ものづくりプレス

2026-09-16

含有調査の依頼が増えている|依頼側と受け側で整える4点

取引先から含有調査の依頼が届く。手元の資料では答えられず、材料メーカーに問い合わせて待つことになる。この往復が積み重なると、回答までの時間が読めなくなります。

この記事では、含有調査の依頼をやりとりするときに、依頼する側と受ける側の双方で整えておくと早い4点を整理します。

作成者 久保(富士ゴム化成株式会社) 会社情報

作成日 2026年9月16日 最終更新日 2026年9月16日 本記事は2026年8月時点の情報です 読了時間 約8分

含有調査の依頼は、なぜ増えているのですか?

規制対応の確認が、サプライチェーン全体に広がっているためです。当社でも2026年に入ってから、含有調査に関するご依頼が増えている感触があります。件数は公表していないため、傾向としてのご説明になります。

含有調査の依頼が速く回る場合と時間がかかる場合の条件を対比した図 図1 依頼がスムーズに進む場合と、止まる場合 速く回る 時間がかかる 何の規制かが明記されている 対象の品番が特定されている 回答の様式が指定されている 期限に余裕がある 規制の種類が書かれていない 対象があいまい 様式が毎回違う 材料メーカーへの照会が必要 往復の回数を減らすことが、回答を早くする最短の道です。

回答できる範囲は、材料メーカーからの情報で決まる

材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わっており、含有情報についても材料メーカーから得られる範囲での回答になります。この構造を共有しておくと、回答までの時間の見通しが立てやすくなります。

何の規制かが分かると、範囲が定まる

規制の種類によって、確認すべき物質も回答の様式も変わります。「含有調査をお願いします」だけでは、どこまで答えればよいかが決まりません。何に対する調査なのかを最初に書いていただくと、照会先も回答の形も一度で決まります。規制対応の実務はRoHS・REACH・TSCAの違いと実務手順でも整理しています。

出典:当社が2026年8月時点で受けているご相談の傾向(自社集計)。件数は公表していないため、傾向としてのみ記載しています。

依頼する側は、何を書けばよいですか?

規制の種類、対象の品番、回答の様式、期限の4つです。このうち1つでも欠けると、確認の往復が発生します。

書くこと 内容 欠けると起きること
規制の種類何に対する調査か確認すべき物質が定まらない
対象の品番どの部品か対象を絞る往復が発生する
回答の様式指定様式か自由書式か作り直しになる
期限いつまでに必要か優先順位がつけられない
用途何に使う情報か過不足のある回答になる

品番だけでなく、いつ納入したものかも書く

同じ品番でも、時期によって材料の調達先が変わっていることがあります。対象がいつ納入されたものかを添えていただくと、確認の精度が上がります。過去にさかのぼる調査ほど、この情報が効いてきます。

期限は「いつまでに」と「なぜ」を添える

提出先の締切があるのか、社内の監査があるのか。理由が分かると、優先順位のつけ方が変わります。材料メーカーへの照会が必要な場合、社内だけでは日程を詰められないためです。事情を共有していただけると、進め方を相談しやすくなります。

自社の依頼は、往復を減らせる状態ですか?

当てはまる項目が多いほど、確認の往復が発生しやすい状態です。下のチェックは診断ではなく、依頼の書き方を見直すための整理として使ってください。

含有調査の依頼チェック(6項目)

当てはまるものにチェックを入れてください。個人情報の入力はありません。

当てはまる数を数えて、下の早見表をご覧ください。

当てはまった数でみる読み取り方
当てはまる数読み取り方
0〜1個往復の少ない依頼です。そのままお送りいただければ確認に入れます。
2〜3個確認の往復が発生しやすい状態です。規制の種類と対象品番から埋めてください。
4〜6個整理が必要な状態です。何に対する調査で、どの部品が対象かを先に決めることをおすすめします。

新規の部品では、どう進めるとよいですか?

設計の段階で規制対応の要否を共有していただくのが早道です。後から調査するより、最初から前提に入れて材料を選ぶほうが手戻りが少なくなります。

新規部品で規制対応を設計段階から織り込む流れを4段階で示す図 図2 設計段階から規制対応を織り込む STEP 1 要否を共有 どの規制の 対象になるか STEP 2 材料を絞る 条件と規制の 両方から STEP 3 試作で確かめる 形状と機能を 評価 STEP 4 記録を残す 次の調査で 再利用できる 最初に織り込んでおけば、後から調べ直す手間が減ります。

一度そろえた情報は、次にも使える

調査に答えるために集めた情報は、社内に残しておいてください。同じ部品について次に依頼が来たとき、ゼロから集め直さずに済みます。品番、材料、確認した時期の3つをそろえて保管しておくのが基本です。確認した時期が分かれば、いつ更新すべきかも判断できます。

材料を変えるときは、調査もやり直しになる

材料を切り替えると、含有情報も変わります。コスト低減や供給の都合で材料を変える場合、規制対応の再確認が必要になることを見込んでおいてください。同等品への切り替えで気をつける点は同等品切替で品質が崩れる理由でも整理しています。

材料の選定と、どう関係しますか?

