ものづくりプレス

2026-09-15

極小のゴム成形に対応|小さい部品で変わる4つの取り決め

手のひらに乗らない、ピンセットでつまむような部品。小さいというだけで、作り方も測り方も運び方も変わります。

この記事では、極小のゴム成形で何が変わるのかを4つの観点から整理します。当社は医療機器分野で、パイプ内径0.5mmクラスの極小ゴム成形の実績があります。その経験から、相談前に押さえておくと早い点をまとめました。

作成者 西田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月15日 最終更新日 2026年9月15日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

極小のゴム部品でも、成形できますか?

当社は医療機器分野で、パイプ内径0.5mmクラスの極小ゴム成形の実績があります。ただし形状と構造によって作り方が変わるため、まず現品か図面を確認したうえで対応できる範囲をご説明します。

極小のゴム部品で通常サイズと比べて変わる条件と、変わらない考え方を対比した図 図1 小さい部品で変わることと、変わらないこと 小さいと変わる サイズによらず同じ 材料の流れ方が変わる 成形の条件が狭くなる 取り扱いで変形しやすい 検査と梱包の設計が要る 使用条件から材質を絞る 現品から寸法を読む 試作で確かめてから量産 検査項目を先に決める 考え方は同じですが、詰めておく項目が増えます。

小さいほど、成形の条件が狭くなる

材料が流れる距離が短く、断面も小さくなるため、温度や圧力の許容範囲が狭くなります。通常サイズなら多少ずれても成立する条件が、極小では成立しないことがあります。そのぶん、試作で条件を詰める工程が効いてきます。

取り扱いだけで変形することがある

軟らかい材質の小さな部品は、つまむ、袋に入れる、運ぶという動作で形が変わります。検査で測った寸法と、組み付ける現場で測った寸法が違うという話は、この取り扱いから生まれることがあります。測り方と扱い方を先に決めておくと、こうした行き違いを避けられます。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ掲載の実績、および「会社情報」ページの品質保証体制(2026年8月確認)。

検査は、どのように決めますか?

何をどう測るかを、図面を起こす段階で一緒に決めます。小さい部品ほど、測る位置と力加減で値が変わるためです。

決めること 内容 決めておかないと
測る位置どの断面のどこを見るか人によって値が変わる
測る方法接触か非接触か押して変形した値が出る
外観の基準どこまで許容するか合否の判断が分かれる
抜取りか全数か数量と用途で決める受け入れで揉める
記録の残し方何を記録するか次の発注で比べられない

ゴムは押せばへこむ

金属なら、測定器を当てる強さで値は変わりません。ゴムは押せば変形するため、測る人によって数値が動きます。当てる力、当てる位置、置き方の3つを決めるだけで、ばらつきはかなり減ります。2D図があれば硬度や寸法の測定に対応できますので、測定の取り決めまで含めてご相談ください。

検査体制は社内に持っている

当社は品質保証部を設置し、ご要望に合わせて抜取り検査と全数検査を自社内で行える体制を整えています。必要に応じて工場視察や監査にも対応しています。検査の要求が厳しい分野では、この点もご確認ください。外注に出さずに社内で完結できることは、日程の面でも効いてきます。

自社の部品は、相談の準備ができていますか?

当てはまる項目が多いほど、相談の前に整理が必要な状態です。下のチェックは診断ではなく、条件を言葉にするための整理として使ってください。

極小部品の相談前チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個相談の準備ができています。現品か図面を送っていただければ検討に入れます。
2〜3個検査か条件のどちらかが不足しています。測る位置と方法から決めてください。
4〜6個整理が必要な状態です。まず何を見て合否を決めるかから確認することをおすすめします。

梱包と輸送は、なぜ先に決めるのですか?

小さく軟らかい部品は、輸送中の変形や異物付着が問題になりやすい部類だからです。受け入れ側で困らない形を最初に決めておくと、後の手戻りが減ります。

極小のゴム部品を相談する際に、形状から検査、梱包までを決める順番を4段階で示す図 図2 極小部品を相談するときの順番 STEP 1 形状と条件 寸法・材質・ 使用条件 STEP 2 検査を決める 測る位置と方法 合否の基準 STEP 3 梱包を決める 個包装かまとめか 乾燥剤の要否 STEP 4 試作で確かめる 実機で評価 してから量産 検査と梱包を後回しにすると、納品の段になって決め直すことになります。

数えることも、小さいと手間になる

1袋に何個入れるか、どう数えるか。極小部品では、数量の確認そのものが工数になります。重さで管理するのか、個数で管理するのか。受け入れ側の運用にあわせて決めておくと、検収がスムーズになります。数え方が決まっていないと、納品のたびに確認の手間が発生します。

異物の管理も条件のうち

小さい部品は、異物が付いたときの影響が相対的に大きくなります。どこまでの清浄度が必要かは用途によって変わるため、求められる水準があれば最初にお知らせください。対応できる範囲をご説明します。洗浄や梱包の工程を含めて、どこまで管理が必要かをお聞かせください。

材質は、どのように決めますか?

