ものづくりプレス

2026-09-14

送り焼き成形とは|金型より大きいリングを作る3つの条件

金型より大きいリングを作りたい。この相談に対して、当社には送り焼き成形という方法があります。

この記事では、送り焼き成形がどんな成形方法で、どんな場面で選ばれるのかを、押出し成形との違いを軸に整理します。大径や長尺のゴム部品を検討している方の判断材料になれば幸いです。

作成者 橋本(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月14日 最終更新日 2026年9月14日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

送り焼き成形とは、どんな方法ですか?

繋ぎ合わせて加硫することで、金型以上の大きさの紐やリングを成形する方法です。断面形状や寸法により金型のご用意がありますので、大径のリングや長尺の紐が必要な場合の選択肢になります。

送り焼き成形と押出し成形で、繋ぎ目の見え方と物性、コストと納期が異なることを示す図 図1 送り焼き成形と押出し成形の違い 送り焼き成形 押出し成形(接着) 繋ぎ目が分かりにくい 圧力をかけられ物性が高い 何十mの長さでも作れる コストは高く納期もかかる 接着による繋ぎ目が出る 圧力をかけられない 長尺は得意 コストを抑えやすい 仕上がりを取るか、コストと納期を取るかの選択になります。

繋ぎ目が目立たないのは、リングで効いてくる

リングの場合、押出し成形で接着するよりも繋ぎ目がわかりにくくなります。見た目の問題だけでなく、繋ぎ目は力が集中しやすい箇所でもあります。密封や保持の機能を持つ部品では、この差が使い方に効いてくることがあります。

圧力をかけられることが、物性の差になる

ゴムは圧力を加えることで物性を高めます。押出し成形は圧力をかけられないため、物性の面では送り焼き成形に劣ります。同じ材質でも、成形方法によって仕上がりの性質が変わるということです。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」「製品実績」掲載の送り焼き成形の説明(2026年8月確認)。

どんな場面で選ばれますか?

金型で作れる大きさを超えるものが必要な場面です。大径のOリング状の部品、長尺のシール、装置の外周を1周する紐状の部品などが該当します。

場面 送り焼き成形の向き 補足
金型より大きいリング向いている金型の寸法に縛られない
何十mの長尺向いている長さの制約が小さい
繋ぎ目を目立たせたくない向いている接着よりも分かりにくい
数量が多く単価を抑えたい要検討コストは押出し成形より高い
納期を最優先したい要検討押出し成形より時間がかかる

大きい部品ほど、金型の費用が判断を左右する

金型で作る場合、大きさがそのまま金型の費用に効いてきます。数量が少ない大径部品では、金型の費用を回収しきれないことがあります。送り焼き成形は、断面用の金型があれば大きさに縛られないという点で、この問題を回避できる場合があります。

断面の図面か現品があれば、確認できる

断面形状や寸法によっては、当社に金型のご用意がある場合があります。断面が分かる図面、あるいは現品の切れ端があれば確認できますので、まずはお送りください。廃盤になった大径部品の作り直しは廃盤部品の再現でも承っています。

自社の部品は、送り焼き成形が合いますか?

当てはまる項目が多いほど、送り焼き成形が候補になる状態です。下のチェックは診断ではなく、条件を言葉にするための整理として使ってください。

送り焼き成形の適合チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個通常の成形方法で足りる可能性が高い状態です。形状と数量からご提案します。
2〜3個送り焼き成形が候補に入ります。断面形状をお知らせください。
4〜6個送り焼き成形が向く条件がそろっています。断面の図面か現品でご相談ください。

材質は、どのように決めますか?

