ものづくりプレス

2026-09-07

エレベーターのゴム部品が廃盤|保守部品を作り直す4手順

昇降機は長く使われる設備です。本体は現役でも、ゴム部品だけが先に供給を終えるという逆転がしばしば起こります。

この記事では、エレベーターまわりのゴム部品が廃盤になったときに、現品から作り直すまでの手順と、事前に確認しておくことを整理します。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月7日 最終更新日 2026年9月7日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

エレベーターのゴム部品が廃盤になったら、何から始めますか?

現品の確保と、使用条件の書き出しからです。図面が残っていなくても、現品があれば作り直しの検討に入れます。交換のタイミングで外した部品を、洗わずに保管しておいてください。

エレベーターのゴム部品を現品から作り直すまでの流れを4段階で示す図 図1 保守部品を作り直すまでの流れ STEP 1 現品を確保 交換時に外した ものを保管 STEP 2 使用条件を書く 荷重・動作頻度 温度・接触するもの STEP 3 必要数を出す 号機の数 × 年間交換数 STEP 4 現物調査へ 寸法・硬度・ 劣化の状態 号機がまとまるほど、作り方の選択肢が広がります。

保守の現場では、外した部品がすぐ捨てられてしまう

交換作業では、外した部品はその場で処分されるのが普通です。けれども廃盤の連絡が来たあとは、その1個が唯一の手がかりになります。供給終了の案内を受けた時点で、次の交換時に外した部品を残すよう現場に伝えておいてください。

同じ建物内でも、号機ごとに仕様が違うことがある

増築や更新の時期がずれていると、見た目が同じでも寸法が違う場合があります。号機ごとに現品を確認し、同じものかどうかを確かめてから数量をまとめてください。違うものを1種類として発注すると、片方が付かないという事態になります。号機ごとに現品へ号機番号を書いた札を付けておくと、送るときにも混ざりません。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(2026年8月確認)。設備機器・医療機器・自動車・建機・建築部材・エレベータなどの分野を支えていると記載しています。

どんなゴム部品が対象になりますか?

当社が扱う工業用ゴム製品には、Oリング、オイルシール、ベルトホース、耐震ゴム、キャスターなどが含まれます。昇降機まわりでも、こうした部品が使われている箇所が対象になります。

ゴム部品のうち現品から作り直しやすいものと、事前確認が必要なものを対比した図 図2 作り直しやすい部品と、確認が要る部品 作り直しやすい 確認が要る 形状が単純で断面が一定 金属部と分離できる 寸法が現品から読める 使用条件がはっきりしている 金属と一体化している 布や芯材が入っている 安全に直結する部位 規格や認証が絡む 確認が要る側でも、まず現品を見せていただければ対応範囲をご説明できます。

安全に直結する部位は、確認を先に

昇降機は人が乗る設備です。安全に直結する部位の部品は、仕様の決め方が通常の産業機器とは変わることがあります。どこに使う部品なのかを最初にお知らせいただければ、対応できる範囲と、確認が必要な事項をお伝えします。

ガラスまわりの相談も受けられる

当社はガラス工事建設業許可を取得しており、飛散防止加工やガラス工事も事業として行っています。昇降機まわりでガラスの案件が同時に出ている場合は、あわせてご相談いただけます。

出典:富士ゴム化成「会社情報」ページの事業内容と認証資格関連(2026年8月確認)。

自社の設備は、作り直しの準備ができていますか?

当てはまる項目が多いほど、供給が止まったときに動きにくくなる状態です。足りない項目が見えたら、そこから確認してください。

保守部品の備えチェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個備えができています。次の交換時に外した部品を1個残しておけば十分です。
2〜3個手がかりが不足しています。まず号機ごとの現品を確認してください。
4〜6個止まったときに動きにくい状態です。次の交換のタイミングで現品を確保することをおすすめします。

現物から作り直すとき、何を確認しますか?

