ものづくりプレス

2026-11-08

医療機器向けのゴム部品を小ロットで試作|相談前の4つの整理

医療機器に使うゴム部品を、試作として少しだけ作りたい。ただ、洗浄や滅菌の条件まで含めて、何をどう伝えれば相談が進むのかが見えない。数個のために金型を起こすのも重い。開発の現場では、こうした迷いが起こりがちです。

この記事では、医療機器に使うゴム部品を小ロットで試作するときに、依頼の前に整理しておく4つの項目と、3Dプリント・切削加工・金型成形のどれから始めるかの考え方を整理します。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年11月8日 最終更新日 2026年11月8日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

医療機器のゴム部品を小ロットで試作するとき、相談前に何を整理しますか?

整理するのは、使用条件、形と大きさ、必要数、評価の観点の4つです。使用条件には、部品が触れる対象と、洗浄や滅菌の有無が含まれます。

医療機器のゴム部品を小ロットで試作する前に、使用条件、形と大きさ、必要数、評価の観点の順に整理する流れを示す図 図1 相談前に整理する4つの項目 STEP 1 使用条件 触れる対象と 洗浄・滅菌の有無 STEP 2 形と大きさ 図面か現物か 取り付け相手 STEP 3 必要数 今回の試作数と 再試作の見込み STEP 4 評価の観点 形・取り付け・ 機能のどれか 上から順に埋めていくと、始める作り方の候補が絞れます。

「医療機器向け」と言い切らず、用途から伝える

医療機器に使えるかどうかは、部品だけでなく、装置全体と用途で決まります。当社の自社ページには、主な納入業界として医療機器が挙げられていますが、個々の部品への適合の確認は、用途ごとに個別に必要です。どの装置のどこで使う部品かを最初に共有していただくと、確認すべき点を具体的にご説明できます。

納入業界に医療機器が含まれる、という事実の範囲

廃盤部品の再現のページには、主な納入業界として、設備機器、医療機器、自動車、建機、建築部材、エレベータが並んでいます。医療機器はその一つです。この記事では、これ以上のこと、たとえば特定の規格や認証への対応などは扱いません。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

部品が触れる対象と、洗浄・滅菌の条件は、どう伝えればよいですか?

触れるものの種類と、洗浄や滅菌をするかどうか、するならその方法と頻度を、分かる範囲で伝えてください。材質の候補は、この情報から絞っていきます。

伝える項目 内容の例 分からない場合
触れる対象空気、水、薬液、体の一部など装置の名前と使う場所だけでも伝える
洗浄の有無洗うのか、拭くのか、洗わないのか装置の取扱説明書の該当箇所を添える
滅菌の有無するのか、しないのか、するなら方法装置側の担当者に確認してから伝える
使う温度常に使う温度と、洗浄時などの温度装置の仕様書の記載を添える

試作品を洗う工程が、評価の途中に入ることもある

組み込んだ装置を洗浄する運用がある場合、試作品の評価にも、洗う工程を含めるかどうかを決めておく必要があります。含めるなら、洗う回数や薬品の種類も評価の条件になります。評価の条件を後から足すと、同じ試作品の結果を読み替えにくくなります。

洗浄・滅菌に耐えるかは、条件を聞いてから個別に答える

耐えるかどうかは、材質だけでなく、方法や回数、薬品の種類でも変わります。この記事では可否を断定せず、条件をうかがったうえで個別にご説明します。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

形と大きさ、必要数、評価の観点は、どう整理しますか?

形と大きさは図面か現物で、必要数は再試作の分まで含めて、評価の観点は1行で書ける形にして伝えます。いずれも、分からない部分が残っていても相談を始められます。

整理する項目 伝える内容 分からない場合
形と大きさ図面、または現物か取り付け相手取り付け状態の写真を添える
必要数今回の試作数と、直したあとの再試作の見込み概算で構わない
評価の観点形、取り付け、機能のどれを確かめたいか1行で書ければ十分

図面が無いときは、取り付け相手から形を絞る

図面が手元に無い場合でも、取り付ける相手の部品があれば、必要な形を読み取って検討できます。相手の部品と、取り付けた状態の写真を一緒にお送りください。

必要数は、再試作の分まで数えて伝える

試作は、一度で決まらないことが多いものです。直したあとにもう一度作る可能性があるなら、その見込みも添えてください。

評価の観点を言葉にしておくと、試作品の使い道が決まる

形を見たいのか、相手の部品との取り付けを見たいのか、機能を確かめたいのか。評価の観点が決まっていないと、どの作り方が合うか判断できません。1行で書けない場合は、それ自体が最初に整理する項目です。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時にご用意いただくもの)(自社情報・2026年10月確認)。

3Dプリント・切削加工・金型成形のうち、どれから始めますか?

