ものづくりプレス

2026-09-23

Oリングの規格外サイズを製作する|相談前の3つの確認点

設備のシール部分が特殊な寸法で、規格表のどのサイズにも当てはまらない。規格品のOリングメーカーに問い合わせても「規格外は対応していません」と断られてしまう。設備保全や設計変更の現場で、こうした壁に当たることがあります。

この記事では、規格外サイズのOリングを製作する際に相談前に確認しておく3つの点を整理します。当社の廃盤部品の再現フローと成形方法の公開情報を土台にしています。

作成者 西田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月23日 最終更新日 2026年9月23日 本記事は2026年9月時点の情報です 読了時間 約8分

規格外サイズのOリングは、作れますか?

作れます。Oリングは金型成形で製作するため、規格表にある寸法に縛られる理由はありません。内径・線径の組み合わせが規格表に無くても、寸法が分かれば金型を起こして対応できます。ただし規格品と違い、金型を新たに用意する分の検討が必要になります。

規格品のOリングは、市販の金型を流用できるため短納期・低コストになりやすい一方、

規格外サイズは専用の金型を起こす分、規格品とは進め方が変わります。

「規格外」は特殊な部品という意味ではない

規格外サイズという言葉から、特殊な材料や技術が必要だと考える方もいますが、そうではありません。金型成形という工法自体は規格品と同じで、金型の寸法だけが専用になります。寸法が特殊なだけで、対応できる工法や材質の選択肢は規格品と変わりません。

現品があれば、規格表と照合しなくても進められる

溝に取り付いていた現品があれば、規格表と照合する作業は不要です。現物調査で内径・線径・材質を読み取り、そこから図面を起こす流れを取っています。摩耗していても、寸法と材質を読み取る手がかりになります。

出典:富士ゴム化成「廃盤部品の再現」ページ掲載の再現フロー(自社情報・2026年9月確認)。

相談前に、何を確認しておきますか?

溝の寸法、使用条件、数量の3つです。この3つが分かっていれば、金型を起こすかどうかを含めた検討がスムーズに進みます。

確認点 内容 無い場合の代替
溝の寸法溝幅・溝深さ・取り付け部の径現品があれば現物調査で測定
使用条件温度・接触するもの・圧力・使用時間運転中と停止中の環境を口頭で
数量今回必要な数と年間見込み概算でよい。見込みが立たなければその旨を

溝の寸法から、Oリングの寸法を逆算できることがある

Oリング自体の現品が手元になくても、取り付く溝の寸法が分かれば、そこから適切な寸法を検討できます。設備の設計図に溝の寸法が記載されている場合は、その情報も手がかりになります。

使用条件から、材質の候補を絞り込む

規格外サイズであっても、材質選びの考え方は規格品と同じです。温度、接触するもの、圧力、使用時間の4条件を伝えていただければ、用途に合う材質の候補をご提案します。ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差は品物ごとに決めていきます。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

金型を起こすかどうかは、何で決まりますか?

数量の見込みと、寸法がどれだけ規格から外れているかで判断します。極めて少量で一度きりの発注であれば、切削加工のように金型を使わない工法が候補になることもあります。

規格外サイズのOリング製作を溝の寸法確認から工法決定まで4段階で検討する流れを示す図 図1 規格外サイズの製作を検討する順番 STEP 1 溝の寸法を確認 現品か図面 から読み取る STEP 2 使用条件を伝える 温度・接触物 圧力・時間 STEP 3 数量の見込みを出す 今回と 年間見込み STEP 4 工法を決める 金型成形か 切削加工か 数量が少なく一度きりなら、切削加工も選択肢に入ります。

数量が見込めるなら、金型成形が候補になる

繰り返し使う部品で、将来の発注が見込める場合は、金型成形で対応することで1個あたりの成形費を抑えられます。金型費と数量の関係はゴム・樹脂部品の金型コスト削減の考え方で整理しています。

一度きりの発注なら、切削加工も検討する

試作段階や、二度と発注しない見込みの場合は、金型を使わない切削加工が候補になります。当社の公開情報では、切削加工はゴム板からより物性の高い部品を製作できるとしています。切削と成形のコストの分かれ目は切削・射出成形・3Dプリントのコスト比較にまとめています。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(成形方法の特徴)(自社情報・2026年9月確認)。

規格外サイズの見積りは、どう進めますか?