寸法だけでなく、劣化の状態まで確認します。どこがどう傷んだかが分かれば、元の部品の弱点も一緒に見つかることがあります。

確認する項目 何が分かるか 現品がない場合
外形寸法・断面形状図面を起こすための基礎データ取り付け先の寸法から逆算します
硬度材料の候補を絞り込む手がかり使用条件から推定範囲を決めます
表面の状態接触していたものや温度の推定運転条件のヒアリングで補います
摩耗の偏り取り付け精度や荷重の偏りの有無設備側の確認が必要になります
金属部との接合焼付成形やインサート成形の要否図面か写真が必要です

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

作り直しは、同じ弱点を引き継がない機会でもある

毎回同じ場所から傷んでいるなら、材質か形状に理由があります。当社では現物調査の段階で破断や摩耗の状態も確認し、原因が構造側にあると読み取れた場合はその点をお伝えします。ただし変更する場合は実機での評価が前提になります。

数量は、どうまとめればよいですか?

号機の数と年間の交換数、そして設備をあと何年使うかを掛け合わせます。この数が出れば、金型を作るかどうかも決められます。

必要数が少ない場合と多い場合で、金型を使わない方法と金型成形のどちらが向くかを示す図 図3 まとめた数量で変わる、作り方 1号機ぶん 全号機+予備 1台ぶんでは数が出ないが、全号機と予備を足すと選択肢が広がる。 分かれ目は形状と数量によって変わります。数量計画をうかがったうえでご提案します。

当社はゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。金型を作るほどの数量でない場合は、切削加工・3Dプリントで形状を確認してから量産方法を決められます。廃盤品を現物から作る流れは廃盤部品の再現にまとめています。

保守の周期と部品の寿命は、一致しないことが多い

点検の周期は決まっていても、部品が傷む速さは使われ方で変わります。停止と発進の回数が多い建物、屋外に近く温度差の大きい設置環境、荷重の偏りが出やすい据え付け。同じ部品でも交換の間隔は変わります。過去の交換記録が残っていれば、その建物での実際の寿命が読めます。記録がない場合は、次の交換から日付と使用期間を控えておいてください。

外した部品の写真を1枚残す

現品を送ってしまうと、手元から現物がなくなります。取り付け状態の写真と、外した直後の状態の写真を残しておけば、社内で状況を共有するときにも使えます。摩耗や変色の様子は、あとから言葉だけで説明するのが難しい情報です。複数個ある場合は、状態の違うものを2〜3個そろえていただけると、同じ建物のなかでも傷み方に差があるかどうかまで読み取れます。

急ぐ場合は、試作を先に1個作る進め方もある

在庫が尽きる時期が迫っている場合、量産の前に試作を1個だけ作り、実機に付けて確かめてから数をそろえる進め方があります。当社は多品種少量生産を得意としており、1点からの試作のご相談も承っています。止まるまでの時間が短いほど、この進め方が効きます。試作で問題がなければ、そのまま同じ仕様で数をそろえられます。

エレベーターの保守部品について、よくいただくご質問は?

対応範囲、現品の扱い、号機のまとめ方についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

昇降機の保守部品でも作ってもらえますか?
当社は設備機器やエレベータの分野を含む産業向けにゴム・樹脂部品を供給しています。ゴム・樹脂部品であれば、現品から作り直す検討が可能です。

現品が1個しかありません。預けても大丈夫ですか?
寸法と硬度の測定で形が変わることはありません。ただし硬度計を当てると跡が残る材料もあるため、寸法を取り終えてから測ります。

複数の号機で同じ部品を使っています。まとめられますか?
まとめられます。号機ごとに1個ずつ考えるより、全台ぶんと予備を足したほうが数量がまとまり、作り方の選択肢も広がります。

ガラス関連の相談もできますか?
ガラス工事の建設業許可を取得しており、飛散防止加工やガラス工事も事業として行っています。内容によって対応範囲が変わるため、まずはご相談ください。

何を送れば見積りに進めますか?
現品と、使用条件を書いたメモ、必要数量の3つです。図面がなくても、現品があれば検討に入れます。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

現品、使用条件、必要数量の3つがあれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。内容に応じてご提案します。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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