規制対応が前提にあると、選べる材料が絞られます。使用条件からの絞り込みと、規制からの絞り込みを同時に行うことになります。

略号 名称 特徴
NBRニトリルゴム最も一般的な材料。耐油性や耐摩耗性が良い反面、耐候性は良くない
HNBR水素化ニトリルゴムNBRの耐候性や耐熱性を改良したグレード。耐寒性やコスト面ではNBRに劣る
CRクロロプレンゴム機械的強度や耐候性、難燃性に優れ、自己消化性のあるバランスの良いゴム
FKMフッ素ゴム耐熱性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性に優れる。耐寒性が低く、有機酸・ケトン・エステル・アミン系に耐性がない
VMQシリコーンゴム優れた耐熱性・耐オゾン性・耐寒性を持ち、生理不活性でもある

なお、ゴムは同じ材質名でも配合によって成形のしやすさが変わり、材質によって収縮率も異なるため、公差の考え方は品物ごとに決めていく必要があります。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わり、材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。そのため材質名のご指定だけでなく、使用条件(温度・接触するもの・圧力・使用時間)もあわせてうかがっています。

依頼に含まれる情報が少ない場合と多い場合で、回答までの往復が変わることを示す図 図3 情報がそろうほど、回答は速くなる 規制名だけ 4項目がそろう 規制名だけでは対象が絞れない。品番・様式・期限までそろうと、往復せずに進む。 4項目は規制の種類・対象品番・回答様式・期限です。用途も添えるとさらに精度が上がります。

同じ調査を何度も出さないための管理

社内の複数の部署から、同じ部品について別々に調査依頼が出ることがあります。受ける側から見ると同じ作業の繰り返しですが、依頼する側は前回のやりとりを知らないまま出しています。過去の調査結果を社内で共有できる場所にまとめておくと、この重複がなくなります。

回答の様式は、できるだけそろえる

提出先ごとに様式が違うと、そのつど作り直すことになります。社内で使う様式を1つ決めておき、提出時にそこから転記する形にすると、確認の手間が減ります。様式が指定されている場合は、依頼の時点で添付していただけると助かります。記入例が1件あるだけでも、初回の往復が減ります。

含有調査について、よくいただくご質問は?

依頼の増加、調査の対象、回答できる範囲、期間についてのご質問が多く寄せられます。実際にいただくことの多い5つをまとめました。

含有調査の依頼は増えていますか?
当社では2026年に入ってから、含有調査に関するご依頼が増えている感触があります。件数は公表していないため、傾向としてのご説明になります。

調査の対象は何ですか?
規制の種類によって対象が変わります。何の規制に対する調査なのかを最初にお知らせいただくと、回答の範囲が定まります。

材料の情報はどこまで出せますか?
材料の配合そのものは材料メーカーの領域です。当社は用途に合う材料を選ぶ立場で関わるため、回答できる範囲は材料メーカーから得られる情報によって決まります。

回答にはどのくらいかかりますか?
対象の規制と品目数によって変わります。材料メーカーへの照会が必要になるため、社内だけで完結しないことが多い部分です。

新規の部品でも調査に対応してもらえますか?
設計の段階で規制対応の要否をお知らせいただければ、それを前提に材料を選定できます。後から調査するより手戻りが少なくなります。

相談するとき、何をそろえればよいですか?

規制の種類、対象の品番、回答様式と期限があれば確認に入れます。新規部品の設計段階からのご相談も承っています。

そろえるもの 内容 無い場合
図面寸法や形状が分かるもの現品があれば現品で代替できます
仕様・用途どこに使い、何を止めるか使用条件を口頭でうかがいます
数量今回必要な数と年間見込み概算でかまいません
材料・材質ご希望の材質があれば使用条件から候補をご提案します

なお、規制そのものの解釈や適合の判断は、最終的にご依頼者側と規制当局の関係で決まります。当社は材料に関して回答できる範囲の情報をお出しする立場です。

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