ものづくりプレス

2026-09-07

旧型設備の部品が供給終了|延命と更新を分ける対策3基準

メーカーのサポートが終わった設備が、まだ現役で動いている。性能に不満はないのに、部品だけが手に入らなくなっていく。

この記事では、旧型設備の部品が供給終了になったときに、延命するか更新するかをどう分けるか、そして延命を選んだ場合の進め方を整理します。

作成者 中村(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月7日 最終更新日 2026年9月7日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

部品の供給が終わったら、まず何を決めますか?

決めるのは「この設備をあと何年使うか」です。ここが決まらないと、部品を作り直すべきか、更新に向けて在庫でつなぐべきかが判断できません。年数が先に決まれば、必要な部品数も自動的に出ます。

設備をあと何年使うかによって、部品の作り直しと設備更新のどちらを選ぶかが変わることを示す図 図1 残り使用年数で変わる、打つ手 長く使う場合 更新が近い場合 作り直して延命する 型や仕様を残す 同型機ぶんもまとめる 検査項目まで決めておく 在庫でつなぐ 必要最小限だけ作る 更新後は不要になる 仕様を残す必要は薄い どちらが正しいかではなく、残り年数によって答えが変わります。

「まだ動くから」だけでは決められない

設備が動いている状態と、部品が手に入る状態は別の話です。動いているうちに部品が尽きれば、そこで止まります。残り使用年数を先に決めておけば、必要な部品数が計算でき、作り直すかどうかの判断も数字で説明できるようになります。

必要数は「年数 × 年間使用数」で出す

あと5年使うなら、年間使用数の5倍に予備を足した数が必要数です。この数が出れば、金型を作って成形するのか、金型を使わない方法で用意するのかも決められます。数量が読めないまま見積りを取ると、条件がそろわず比較できません。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ掲載のご案内(2026年8月確認)。ご相談時は図面・仕様や用途・必要数量・材料や材質をご準備いただくようお願いしています。

どの部品から手を付ければよいですか?

在庫が薄く、代替の当てがなく、止まると設備が動かなくなる部品からです。設備単位で使っているゴム・樹脂部品を書き出し、この3点で並べ替えると順番が決まります。

旧型設備の部品を設備単位で棚卸しし、優先順位をつけるまでの手順を4段階で示す図 図2 設備単位で棚卸しする手順 STEP 1 設備を1台選ぶ 同型機があれば リストを使い回せる STEP 2 部品を書き出す 部品番号・位置 年間使用量・在庫数 STEP 3 残り年数を掛ける 必要数を 計算する STEP 4 順番を決める 在庫が薄いものから 現品を確保 1台ぶんが終われば、同型機には同じリストが使えます。

部品単位で数え始めると終わらない

社内の部品をすべて数えようとすると、どこまで進んだか分からなくなります。設備を1台選び、その中のゴム・樹脂部品だけを書き出すほうが早く終わります。廃盤リスクの見方は取引先の廃業・倒産でゴム部品が調達できない時の進め方でも整理しています。

金型が残っていれば、選択肢は増える

金型が保管されていれば、供給が止まっても同じ形で作れる可能性が残ります。当社にも2026年に入ってから、長期間使用していない金型の調査依頼が増えています。取引の適正化に関する動きを背景に、保管している金型を棚卸しする企業が増えているためと考えられます。金型の所在は、供給が止まる前に確認しておく価値があります。

出典:当社が2026年8月時点で受けているご相談の傾向(自社集計)。件数は公表していないため、傾向としてのみ記載しています。

自社の設備は、延命と更新のどちらに寄っていますか?

当てはまる項目が多いほど、延命して使い続ける方向に寄っている状態です。設備ごとにチェックして、方針を決める材料にしてください。

延命と更新の判断チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個更新が近い状態です。作り直しは必要最小限にとどめ、在庫でつなぐ方針が合います。
2〜3個どちらもあり得る状態です。残り使用年数を先に決めてから、必要数を計算してください。
4〜6個延命に寄っています。主要な部品から作り直しの可否を確認しておくことをおすすめします。

延命を選んだら、どう進めますか?