温度、接触するもの、圧力、使用時間の4条件から絞ります。成形方法が決まっても、材質は使用条件から決めることに変わりはありません。

略号 名称 特徴
NBRニトリルゴム最も一般的な材料。耐油性や耐摩耗性が良い反面、耐候性は良くない
HNBR水素化ニトリルゴムNBRの耐候性や耐熱性を改良したグレード。耐寒性やコスト面ではNBRに劣る
CRクロロプレンゴム機械的強度や耐候性、難燃性に優れ、自己消化性のあるバランスの良いゴム
FKMフッ素ゴム耐熱性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性に優れる。耐寒性が低く、有機酸・ケトン・エステル・アミン系に耐性がない
VMQシリコーンゴム優れた耐熱性・耐オゾン性・耐寒性を持ち、生理不活性でもある

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

屋外で使うなら、耐候性を軸に

ゴムはオゾンや紫外線に強くありません。大径のリングや長尺の紐は、装置の外周など外気に触れる場所に使われることが多い部類です。設置される環境が屋外か屋内かは、材質を分ける情報になります。

他の成形方法とは、どう使い分けますか?

大きさと数量で分かれます。金型に収まる大きさで数量が出るなら金型成形、大きさが金型を超えるなら送り焼き成形か押出し成形が候補になります。

作りたい部品の大きさと数量から成形方法を決めるまでの順番を4段階で示す図 図2 成形方法を決める順番 STEP 1 大きさを見る 金型に収まるか 超えるか STEP 2 繋ぎ目を見る 目立たせたくないか 許容できるか STEP 3 数量を見る 少量か 継続量産か STEP 4 方法を決める 金型成形/送り焼き/ 押出し 大きさ・繋ぎ目・数量の3つで、方法はだいたい決まります。

当社はゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。成形方法そのものの違いはゴム・プラスチックとはのページで整理しています。工法ごとの費用の分かれ目は切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較もあわせてご覧ください。

コストと納期は、先に共有しておく

送り焼き成形は、押出し成形よりも製品コストが高く、納期もかかります。この点を先に共有しておかないと、見積りが出た段階で話が止まります。仕上がりを優先するのか、コストと納期を優先するのか。その判断を先にしておくと、選定が速く進みます。当社は相見積もりを歓迎していますので、成形方法をそろえて各社に出すことをおすすめします。方法が違う見積りを金額だけで比べても、条件が揃いません。

現品があれば、断面から確認できる

すでに使っている部品を作り直す場合、切れ端が1つあれば断面の形と寸法が読み取れます。全周が残っていなくても、断面が一定の形状であれば判断できます。現品は洗わず、外したままの状態でお送りください。表面の状態が、接触していたものや温度を推定する材料になります。

繋ぎ目の位置は、指定できる場合がある

リングでは、繋ぎ目をどこに置くかで使い勝手が変わることがあります。荷重がかかる位置や、見える位置を避けたいという要望があれば、相談の段階でお知らせください。形状と工程によって可否が変わるため、確約はできませんが、早い段階で共有していただくほど対応の幅が広がります。

送り焼き成形について、よくいただくご質問は?

用途、押出し成形との違い、デメリット、対応できる長さについてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

送り焼き成形は、どんなときに使いますか?
金型以上の大きさの紐やリングを成形したいときです。繋ぎ合わせて加硫することで、金型の寸法を超える長さや径のものを作れます。

押出し成形で接着するのとは何が違いますか?
リングの場合、送り焼き成形のほうが繋ぎ目が分かりにくくなります。また圧力をかけられるぶん、押出し成形に比べて物性が高くなります。

デメリットはありますか?
押出し成形よりも製品コストが高く、納期がかかります。大きさと数量によって、どちらが合うかは変わります。

どのくらいの長さまで作れますか?
何十mの長さでも作ることができます。断面形状や寸法によって金型のご用意がありますので、まずはご相談ください。

金型は新しく作る必要がありますか?
断面形状や寸法によっては、当社に金型のご用意がある場合があります。断面の図面か現品をお送りいただければ確認します。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

断面が分かる図面か現品、使用条件、必要数量の3つがあれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。内容に応じてご提案します。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します
金型に収まる大きさと金型を超える大きさで、選べる成形方法が変わることを示す図 図3 大きさで変わる、成形方法の分かれ目 金型に収まる 金型を超える 金型に収まるなら通常の成形。超えるなら送り焼き成形か押出し成形が候補になる。 断面形状や寸法により金型のご用意がある場合があります。個別にご確認ください。

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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