温度、接触するもの、圧力、使用時間の4条件から絞ります。小さいからといって、材質の選び方が変わるわけではありません。

略号 名称 特徴
NBRニトリルゴム最も一般的な材料。耐油性や耐摩耗性が良い反面、耐候性は良くない
HNBR水素化ニトリルゴムNBRの耐候性や耐熱性を改良したグレード。耐寒性やコスト面ではNBRに劣る
CRクロロプレンゴム機械的強度や耐候性、難燃性に優れ、自己消化性のあるバランスの良いゴム
FKMフッ素ゴム耐熱性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性に優れる。耐寒性が低く、有機酸・ケトン・エステル・アミン系に耐性がない
VMQシリコーンゴム優れた耐熱性・耐オゾン性・耐寒性を持ち、生理不活性でもある

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

部品が小さくなるほど検査や梱包など事前に決めておく項目が増えることを示す図 図3 小ささが増すほど、決めておく項目が増える 通常サイズ 極小 通常サイズは形状と材質で進む。小さくなるほど、検査・取り扱い・梱包の取り決めが増える。 境目は形状と用途によって変わります。現品か図面をうかがったうえでご説明します。

小さいほど、試作の意味が大きくなる

成形の条件が狭いということは、条件を外したときの影響も大きいということです。図面どおりに作れるかを、量産の前に確かめておく価値が高くなります。当社では量産に入る前に試作品で評価する段階を置いています。極小部品では、この段階で条件を詰めておくことが結果的に早道になります。

組み付ける側の工程も、あわせて考える

小さい部品は、作る側だけでなく組み付ける側にも負担がかかります。ピンセットでつまむのか、治具で位置決めするのか。向きが決まっている部品なら、袋に入れる向きも取り決めの対象になります。受け入れたあとにどう扱われるかまで共有していただけると、梱包や表示の形をあわせてご提案できます。

極小のゴム成形について、よくいただくご質問は?

対応できる大きさ、難しくなる点、検査、梱包についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

どのくらい小さいものまで作れますか?
医療機器分野で、パイプ内径0.5mmクラスの極小ゴム成形の実績があります。形状と構造によって作り方が変わるため、まず現品か図面をご確認させてください。

小さい部品だと、何が難しくなりますか?
材料の流れ方が変わり、成形の条件が狭くなります。また取り扱いで変形しやすく、検査の方法も決めておく必要があります。

検査はどうしますか?
何をどう測るかを、図面を起こす段階で一緒に決めます。当社は品質保証部を設置し、抜取り検査と全数検査を自社内で行える体制を整えています。

梱包はどうなりますか?
小さく軟らかい部品は輸送中の変形や異物付着が問題になりやすい部類です。個包装にするかまとめるかを含め、受け入れ側で困らない形を最初に決めさせてください。

少量でも依頼できますか?
多品種少量生産を得意としており、1点からの試作のご相談も承っています。継続して使う部品であれば、年間の使用数もあわせてお知らせください。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

現品か図面、使用条件、必要数量の3つがあれば話を始められます。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。すべてが決まっていない状態でも構いません。内容に応じてご提案します。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

資料をダウンロードする

極小のゴム成形に対応|小さい部品で変わる4つの取り決め

記事検索

NEW

  • PTFEとゴムの一体成形|接着しにくい理由と相談の進め方
    2026/09/15
    PTFEとゴムの一体成形|接着しにくい理由と相談の進め方
    PTFEの滑りやすさと、ゴム...
  • 極小のゴム成形に対応|小さい部品で変わる4つの取り決め
    2026/09/15
    極小のゴム成形に対応|小さい部品で変わる4つの取り決め
    手のひらに乗らない、ピン...
  • 送り焼き成形とは|金型より大きいリングを作る3つの条件
    2026/09/14
    送り焼き成形とは|金型より大きいリングを作る3つの条件
    金型より大きいリングを作...
  • シリコンのLIM成形を中量で|受け先が見つからない理由
    2026/09/14
    シリコンのLIM成形を中量で|受け先が見つからない理由
    数量は多くないが、少なく...

CATEGORY

ARCHIVE