溝の寸法、使用条件、数量をお伝えいただければ見積りに進めます。規格品と違って専用の金型費用が含まれるため、内訳を分けて示してもらうと比較しやすくなります。

規格外サイズの相談で規格品との違いを理解している場合と理解していない場合の進み方を対比した図 図2 規格品との違いを理解して相談した場合と、理解せずに相談した場合 違いを理解して相談 理解せず相談 金型費の位置づけが分かる 寸法の伝え方が的確 数量の見込みを伝えられる 見積りが早く進む 「なぜ高いのか」と戸惑う 寸法の伝達に往復が発生 工法の選択肢を検討しない 見積りに時間がかかる 規格外サイズは金型成形という工法自体は規格品と同じで、寸法だけが専用になる点を押さえておくと話が早く進みます。

相見積もりは、寸法と条件をそろえて取る

当社は相見積もりを歓迎しています。溝の寸法・使用条件・数量を同じ内容で各社に伝えていただくと、金型を起こす前提が各社でそろい、比較しやすくなります。

見積り依頼時は、内訳を分けて示してもらう

規格外サイズは金型費用が単価に含まれるため、材料費・成形費・金型費に分けて見積りを示してもらうと、数量を変えた場合の単価の見込みも立てやすくなります。単価の内訳の考え方はゴム・樹脂部品の金型コスト削減の考え方にまとめています。

規格からのずれが小さい場合と大きい場合とで検討すべき工法の範囲が変わることを示す図 図3 寸法の特殊さで、検討する工法の幅が変わる 規格からのずれが小さい ずれが大きい・特殊形状 ずれが小さいほど近い規格品での代替可否も検討でき、大きいほど専用の金型製作が前提になる。 規格表と照合できる場合は、近い寸法の規格品で代替できないかもあわせて検討する余地があります。

自社の規格外サイズの相談準備は、どこまで進んでいますか?

当てはまる項目が多いほど、相談前に整理しておくと見積りがスムーズに進みます。下のチェックは診断ではなく、3つの確認点のどこが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

規格外サイズ相談の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個相談の準備が整っています。見積り依頼に進めます。
2〜3個一部が未整理です。溝の寸法の確認から埋めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず現品か図面から溝の寸法を確認することをおすすめします。

規格外サイズの製作について、よくいただくご質問は?

作れるかどうか、摩耗した現品での対応、金額の差、少量対応、材質の選択肢についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。個別の品物については、現品か図面を見たうえでお答えしています。

規格にないサイズのOリングは作れますか?
作れます。金型成形で製作するため、規格表にない内径・線径の組み合わせにも対応できます。寸法が分かる図面か現品があれば相談を始められます。

現品が摩耗していても、規格外サイズを再現できますか?
摩耗していても手がかりになります。現物調査で寸法と材質を読み取り、CADで図面を起こす流れを取っています。溝の寸法も分かれば、そこから逆算して製作することもできます。

規格品と規格外品で、金額の差は大きいですか?
金型を新たに起こすかどうかで金額の構成が変わります。見積りの中でお示ししますので、寸法と数量をお知らせいただいたうえでご相談ください。

少量でも規格外サイズを製作できますか?
多品種少量を得意としており、規格外サイズのご相談も1点から承っています。数量が少ない場合はコンプレッション成形のように金型費用を抑えられる工法が候補になります。

材質も自由に選べますか?
使用条件をうかがったうえで材質の候補をご提案します。材料の配合そのものは材料メーカーの領域のため、当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わります。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

溝の寸法(または現品)、使用条件、数量の3つがあれば話を始められます。図面が無くても、現物調査から進められます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

規格品での代替可否も含めてご相談いただけます。寸法をうかがったうえで、規格品か規格外の専用製作かをご提案します。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

規格外サイズのOリング製作を相談する

溝の寸法または現品があれば話を始められます。図面が無くても、現物調査から進められます。

見積りを依頼する

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