ものづくりプレス

2026-09-26

原材料高騰時のコストダウン手順|見直す4つの切り口とは

原材料の高騰で仕入れコストが上がり、対応を求められている。値上げを受け入れるしかないのか、それとも下げられる部分があるのか、何から手をつければよいか分からない。調達・生産技術の担当者が直面する課題です。

この記事では、原材料高騰時にコストダウンを検討する手順を4つの切り口で整理します。当社の成形方法・検査体制の公開情報を土台にしています。

作成者 柴田(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月27日 最終更新日 2026年9月27日 本記事は2026年9月時点の情報です 読了時間 約8分

コストダウンは、どんな切り口で検討しますか?

材質の見直し、工法の見直し、数量のまとめ方、検査水準の調整の4つです。材質を変えずに他の切り口だけでコストダウンできる場合もあれば、複数を組み合わせる場合もあります。

コストダウンの切り口を材質を変える方法と材質以外の方法に分けて対比した図 図1 材質を変える切り口と、材質以外の切り口 材質以外の切り口 材質を見直す切り口 工法の見直し 数量のまとめ方 検査水準の調整 性能への影響が少ない 使用条件に合わせて選定 過剰性能を適正化 試作評価が必要 効果が大きいこともある まず材質以外の切り口から検討し、それでも不足する場合に材質の見直しを検討する順番が実務的です。

材質を変えずにできることから、先に検討する

材質を変更すると、性能への影響を確認する試作評価が必要になります。まずは工法や数量、検査水準といった、材質を変えずに検討できる切り口から着手すると、手戻りの少ない進め方になります。

材料費の比率が高い品物ほど、効果が見えやすい

単価に占める材料費の比率が高い品物であるほど、材質の見直しによる効果が見えやすくなります。逆に材料費の比率が低い品物では、工法や検査水準の見直しのほうが効果的な場合があります。

出典:富士ゴム化成の一般的な調達・生産技術の考え方(自社見解ではなく一般論として整理)。

工法の見直しでは、何を検討しますか?

数量に対して工法が適切かどうかを確認します。当社の公開情報では、コンプレッション成形は金型費用を抑えられ少量に柔軟、射出成形は大量生産で安価な一方、金型が高額で少量には向かないとしています。

検討項目 内容 効果が出やすい場面
工法の適正化数量に合った工法を選ぶ数量が変化した品物
数量のまとめ方発注ロットの見直し複数回に分散発注している品物
検査水準の調整全数と抜取りの配分見直し検査費の比率が高い品物
材質の見直し使用条件に照らした適正化過剰性能の品物

数量をまとめると、金型費の負担が軽くなることがある

複数回に分けて発注している場合、まとめて発注することで金型費の1個あたりの負担を軽くできることがあります。金型費と数量の関係はゴム・樹脂部品の金型コスト削減の考え方にまとめています。

切削加工との使い分けも、選択肢に入る

数量が少ない品物では、金型を使う成形から金型を使わない切削加工へ切り替えることで、金型費用そのものをなくせることがあります。当社の公開情報では、切削加工はゴム板からより物性の高い部品を製作できるとしています。数量の見込みによって、どちらが適するかは変わります。

検査水準を見直すと、検査費が変わる

全数検査にしている項目のうち、機能への影響が小さいものを抜取りに変えることで、検査費を抑えられる場合があります。機能に効く部位はそのまま厳しく検査し、それ以外を見直すという項目単位の考え方が実務的です。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

材質の見直しは、どう進めますか?