金型を使わない方法から始めるか、金型成形を含めて考えるかは、評価の観点と数量で分かれます。形の確認なら3Dプリント、機能の評価なら切削加工や金型成形が入り口です。

3Dプリントや切削加工など金型を使わない方法と、コンプレッション成形などの金型成形とで、試作での位置づけが異なることを対比した図 図2 金型を使わない方法と、金型成形の考え方 金型を使わない方法 金型成形 3Dプリントは形状の自由度が高い 精度や耐久性は課題が残る 切削加工は精度と強度に優れる ゴム板から削り出して作る 量産の成形方法に近づけられる コンプレッション成形は金型費用を抑えやすい 少量生産にも柔軟に対応できる 金型を作る分、準備は増える 評価の観点と数量を見て、どちらから始めるかを決めます。

3Dプリントは、形を見比べたい初期に向く

自社ページの比較では、3Dプリントは形状の自由度が高く、デザイン確認や簡易治具に向くとされています。一方で、精度や耐久性には課題が残るとも説明されています。形を少しずつ変えた案を見比べる段階が、最初の使いどころです。

切削加工は、機能の評価に近い試作に向く

ゴム板から切削加工を行うことで、3Dプリントよりも物性の高い部品を製作できる、と自社ページで説明されています。機能部品や機能評価に向く方法として挙げられています。詳しい比較は切削加工・3Dプリントのページにまとめています。

金型成形は、形が固まってからの選択肢になる

自社ページには、開発段階で設計変更が多く、金型製作に踏み切れないという悩みも挙げられています。形が動く段階では金型を使わない方法で固め、落ち着いてからコンプレッション成形などを検討する、という順序が取りやすくなります。当社が得意とするゴムの製作方法には、コンプレッション成形と焼付成形が含まれます。費用面の考え方は、切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較でも整理しています。

出典:富士ゴム化成「3Dプリント」ページ・「廃盤部品の再現」ページ・「ゴム・プラスチックとは」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

小さな部品の試作は、どう考えればよいですか?

医療機器の分野では、小さな部品の相談も少なくありません。当社の自社ページには、パイプ内径0.5mmクラスの極小ゴム成形の実績が掲載されています。ただし、納入時期や材質、用途は確認できていないため、ここでは触れません。

使用条件の整理が進んでいないうちは形の確認から、整理が進むほど機能の評価に近い作り方から検討することを示す図 図3 使用条件の整理度と、始める作り方の寄り方 条件の整理が途中 条件が整理済み 整理が途中のうちは形の確認から、整理が進むほど機能の評価に近い作り方から検討します。 整理が途中でも、そのまま相談を始められます。

小さな部品ほど、試作の目的を絞っておく

小さな部品は、形の確認と機能の評価を同時に狙うと、どちらも中途半端になりがちです。今回の試作は何を確かめるためのものかを1つに絞り、次の試作で別の観点を確かめる、という進め方も選べます。

測る位置と、測り方を決めておく

ゴムは押せばへこみます。小さな部品ほど、測定器の当て方で値が変わりやすくなります。どこを、どう測るかを試作の段階で決めておくと、次の試作との比較がしやすくなります。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ(自社情報・2026年10月確認)。

自社の試作依頼は、情報がそろっていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼に必要な情報が欠けています。下のチェックは診断ではなく、相談前の整理のためのものです。個人情報の入力はありません。

試作を依頼する前の情報チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個依頼に必要な情報がほぼそろっています。図面か現物と条件をお送りいただければ、検討に入れます。
2〜3個使用条件か評価の観点のどちらかが不足しています。装置側の担当者と情報をそろえてから整理してください。
4〜6個情報が不足した状態です。まず用途と部品が触れる対象を確認し、確かめたいことを1行にまとめるところから始めることをおすすめします。

医療機器向けゴム部品の小ロット試作について、よくいただくご質問は?

医療機器分野での相談、洗浄や滅菌の伝え方、少数の試作、3Dプリントの試作品の使い道、材質未定の場合についてご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

医療機器に使うゴム部品の試作を、相談できますか?
自社ページでは、主な納入業界に医療機器が挙げられています。ただし、用途ごとに求められる条件が変わるため、適合の確認は個別に必要になります。何に使う部品なのかを、最初にお知らせください。

洗浄や滅菌をする部品です。どう伝えればよいですか?
方法、頻度、使う薬品が分かる範囲で構いません。分からない項目は、装置側の担当者に確認してからお知らせいただければ十分です。個別の可否は、内容をうかがったうえでご説明します。

試作の数が少なくても、相談できますか?
まずはご相談ください。数が少ないほど、金型を使わない方法が入り口になることが多くなります。対応できるかどうかは、内容を拝見して個別にお答えします。

3Dプリントで作った試作品を、そのまま機能の評価に使えますか?
評価したい内容によります。自社ページでは、3Dプリントは精度や耐久性に課題が残ると説明しています。機能の評価では、切削加工や金型成形を含めて検討します。

ゴムの材質がまだ決まっていません。
決まっていない状態のままで構いません。接触するもの、温度、洗浄や滅菌の有無をうかがい、用途に合う材質の候補をご提案します。

依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面か現物、使い方、数量、材料の4点があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

医療機器向けゴム部品の試作を相談する

少ない数の試作でも構いません。用途と使用条件をお知らせいただければ、始める作り方をご提案します。

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