ものづくりプレス

2026-09-14

シリコンのLIM成形を中量で|受け先が見つからない理由

数量は多くないが、少なくもない。この「中量」の帯で、シリコンのLIM成形の受け先が見つからないという相談をいただきます。

この記事では、なぜ中量だと受け先が見つかりにくいのか、その構造的な理由と、当社で対応できる範囲を整理します。数量の帯によって、相談すべき相手が変わるという話です。

作成者 中村(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月14日 最終更新日 2026年9月14日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

シリコンのLIM成形は、中量でも対応できますか?

当社ではシリコンのLIM成形を中量で成形することが可能です。大量生産の設備が中心の分野で、少量から中量の帯は受け先が限られます。そこに対応できる点が、この工法でご相談をいただく理由になっています。

LIM成形が大量生産のラインとして組まれている場合と、中量に対応できる場合の違いを示す図 図1 大量生産向けの体制と、中量に対応できる体制 中量に対応できる体制 大量生産向けの体制 数量の帯に幅がある 試作から相談できる 多品種少量の経験がある 形状に応じて工法を選べる 特定製品のラインとして固定 空きが出にくい 少量から中量は受けにくい 数量が前提条件になる 同じ工法でも、受け入れられる数量の帯は会社によって変わります。

LIM成形が大量生産に寄っている理由

LIM成形は、家電や自動車などの大量生産で使われることがほとんどです。特定製品の生産ラインとして組まれるため、少量から中量の生産を受けられるほど空きがない企業が多いのが実情です。これは技術の問題ではなく、設備の使われ方の問題です。

だから数量の帯を先に伝える

相談の入口で数量の帯を伝えておくと、対応できるかどうかの判断が早く返ってきます。今回必要な数と、年間で見込む数の2つをお知らせください。数量が読めない段階でも、想定の幅でかまいません。幅が広くても、伝えないよりは判断が進みます。

出典:富士ゴム化成へのヒアリング(2026年8月21日・西田海人様よりご提供いただいた情報)。

中量の帯は、どのくらいを指しますか?

一律の線引きはありません。形状と工程によって、同じ数量でも中量になったり少量になったりします。数量そのものより、段取りと設備の空きで決まる部分が大きいためです。

見るところ 数量が少ないほど 数量が多いほど
設備の段取り段取りの時間が単価に効く段取りが数量で薄まる
金型の費用回収が難しい1個あたりに薄まる
受け入れる側空き時間で対応できるかラインを組む前提になる
向く工法金型を使わない方法も候補成形が有利になる

数量が決まらないと、工法も決まらない

同じ形でも、年間10個と年間1万個では選ぶ工法が変わります。数量が決まらないまま工法の話をすると、議論が空回りします。確定していなくても構いませんので、想定の幅を先にお知らせください。

試作から入って、数量が見えてから決める方法もある

市場に出す前の段階では、数量を読み切れないことがあります。その場合は試作から入り、形状と機能を確かめてから量産方法を決める進め方があります。当社は多品種少量生産を得意としており、1点からの試作のご相談も承っています。

自社の案件は、どの帯にありますか?

当てはまる項目が多いほど、中量の帯で相談先が見つかりにくい状態です。下のチェックは診断ではなく、数量の位置づけを言葉にするための整理です。

数量の帯チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個通常の数量帯にある案件です。形状と数量からご提案できます。
2〜3個中量の帯にかかっています。数量の幅を伝えたうえでご相談ください。
4〜6個受け先が限られる帯です。試作から入り、数量が見えてから量産方法を決める進め方が向きます。

シリコン以外の選択肢はありますか?

