ものづくりプレス

2026-10-12

摺動部品の材料選定で失敗しないために|確認する4つの条件

摺動部品の摩耗が早く、交換の頻度が高い。材料を見直したいが、何を基準に選べばよいか分からない。摺動部品は相手材質との組み合わせで機能するため、単純に「硬い材料」を選べば解決するとは限りません。

この記事では、摺動部品の材料選定で確認する4つの条件を整理します。

作成者 中村(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年10月12日 最終更新日 2026年10月12日 本記事は2026年10月時点の情報です 読了時間 約8分

摺動部品の材料選定で、何を確認しますか?

相手材質、荷重と速度、潤滑の有無、そして使用環境の4つです。摩擦係数や耐摩耗性といった材料そのものの特性だけでなく、組み合わせ方も重要です。

確認点 内容 理由
相手材質金属・樹脂・ゴムなど組み合わせによって摩耗の進み方が変わる
荷重と速度かかる力と動く速さ摩擦熱の発生量に影響する
潤滑の有無オイル潤滑か無潤滑か無潤滑では自己潤滑性のある材料が候補になる
使用環境温度・粉じん・薬品の有無環境要因で劣化の進み方が変わる

摩擦熱も、材料選定で見落としやすい要因

荷重と速度が大きいほど、摺動面には摩擦熱が発生しやすくなります。熱によって材料の特性が変わることもあるため、動作条件から想定される発熱の程度もあわせて確認します。

相手材質との組み合わせで、摩耗の進み方が変わる

同じ材料でも、相手が金属か樹脂かによって摩耗の進み方は異なります。材料単体の特性だけでなく、実際に接する相手材質まで含めて検討することが実務的です。

出典:富士ゴム化成「切削加工・3Dプリント」ページ(精度が求められる用途の工法)(自社情報・2026年10月確認)。

ゴムと樹脂、どちらが摺動部品に向きますか?

一概には言えません。摺動条件、相手材質、求められる精度によって向き不向きが変わります。当社はゴムだけでなく樹脂部品も扱っており、用途に応じて両方の選択肢をご提案できます。

当社の公開情報では、切削加工と3Dプリントの適した用途を比較しています。

精度・強度耐久性が求められる機能部品、ギヤ、摺動部品には切削加工が向くとしています。

樹脂の摺動部品は、材料の選択肢が広い

樹脂は配合や種類が多く、摩擦係数や耐摩耗性に優れたグレードも選べます。当社は樹脂部品も扱っており、ゴムと樹脂のどちらが向くかを使用条件から一緒に検討します。

精度が求められる摺動部品は、切削加工が候補になる

摺動部品は相手材質とのすきまが機能に直結するため、精度が求められることが多い品目です。当社の公開情報では、こうした精度が求められる用途に切削加工が向くとしています。

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

材料選定は、どう進めますか?

使用条件の整理、候補の絞り込み、試作、実機評価の4段階です。摩耗が早いという症状からでも、この順で進められます。

摺動部品の材料選定を使用条件の整理から実機評価まで4段階で示す図 図1 摺動部品の材料選定の4段階 STEP 1 使用条件を整理 相手材質・荷重・ 速度・潤滑の有無 STEP 2 候補を絞る ゴム・樹脂両方の 候補を提示 STEP 3 試作 切削加工等で 製作 STEP 4 実機で評価 摩耗の進み方を 確認 使用条件が早い段階でそろっているほど、材料選定の精度が上がります。

前の部品の摩耗の仕方が、次の選定の材料になる

前の摺動部品がどこで摩耗したか、どのくらいの期間で交換していたかが分かれば、どの条件が厳しかったかを推定でき、次の材料選びに反映できます。

試作の目的を伝えると、提案がより具体的になる

摩耗の改善だけが目的なのか、精度の確認もあわせて行いたいのかによって、提案する進め方が変わります。目的をお伝えいただくと、必要な確認項目をご提案できます。

無潤滑か潤滑ありかで、候補が大きく変わる

潤滑油を使える環境か、無潤滑で使う環境かによって、適した材料の候補は大きく変わります。無潤滑の場合、自己潤滑性のある材料が候補になりやすい傾向があります。

出典:富士ゴム化成「お問い合わせ」ページ(見積り時に必要なもの)(自社情報・2026年10月確認)。

試作で確認した材料は、どう量産に活かしますか?

