸法は、内径と外径、長さの3つに分けて控えます。内径は流れる量や接続のしやすさに、外径は取り回しや肉厚に関わります。外径だけが合っても、内径がずれていると接続できないことがあるため、3つとも測っておくのが基本です。
形は、直管か成形品かで見分ける
まっすぐなホースなのか、曲がりを持たせた成形品のようなホースなのか。この違いは、作り方を大きく左右します。曲がりがある場合は、曲がっている位置と向きが分かる写真を、定規やメジャーを添えて撮っておくと伝わりやすくなります。
端部は、接続相手とセットで見る
両端がただの切りっぱなしなのか、口金やフランジ状の形が付いているのか、別の金具と一体になっているのか。端部の形は、接続する相手の部品とセットで決まります。相手側の部品を測れるなら、現物のホースと合わせて控えておくと、どちらかが変形していた場合にも気づけます。
補強層は、布やワイヤが入っているかを確かめる
ホースの中には、ゴムだけでできているものと、布やワイヤなどの補強層が入っているものがあります。補強層の有無で作り方が変わるため、断面が見える部分があれば、そこを写真に撮っておいてください。見ただけでは判断できない場合は、現物を切って確かめる前にご相談ください。
現物が傷んでいて、寸法が読み取れないときはどうしますか?
現物が傷んでいても、手がかりは残っています。残っている部分と、接続相手側の寸法を組み合わせて、元の形を読み取っていきます。
硬くなったホースは、そのまま測らない
長く使ったゴムは、硬くなったり、つぶれたり、伸びたりして、新品の状態から変わっていることがあります。現物の寸法がそのまま元の寸法とは限らないため、測った値には「劣化した現物の値」と書き添えておくと、検討の段階で扱いやすくなります。
同じホースを使っている設備が他にもあれば、状態のよいものを探す
同じ型の設備が社内に複数ある場合は、まだ傷んでいないホースが見つかることがあります。状態のよい現物が1本でも確保できれば、寸法の読み取りがしやすくなります。交換を待っている設備の使用箇所を、いちど洗い出してみてください。
ホースの構造で、作り方はどのように変わりますか?
長く連続した形か、曲がりや端部の形が複雑な成形品かで、検討する作り方が変わります。補強層の有無も、作り方に影響します。
長いホースは、押出成形が検討の入り口になる
押出成形は、スクリューでゴム材料を押し出して、ひも状に成形する方法です。長いものを作れる点と、口金のみで初期投資が安価な点がメリットです。一方で、少量生産には向きにくく、高い精度は出せないという面もあります。まっすぐで長いホースは、押出成形を入り口に検討することが多くなります。
曲がりや端部の形が複雑なら、金型成形も並べて考える
曲がりのある成形品や、端部に独自の形があるホースは、押出成形だけでは決められないことがあります。当社の事業内容には、ゴム金型成形としてコンプレッション成形、射出成形、押出成形が含まれています。どの方法が合うかは、形と数量、補強層の有無を見たうえで、個別に検討します。
成形方法ごとの違いはゴム・プラスチックとはでも紹介されています。
出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(押出し成形の定義)(自社情報・2026年10月確認)。
接触する流体と、温度・圧力はどう伝えればよいですか?
何が流れているか、どのくらいの温度か、どのくらいの圧力がかかるかの3点を、わかる範囲で伝えてください。材質は、現物の見た目だけでは決められません。
ホースは、中を流れるものによって傷み方が変わります。水なのか、油なのか、薬品なのか、空気なのか。外側が日光や油にさらされる環境かどうかも、材質を選ぶ手がかりになります。
過去に何度も交換していたなら、その頻度を書き添える
同じ位置のホースを何度も交換していた場合は、おおよその交換の間隔を伝えてください。早く傷む理由が使用条件にあるのか、材質や構造にあるのかを考える材料になります。同じものを作り直すか、条件に合わせて見直すかは、その情報を踏まえてご相談できます。
なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。
自社のホースは、再製作の情報がそろっていますか?
当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な情報が欠けている状態です。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。
再製作を依頼する前の情報チェック(6項目)
当てはまるものにチェックを入れてください。
当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。
当てはまった数でみる読み取り方
| 当てはまる数 | 読み取り方 |
|---|---|
| 0〜1個 | 依頼に必要な情報がほぼそろっています。現物と条件をお送りいただければ、検討に入れます。 |
| 2〜3個 | 構造か使用条件のどちらかが不足しています。現物の写真と使用状況から整理してください。 |
| 4〜6個 | 情報が不足した状態です。まず現物を確保し、取り付け状態の写真を撮るところから始めることをおすすめします。 |
ゴムホースの再製作について、よくいただくご質問は?
図面や型番が無い場合の進め方、補強層が分からない場合、曲がった形状、傷んだ現物、相見積もりについてご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。
型番も図面もなく、現物のホースだけでも相談できますか?
現物があれば、相談を始められます。内径・外径・長さ、曲がりの有無、両端の形、補強層の有無を読み取ったうえで、作り方を検討します。
ホースの中に布やワイヤが入っているか、見ただけでは分かりません。
分からない状態のままで構いません。補強層の有無で作り方が変わるため、現物をお送りいただき、こちらで確認します。切り口が見える部分があれば、写真を添えていただくと話が早く進みます。
曲がった形のホースでも、作り直せますか?
形状によって作り方が変わるため、一概にお答えできません。現物の曲がり方と両端の形を確認したうえで、押出成形で足りるのか、金型成形を含めて検討するのかを個別にご説明します。
ホースが切れたり、硬くなったりしています。それでも現物として使えますか?
傷んでいても手がかりになります。破損した部分だけでなく、残っている部分の寸法や端部の形も確認できるため、捨てずにそのままお預けください。
他社にも見積もりを取って構いませんか?
相見積もりを歓迎しています。現物の寸法メモと写真、使用条件を同じ内容で各社に伝えていただくと、比較しやすくなります。
依頼するとき、何をそろえればよいですか?
現物、使用条件、必要な数量の3つがあれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。
| そろえるもの | 内容 | 無い場合 |
|---|---|---|
| 図面 | 寸法や形状が分かるもの | 現品があれば現品で代替できます |
| 仕様・用途 | どこに使い、何を止めるか | 使用条件を口頭でうかがいます |
| 数量 | 今回必要な数と年間見込み | 概算でかまいません |
| 材料・材質 | ご希望の材質があれば | 使用条件から候補をご提案します |
現物をお送りいただく前に、取り付け状態と外した直後の写真を残しておくと、社内で状況を共有するときにも使えます。
現物のホースから再製作を相談する
型番や図面が無い段階でも構いません。現物と使用状況をお知らせいただければ、進め方をご提案します。
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