成形・加工方法

2021-08-23

ゴムの接着加工

ゴムとゴム同士、またはゴムとほかの素材を接合する方法に、接着加工があります。接着加工には種類があり、特徴が異なります。ゴム製品の用途に応じた接着加工を選ぶのが重要です。ゴムの接着加工の種類とそれぞれの特徴、接着加工の用途について解説します。目的に合うゴム製品の製作にぜひ役立ててください。

ゴムの接着加工

ゴム接着加工の種類


ゴムの接着加工は、ゴムの加工方法のひとつです。接着加工は接合に用いる方法によって、以下の3種類に分けられます。

  • 接着剤
  • 両面テープ
  • 加硫接着

それぞれの特徴について解説します。


接着剤


接着剤を使ってゴムを接合する方法です。接合したいゴムの表面に、接着剤をまんべんなく塗って接合します。接着剤には種類があり、接合したいゴムの種類や接合する相手材に合ったものを選ぶのが重要です。

接合するゴムまたは素材によっては、接着剤の下地作りとしてプライマー(下塗り剤)
処理が必要な場合があります。プライマー処理をすることで、接着性や粘着性の向上や表面の安定化、接着剤の劣化防止などの効果が得られます。

ゴムの種類によって、それぞれ適した接着剤があるため、素材に合わせた選定が必要となります。接着剤には瞬間接着剤、1液性接着剤などの種類があります。さらに、接着剤によっては素材となるゴムの構成要素と異なる物質を含んでいる場合もあります。使用する環境や状況に応じた適切な処置と、適切な接着剤の選定が必要です。

両面テープ


両面テープには、ゴム専用のものがあります。ゴム専用の両面テープを接着したい箇所に貼り、接合する方法です。

両面テープも接着剤と同じく、ゴム素材によって適切なものを選ぶ必要があります。適切でない両面テープを選ぶと、粘着性や接合性が低く貼ってもすぐにはがれてしまうことがあるためです。

片方にゴム専用の両面テープ、片方には樹脂や金属用の粘着剤を使うことによって異なる素材同士の接着にも活用できます。

加硫接着


加硫接着とは、未加硫のゴムと異なる素材を接着する方法です。インサート成形と呼ばれる場合もあります。

未加硫のゴムと金属などのほかの素材を一緒に金型に仕込み、加硫を行います。ゴムの加硫工程を活用し、金型内でゴムとほかの素材とを接合可能です。

加硫接着の手順は以下の通りです。

  1. 接合したい素材それぞれの表面に、接着剤を均一に塗ります(※場合によっては、未加硫ゴムの表面にも接着剤を塗ることもあります)
  2. 接合したい素材と、未加硫ゴムをそれぞれ金型に仕込みます
  3. 金型に熱と圧力をかけます
  4. 軟化した材料が押し込まれ、金型のキャビティーに充填されます
  5. 加硫に入ります
  6. 加硫後金型をし、金具部の任意の箇所をバリ取りします

加硫接着は成形時に金具までゴムがまわってバリが発生しますので、任意の部分をバリ取りしたあと、のちの工程で他の箇所のバリを取ることになります。

ゴム接着加工の用途


ゴム接着加工の用途

ゴムの接着加工は、ゴム同士のほかゴムと樹脂、金属などの異なる素材を接着させることも可能です。ゴム接着加工は、以下の製品製作の用途として用いられています。

製品としての用途

  • シリコンスポンジ(シリコンゴムをシリコンスポンジで挟んで接着)
  • テーブルなどのコーナー(シリコンゴムの加硫接着)
  • コの字コーナー(シリコンゴムの接着)
  • ダクト内部ライニング(ゴムシートやゴムとの複合素材シートと鉄をライニング処理)
  • ゴルフボール回収溝のゴム内張り(クロロプレンゴムとコンクリートの接着)
  • 廊下と階段へのゴムチップマット貼り付け(床材とゴムマットの接着)
  • 消火栓保護カバー(ゴムとの複合素材と金属の接着)
  • 橋梁用伸縮ジョイント(ゴムの加硫接着)
  • 配管用特殊部材(板ゴムと金属の接着)
  • 人工芝の複合接着(ゴムスポンジと人工芝の接着)
  • 靴底(ゴムと底芯材の接着)

異なる素材やゴム材質と接着させることで、ゴムの持つ耐候性や耐オゾン性、弾性などの特性を付与できます。接着加工を用いると、既存の設備にもゴムを接着し機能性を高められるのがメリットです。靴の汚れが付かないように床材にゴムチップを接着する、人が金属部分にぶつからないように消火栓ボックスにゴムを保護カバーとして接着する、といったことも可能になります。

加工方法としての用途

  • ゴム同士の接着剤による接着
  • ゴムシートを理想の寸法に合わせる
  • ゴムシートやゴム板、プラスチック板への粘着テープの接着

接着加工を用いることで、少量のゴム同士の接着なら押出成形よりも早く、コストも低くおさえての製作も可能になります。ほかにも、ゴムに入れた切り込みに接着剤を塗布してコの字を作る、ゴムシートに斜めに切り込みを入れてゴムシート同士を貼り合わせてサイズを整える、などの用途でも接着加工は活用できます。ただし、ゴム同士の接着の場合は接着面の硬度が変わり、弱くなってしまうこともあるので注意が必要です。


ゴムの加工方法でお悩みならぜひご相談を


ゴムの接着加工は、ゴム同士や異素材同士を接合させることでさまざまな用途や製品製作に活かせます。接着剤や両面テープ、加硫のどの接着加工方法を採用するかは、製品や用途のほか、生産量、コスト、納期などを踏まえて最適なものを選択する必要があります。接合する素材に合わせた接着剤や両面テープを選ぶのも重要です。

用途や製作したい製品に合ったゴムの加工方法を選びたいなら、まずはご相談ください。最適なゴムの加工方法を選択し、理想の製品をお届けします。

製品に関するご質問、製品開発に関することはなんでもご相談ください。

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