試作で確認した摩耗の進み方や使用条件への適合を、量産の検査基準に反映します。材料選定の根拠を記録しておくと、同種の部品を検討する際にも活かせます。

使用条件を整理した場合と材料名だけで選んだ場合の違いを対比した図 図2 使用条件を整理した場合と、材料名だけで選んだ場合 使用条件を整理した 材料名だけで選んだ 相手材質との相性を確認 潤滑条件に合う候補 摩耗の予測がしやすい 量産への引き継ぎが明確 相手材質との相性が不明 潤滑条件を見落としやすい 摩耗が想定と異なることも 量産での再現性が下がる 使用条件の整理は、摺動部品の材料選定を左右する要因です。 使用条件の情報が少ない場合と詳しい場合とで材料選定の精度が変わることを示す図 図3 条件の詳しさで、材料選定の精度が変わる 使用条件の情報が少ない 相手材質・荷重・速度・潤滑が判明 使用条件が詳しいほど、材料選定の精度が上がる。 情報が無い場合も、現品があれば現物調査から進められます。

設置環境も、材料選びに影響する

屋外で使う摺動部品は紫外線やオゾンの影響を受け、屋内でも薬品や粉じんに触れる環境では求められる耐性が変わります。使用条件の整理と並行して、設置環境の情報もお伝えいただくと検討がより具体的になります。

工場視察や監査で、試作の様子を確認できる

当社では必要に応じて工場視察や監査に対応しています。試作の工程や検査体制を現地でご確認いただくことも可能です。

同じ設備が社内に複数あれば、まとめて数える

摩耗する部品は交換頻度が高く、同じ設備が複数あれば予備も含めてまとめて検討すると効率的です。使用箇所を洗い出してみてください。

相見積もりでも、使用条件をそろえて出す

複数社に相談する場合、相手材質・荷重・速度・潤滑の有無を同じ内容で各社に伝えることが比較の前提になります。当社は相見積もりを歓迎しています。

段階的に進めたい場合も、相談できる

いきなり材料を決めるのではなく、まず試作で複数の候補を比較してから量産材料を決めたいというご相談にも対応しています。試作の段階で評価した条件は、そのまま量産の検査基準に引き継げます。

自社の摺動部品材料選定は、どこまで整理できていますか?

当てはまる項目が多いほど、依頼前に整理しておくと材料選定がスムーズになります。下のチェックは診断ではなく、4つの確認点のどれが未整理かを確かめるための整理です。個人情報の入力はありません。

摺動部品材料選定の準備チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個準備が整っています。現品と条件を送っていただければ検討に入れます。
2〜3個一部が未整理です。相手材質と潤滑の有無の確認から始めてください。
4〜6個整理から始める段階です。まず使用条件を書き出すことをおすすめします。

過去の交換履歴は、選定の精度を上げる

交換の頻度や、摩耗した部位の記録が残っていれば、材料選定の判断材料として活用できます。記録が無くても、分かる範囲の情報からご相談いただけます。

摺動部品の材料選定について、よくいただくご質問は?

ゴムと樹脂の使い分け、よくある失敗、現品からの判別、試作の工法、材質変更の伝え方についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

摺動部品は、ゴムと樹脂のどちらで作ればよいですか?
摺動条件や相手材質によって向き不向きが変わります。使用条件をうかがったうえで、ゴム・樹脂それぞれの候補をご提案します。

摺動部品の材料選定で、よくある失敗は何ですか?
摩擦係数や耐摩耗性だけを見て、相手材質との組み合わせを確認しないまま選んでしまうケースが多く見られます。相手材質の情報もあわせてうかがっています。

現品からでも、摺動部品の材料は分かりますか?
現品があれば、形状や摩耗の状態から手がかりが得られます。ただし正確な材質までは読み取れないため、使用条件から候補を絞り込みます。

摺動部品の試作は、どの工法が向きますか?
精度が求められる摺動部品には、当社の公開情報では切削加工が向くとしています。形状確認の段階では3Dプリントも選択肢になります。

摺動部品の材質を変更したい場合、何を伝えればよいですか?
変更理由、現在の症状、使用条件(相手材質・荷重・速度)の3つをお伝えください。

見積りを依頼するとき、何をそろえればよいですか?

図面(または現品)、使用条件、必要数量があれば話を始められます。すべてが決まっていない状態でも構いません。決まっていない項目は、決まっている条件から一緒に詰めていきます。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

摺動部品の材料選定を相談する

相手材質や潤滑条件が決まっていない段階でも構いません。分かる範囲の情報をお知らせいただければ、進め方をご提案します。

見積りを依頼する

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