現在の使用条件を書き出し、過剰な性能を持たせていないかを確認します。条件に対して余裕を持たせすぎている材質を、条件に見合ったものへ切り替えることで、性能を保ちながらコストを下げられることがあります。

材質見直しによるコストダウンを使用条件の整理から試作評価まで4段階で検討する流れを示す図 図2 材質見直しでコストダウンを検討する4段階 STEP 1 使用条件を整理 温度・接触物 圧力・時間 STEP 2 現材質の性能を確認 過剰な部分 がないか STEP 3 候補材質を検討 条件に見合う 材質を選ぶ STEP 4 試作で評価 実機で 確認 過剰な性能を削ることが目的で、必要な性能まで削らないよう試作評価で確認します。

材質名だけでなく、配合の指定も見直しの対象になる

ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なります。材質の分類そのものを変えなくても、配合の指定を見直すことでコストが変わることもあります。材料の配合は材料メーカーの管轄のため、当社は用途に合う材料を選ぶ立場でご相談に応じます。

試作評価を省略しない

材質を見直した結果、以前と同じ性能を発揮できるかを試作で確認することが欠かせません。評価を省略して量産に進むと、コストは下がっても不具合のリスクが上がることがあります。

出典:富士ゴム化成「ゴム・プラスチックとは」ページ(成形方法の特徴)(自社情報・2026年9月確認)。

相談するとき、どう進めればよいですか?

現在の品物、使用条件、現在の単価の内訳(分かる範囲で)を伝えていただくと、検討の切り口を絞りやすくなります。当社は相見積もりを歓迎しており、コストダウンの相談と組み合わせてご検討いただけます。

1つの切り口だけを検討した場合と4つの切り口を検討した場合とでコストダウンの余地が変わることを示す図 図3 検討する切り口の数で、コストダウンの余地が変わる 1つの切り口のみ 4つの切り口を検討 検討する切り口が多いほど、性能を保ちながらコストダウンできる余地が広がる。 4つの切り口は材質・工法・数量のまとめ方・検査水準です。

相見積もりでは、コストダウンの相談内容もそろえて出す

複数社に相談する場合、検討したい切り口(材質・工法・数量・検査水準)を同じ内容で各社に伝えることで、提案内容を比較しやすくなります。当社は相見積もりを歓迎しています。

継続的な見直しの機会として位置づける

原材料高騰への一時的な対応としてだけでなく、定期的にコストダウンの余地を見直す機会として位置づけると、次の値上げ局面でも落ち着いて対応できます。

自社のコストダウン検討は、どこまで進んでいますか?

当てはまる項目が多いほど、検討の余地があります。下のチェックは診断ではなく、4つの切り口のどれを検討していないかを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

コストダウン検討チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個検討が進んでいます。見積り依頼に進めます。
2〜3個一部の切り口が未検討です。材質以外の切り口から始めてください。
4〜6個検討の余地が大きい状態です。まず使用条件を書き出すことをおすすめします。

工場視察や監査で、検討の判断材料が増える

当社では必要に応じて工場視察や監査に対応しています。検討の切り口を具体的に詰める前に、当社の検査体制や成形の様子を現地で確認いただくことも可能です。

原材料高騰時のコストダウンについて、よくいただくご質問は?

影響を受けにくい部品、材質以外での対応、性能への影響、相談のタイミング、相見積もりとの関係についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

原材料高騰の影響を受けにくい部品はありますか?
材料費が単価に占める割合は品物によって異なります。材料費の比率が高い品物ほど、コストダウンの余地も検討しやすくなります。

材質を変えずにコストを下げる方法はありますか?
あります。数量のまとめ方、工法の見直し、検査水準の調整など、材質以外の切り口でもコストダウンの余地があります。

材質を見直すと、性能が落ちませんか?
使用条件に対して過剰な性能を持たせている場合は、条件に見合った材質に見直すことで、性能を保ちながらコストを下げられることがあります。

コストダウンの相談は、どのタイミングでするとよいですか?
値上げの通知を受けた直後でも、定期的な見直しのタイミングでも、いつでもご相談いただけます。早いほど検討の選択肢が広がり、じっくり比較検討する時間も確保できます。

相見積もりと、コストダウンの相談は別ですか?
別ではなく、組み合わせて検討いただけます。当社は相見積もりを歓迎しています。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

現在の品物(図面か現品)、使用条件、現在の単価(分かる範囲で)があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。過去に同じ品物で不具合が出た経緯があれば、あわせてお知らせください。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

当社は相見積もりを歓迎しています。

コストダウンの余地を相談する

現在の使用条件や単価が分からない段階でも構いません。品物の情報をお知らせいただければ、検討の切り口をご提案します。

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