ものづくりプレス

2025-01-16

多機能なゴムの優れた選択肢: ニトリルゴムの工業的利用

ゴム素材は、さまざまな特性を持つため、現代の工業製品や機械部品に欠かせない存在となっています。

その中でも特に注目されるのが、ニトリルゴム(NBR)です。

耐油性や耐摩耗性、そして耐熱性に優れるこの素材は、過酷な環境下での使用が求められるシールやホース、ベルトなどの製品で広く利用されています。

さらに、ニトリルゴムは配合を調整することで特性をカスタマイズできるため、さまざまな産業分野におけるニーズに対応する柔軟性も備えています。

本記事では、ニトリルゴムの基本的な特性や工業分野での具体的な利用例を詳しく解説し、その多機能性がどのように産業の進化を支えているかに迫ります。

多機能なゴムの優れた選択肢: ニトリルゴムの工業的利用

1.ニトリルゴムの概要

ニトリルゴム(NBR)は、アクリロニトリル(ACN)とブタジエンを共重合させた合成ゴムで、優れた耐油性や耐摩耗性を持つことで知られています。

この特性により、特に油や燃料、化学薬品に接する環境での使用が求められる製品で広く採用されています。

以下は、ニトリルゴムの主な特徴とその背景です。

1.1 ニトリルゴムの特性

ニトリルゴムは、その特性において多機能であり、工業用途に幅広く応用されています。このゴムは主に以下の特性で知られています。


耐油性: ニトリルゴムは油や燃料との接触に対して非常に耐性があります。

そのため、機械部品やエンジンのシールなどの油圧システムで広く使用されています。

これは、産業機械や自動車業界での多くのアプリケーションにおいて必要な特性です。

耐磨耗性: ニトリルゴムは耐摩耗性に優れており、パッキングやシールとしての使用に適しています。

なお、パッキングの種類には摺動と固定があり、水道用の固定などはEPの方が一般的です。

この特性により、装置や機械の部品が長期間にわたって効果的に機能することが可能となります。

1.2 耐油性と耐薬品性

ニトリルゴムの耐油性と耐薬品性は、多くの産業において大きな利点となっています。

例えば、自動車産業ではエンジン部品のシールとして使用され、燃料や潤滑油に対する耐性が評価されています。

また、石油精製業界でも、化学薬品に対する耐性が高いため、配管やバルブのシール材として広く採用されています。

しかし、耐薬品性はフッ素ゴム(FKM)やエチレンプロピレンゴム(EPDM)の方が高いです。

2.産業への応用

2.1 シールとパッキング

ニトリルゴムは、シールやパッキング材料として幅広く使用されています。例えば、機械部品のシールリングや油圧システムのシールとして利用され、油や液体の漏れを防ぐ役割を果たします。これは、工業機械、自動車、農業機械などの分野で非常に重要です。その耐油性と耐摩耗性が、耐久性と信頼性を提供します。

2.2 手袋と保護具

ニトリルゴムは医療、食品産業、化学工業などで使われる手袋や保護具の材料として重要な役割を果たします。これらの用途では、化学物質や病原体からの保護が求められ、同時に手袋の耐久性が必要です。ニトリルゴムはこれらの要件を満たすために広く使用され、衛生的な環境での安全性を確保します。食品用に使用される手袋は主にポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ニトリル、天然ゴムになります。

3.ニトリルゴムの市場展望

ニトリルゴムの市場は成長が期待されています。特に医療機器製造、化学産業、農業、食品加工などの分野で需要が増加しています。この成長傾向は、ニトリルゴムの多機能性と耐性がさまざまな用途に適しているためです。将来においても、さらなるニトリルゴム製品の開発と需要の増加が予測されます。

4.まとめ

ニトリルゴムは耐油性、耐磨耗性などの特性により、多くの工業分野で不可欠な素材となっています。シール、パッキング、手袋、保護具などの多くの用途で幅広く利用され、工業プロセスの効率性、耐久性、および安全性に貢献しています。将来的には、さらなる産業での利用が期待され、市場展望も明るいものとなっています。

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