ものづくりプレス
2026-03-23
樹脂価格が上がった時、まずBOMのどこを見る?部品表起点で進める見直し術を解説
樹脂価格が上がった時、まずBOMのどこを見る?部品表起点で進める見直し術を解説
樹脂価格が上がると、多くの現場ではまず購買部門が見積の更新や値上げ対応に追われる。 しかし、本当に重要なのは「どの部品が上がったか」を個別に追うことではなく、BOM(部品表)のどこから影響が広がるかを先に見極めることである。直近では、ホルムズ海峡経由の石油化学品供給混乱を受け、ポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック価格が約4年ぶり高値圏に達し、アジアのナフサマージンも大きく上昇している。こうした局面では、部品単価の上昇だけでなく、納期・代替性・在庫方針まで一緒に揺れやすい。
日本のものづくりで使われる多くのプラスチックや一部のゴム原料は、
原油 → ナフサ → 基礎化学品 → 樹脂・ゴム原料 → 部品・製品
という流れの上にある。つまり、樹脂価格の上昇は単なる購買コストの問題ではなく、BOM全体の見直しを促すシグナルでもある。日本政府も、ナフサの安定確保に向けて中東以外からの調達を進める必要があると説明しており、今は「価格だけ見ればよい局面」ではない。
この記事では、“樹脂価格が上がった”ときに、BOMのどこを見るべきかを、調達・設計・生産技術が共通で使える形で整理する。キーワードは、影響額ではなく、影響の広がりである。
なぜ「単価の高い部品」から見るだけでは不十分なのか
樹脂価格が上がると、つい高額部品や主要アセンブリから確認したくなる。 だが、BOM見直しではそれだけでは足りない。なぜなら、樹脂高騰局面で先に困るのは、必ずしも単価の高い部品ではなく、数量が多い部品、代替しにくい部品、欠品すると全体を止める部品だからである。実際、今回の石化供給混乱では、包装材、日用品、工業部材まで幅広い分野で不足や値上がりが起きており、標準材優先の流れが強まっている。
たとえば、1点あたり数十円〜数百円のプラスチックスペーサーやゴムパッキンでも、それが欠けると組立全体が止まることがある。逆に、単価が高くても共通材で代替しやすい部品は、影響を吸収できる場合がある。
つまりBOMを見るときは、
「高い部品から」ではなく、「止まる部品から」見る
のが正しい順番である。
まず見るべきBOMの場所:4つの重点ポイント
1. 使用量が多い樹脂・ゴム部品
BOMの中で1点あたりの単価は低くても、使用数が多ければ全体コストへの影響は大きい。特に、筐体、カバー、トレー、スペーサー、緩衝部材、簡易シールなど、量が積み上がるプラスチック・ゴム部品は、原料高騰の影響を受けやすい。
見直し基準:年間使用量 × 材料変動幅
2. 代替が効きにくい専用品
供給不安定な時期は、量産材や標準材が優先されるため、専用品は価格だけでなく納期面でも不利になりやすい。顧客指定の特殊樹脂、限定色・限定硬度の部品、特注ゴム配合などが該当します。
見直し基準:「高い部品」より先に「動かせない部品」を抽出
3. 欠品すると全体を止める小物部品
ゴムのシール部品、保護キャップ、樹脂ワッシャーなどは単価は低くても、1点欠けると出荷が止まる。Reutersはアジア各地でこうした小物部品を含む工業材の不足を報じています。
見直し基準:金額順ではなく「欠品時の停止影響順」
4. 複数機種で共通化されている部品
1機種の影響は小さくても、複数製品で横断的に使われていると、全体コストと供給リスクが一気に広がる。共通化は平時には効率的だが、有事には影響が全方位に広がります。
見直し基準:この部品は何機種で使っているか?
BOM見直しで同時に確認したい3つの要素
BOM見直しで同時に確認したい 1 在庫の薄い部品
BOM見直しでは、部品表に在庫週数を重ねて見る必要がある。日本政府は約4か月分相当の在庫確保見通しを示していますが、特定グレードや特注ゴム部品の自社在庫が薄ければ、影響はすぐに表面化します。 (経済産業省)
BOM見直しで同時に確認したい 2 代替材候補の有無
樹脂価格が上がったとき、BOM見直しで重要なのが代替余地。ゴムでなくTPEで成立しないか、一部を樹脂化できないか等の確認で対応の幅は大きく変わる。今後は「第二候補まで見えるBOM運用」が重要です。 (Reuters)
BOM見直しで同時に確認したい 3 調達先の偏り
1社依存、1国依存、1工法依存になっていないか。アジアのナフサ輸入がホルムズ海峡に依存していたため、各国で調達再設計が進んでいる。部品表は材料の一覧であると同時に、調達リスクの一覧でもあります。 (経済産業省)
BOM起点で進める、見直しの順番
まとめ
樹脂価格が上がったとき、まず見るべきなのは「高い部品」ではなく、BOMの中で影響が広がる部品である。具体的には、使用量が多いプラスチック・ゴム部品、代替が効きにくい専用品、欠品すると全体を止める小物部品、複数機種で共通化されている部品から見るべきである。
直近では、ホルムズ海峡経由の石化供給混乱でプラスチック価格が4年ぶり高値圏にあり、アジアではナフサ供給不安を背景に石化各社の減産や調達見直しも起きているため、こうした部品の優先管理がより重要になっています。 (Reuters)
在庫、代替材、調達先分散まで重ねて見ることで、BOMは単なる部品一覧ではなく、相場変動に強い調達設計の地図になる。今は「値上げに対応する」だけでなく、「どこから見直すか」を決めることが重要な局面である。
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