現品を確保し、使用条件を書き出し、必要数を出す。この3つがそろえば相談に入れます。当社では現物調査から量産までを5つの段階に分けて進めています。

01お問い合わせ・ヒアリング 困っている状況をうかがいます。現物があれば図面がなくてもご相談いただけます

02現物調査・材料分析 お預かりした部品を調べ、素材の特性や劣化の状況を確認します

03設計・図面作成 現物のデータをもとに、あらためて図面を作成します

04試作・評価 3Dプリントなどを使って試作品を作り、性能を確認します

05量産・納品 評価で問題がなければ量産に移ります

作り直すなら、仕様を社内に残す

一度作り直したら、図面と材質、検査項目を社内に残してください。次に必要になったとき、同じ調査をやり直さずに済みます。旧型設備の部品は、一度きりでは終わらないことがほとんどです。

同型機があるなら、まとめて数量を出す

1台ぶんで考えると数が出ずに割高になりますが、全台ぶんと予備を足せば、作り直しの検討が現実的な数量になることがあります。設備単位ではなく部品単位で、社内の使用箇所を洗い出してみてください。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

作り方は、数量でどう変わりますか?

金型を作って成形するか、金型を使わない方法で用意するかが分かれます。少量なら金型を作らない方法、継続して使うなら金型成形のほうが1個あたりを抑えられます。

必要数が少ない場合と多い場合で、金型を使わない方法と金型成形のどちらが向くかを示す図 図3 必要数で変わる、作り方の選び方 少量 継続量産 残り年数から出した必要数で、どちらに寄るかが決まる。 分かれ目は形状と数量によって変わります。数量計画をうかがったうえでご提案します。

当社はゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。金型を作るほどの数量でない場合は、切削加工・3Dプリントで形状を確認してから量産方法を決められます。工法ごとの費用の分かれ目は切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較でも整理しています。

更新を選んでも、部品の手当ては要る

更新を決めても、実際に入れ替わるまでには時間がかかります。予算の承認、機種の選定、工事の日程。その間も設備は動かし続けなければなりません。更新が決まっているからといって部品の手当てを止めると、入れ替えの直前で止まるという事態が起こります。更新までの月数に年間使用数を掛けた分は、確保しておいてください。

延命と更新は、部品ごとに分けて考えてよい

設備全体をどうするかと、個々の部品をどうするかは別に決められます。止まると影響が大きい部品だけ作り直し、それ以外は在庫でつなぐという分け方もあります。すべてを同じ方針で進める必要はありません。

旧型設備の部品について、よくいただくご質問は?

更新との比較、サポート終了後の対応、まとめての相談についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

設備の更新と部品の作り直し、どちらが安く済みますか?
設備をあと何年使うかで変わります。更新の予定が近いなら作り直しは最小限に、長く使うなら作り直して延命するほうが総額を抑えられる場合があります。判断材料は残り使用年数です。

メーカーのサポートが終了しています。それでも作れますか?
現品があれば、図面がなくても検討を進められます。ゴム・樹脂部品については現物調査から量産までを当社で承っています。

複数の部品をまとめて相談できますか?
できます。設備単位で使っているゴム・樹脂部品を書き出していただくと、まとめて優先順位を整理しやすくなります。

作り直した部品の品質はどう確認しますか?
受け入れ時に何を見るかを、図面を起こす段階で一緒に決めます。当社は品質保証部を設置し、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行える体制を整えています。

急いでいます。まず何を送ればよいですか?
現品と、使用条件を書いたメモです。数量は概算で構いません。図面がなくても、この2つがあれば検討に入れます。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

現品、使用条件、必要数量の3つがあれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。内容に応じてご提案します。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

当社は相見積もりを歓迎しています。条件をそろえて出したほうが比較できる見積りになりますので、条件の整理からご相談いただいて構いません。

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

資料をダウンロードする

旧型設備の部品が供給終了|延命と更新を分ける対策3基準

記事検索

NEW

  • 建設機械のゴム部品が廃番|現物から作り直す対応の4手順
    2026/09/08
    建設機械のゴム部品が廃番|現物から作り直す対応の4手順
    現場は動いているのに、部...
  • 医療機器のゴム部品が供給終了|相談前に整理する4つの情報
    2026/09/08
    医療機器のゴム部品が供給終了|相談前に整理する4つの情報
    装置はまだ使えるのに、内...
  • 旧型設備の部品が供給終了|延命と更新を分ける対策3基準
    2026/09/07
    旧型設備の部品が供給終了|延命と更新を分ける対策3基準
    メーカーのサポートが終わ...
  • エレベーターのゴム部品が廃盤|保守部品を作り直す4手順
    2026/09/07
    エレベーターのゴム部品が廃盤|保守部品を作り直す4手順
    昇降機は長く使われる設備...

CATEGORY

ARCHIVE