形状と使用条件によって、他の成形方法が合う場合があります。当社はゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。

略号 名称 特徴
NBRニトリルゴム最も一般的な材料。耐油性や耐摩耗性が良い反面、耐候性は良くない
HNBR水素化ニトリルゴムNBRの耐候性や耐熱性を改良したグレード。耐寒性やコスト面ではNBRに劣る
CRクロロプレンゴム機械的強度や耐候性、難燃性に優れ、自己消化性のあるバランスの良いゴム
FKMフッ素ゴム耐熱性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性に優れる。耐寒性が低く、有機酸・ケトン・エステル・アミン系に耐性がない
VMQシリコーンゴム優れた耐熱性・耐オゾン性・耐寒性を持ち、生理不活性でもある

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

シリコーンゴムが選ばれる理由

シリコーンゴムは、優れた耐熱性や耐オゾン性、耐寒性を持ち、生理不活性でもあります。温度の幅が広い用途や、屋外に置かれる用途で候補に上がります。ただし材質だけで決めず、使用条件と突き合わせて絞り込むのは他の材料と同じです。

相談は、どう進みますか?

形状と数量、使用条件をうかがい、対応できる範囲と工法をご提案します。試作が必要であれば、そこから始めることもできます。

LIM成形の相談から試作、量産までの進み方を4段階で示す図 図2 相談から量産までの進み方 STEP 1 数量を伝える 今回の数と 年間の見込み STEP 2 形状を渡す 図面か現品 断面が分かるもの STEP 3 工法を決める LIM成形か 他の方法か STEP 4 試作して量産 形状と機能を 確かめてから 数量の帯が最初に分かると、対応できるかの判断が早くなります。 数量が少ない場合と多い場合で、相談できる先と選べる工法が変わることを示す図 図3 数量の帯で変わる、相談先と工法 少量 大量生産 中量の帯は受け先が限られる。少量なら金型を使わない方法、大量ならライン生産が前提になる。 帯の境目は形状と工程によって変わります。数量の幅をうかがったうえでご説明します。

形状が決まっていない段階でも相談できる

すべてが決まっていない状態でも構いません。内容に応じてご提案します。ゴム・樹脂のノウハウにより、造形前や成形前に強度の足りない所や、どうすればご要望の品物を作れるかを提案できます。形状を作り込む前に一度見せていただくと、作り直しの回数が減ります。

断られた理由を、次の相談で使う

数量が合わないという理由で断られた場合、その内容をそのまま次の相談で伝えると話が早く進みます。「この数量で、この形状で、この条件では受けられないと言われた」という情報は、受ける側にとっても判断の材料になります。断られた経緯は、隠さずお知らせいただいたほうが結果的に早く決まります。

数量が増えたときの相談先も、先に考えておく

中量で始めて、数量が伸びる可能性がある案件もあります。そのときに工法や相談先を変えることになるのかどうかは、最初に確認しておくと後の判断が楽になります。当社では試作から量産まで一貫して承っており、数量が変わっても同じ窓口で相談を続けられます。

LIM成形について、よくいただくご質問は?

中量対応の可否、受け先が見つかりにくい理由、数量の目安についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

LIM成形の中量生産に対応してもらえますか?
シリコンのLIM成形を中量で成形することが可能です。形状と数量をうかがったうえで、対応できる範囲をご説明します。

なぜ中量だと受け先が見つかりにくいのですか?
LIM成形は家電や自動車などの大量生産で使われることがほとんどで、特定製品の生産ラインとして組まれているためです。少量から中量を受けられるほど空きがない企業が多いのが実情です。

どのくらいの数量が中量にあたりますか?
一律の線引きはありません。形状と工程によって変わるため、想定している年間数量をお知らせいただければ、対応できるかをご説明します。

シリコン以外でも相談できますか?
ゴム製品ではコンプレッション成形や焼付成形、樹脂製品ではインサート成形を得意としています。材質と形状に応じて、合う成形方法をご提案します。

試作から相談できますか?
多品種少量生産を得意としており、1点からの試作のご相談も承っています。試作で形状と機能を確かめてから量産に移る進め方をご提案しています。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

形状が分かるもの、使用条件、必要数量の3つがあれば話を始められます。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。数量は確定していなくても、想定の幅でかまいません。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

当社は相見積もりを歓迎しています。条件をそろえて出したほうが比較できる見積りになりますので、条件の整理からご相談いただいて構いません。

材料の選び方と寸法表を先に確認する

SF-JOINT総合カタログ・施工要領・Oリング寸法表などの資料をご用意しています。会社名とご連絡先のご入力でダウンロードいただけます。

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