ものづくりプレス

2024-03-14

改正食品衛生法とは?PL制度についても説明します!

【目次】

◆食品衛生法とは ◆食品衛生法の改正 ◆改正食品衛生法の目的 ◆PL制度

食品の容器

◆食品衛生法とは

食品衛生法は消費者の健康を守るために安全な食品の提供を確保することを目的として制定され、食品の製造、加工、販売、輸送などに関する基準や規制を定めるものです。 食品の製造過程での衛生管理・原材料や添加物の規制・表示や広告の規制・輸入食品の検査などさまざまな側面で規定を設けています。また、食品を取り扱う専門業者や施設等に対しても、安全な食品を提供するための衛生管理の義務や検査・監視の義務を定めました。 食品に関連する法律として、食品安全基本法や食品表示法などが他にも挙げられますが、食品の衛生管理を徹底を明文化した食品衛生法は、食品業界や消費者にとって極めて重要な法律だと言えます。

◆食品衛生法の改正

食品衛生法は2003年以来15年ぶりに2018年6月に改正されました。HACCPの制度化や食品リコールの報告義務化、健康食品の規制強化など、大きな見直しが行われました。

以下に、その詳細をご説明します!

□改正の背景


食品衛生法が改正された背景には、「食品の安全を取りまく環境の大きな変化と、国際化に沿う流れ」が背景にあります。 国際化の進行や時代の変化に伴い世帯構造が変化し、消費者の食に対する意識が変化しました。例えば少子高齢化が進んだことや働き方が多様化したことで、調理済み加工食品や外食、中食へのニーズが増加し、健康志向の高まりとともに健康食品の利用も広がっています。

□終わらない健康問題


現在でも、食中毒や異物混入、健康食品による健康被害といった食の安全を脅かす問題は後を絶たず、食の安心・安全はさらに問題視される傾向にあります。 2018年の日本では、国内の食品等事業者の衛生管理の手法や、食品用器具・容器包装の衛生規制の整備など、国際標準から遅れている部分がありました。食品衛生法改正は、2年後に控えた東京オリンピック・パラリンピックに対して、これらを国際標準まで高めていく動きであったと言えます。

□主な変更点


主な変更点は以下の7項目になります。


1.広域におよぶ「食中毒」への対策を強化

2.原則すべての事業者に「HACCPに沿った衛生管理」を制度化

3.特定の食品による「健康被害情報の届出」を義務化

4.「食品用器具・食品包装」にポジティブリスト制度導入

5.「営業届出制度」の創設と「営業許可制度」の見直し

6.食品の「リコール情報」は行政への報告を義務化

7.「輸出入」食品の安全証明の充実

◆改正食品衛生法の目的

このような背景から、改正食品衛生法は食品の製造・販売における責任の所在を明確化し、消費者の健康と安全を保護することを目的として制定されました。製品に欠陥があった場合や安全性に問題が生じた場合、製造業者や販売業者が責任を負い、適切な補償を行うことを義務付けたことで、より食品衛生に対する基準値の向上が見込まれています。


実際に食品業界は品質管理や安全性確保に対する意識が高まり、消費者に安心して食品を購入・摂取できる環境が整備されました。また、製造業者や販売業者も製品の品質管理に一層の努力を払うことが促進され、食品安全の向上に貢献しています。

◆PL制度

PL制度(ポジティブリスト制度)とは、食品産業における規制と品質管理の向上を促進するための制度のことで、改正食品衛生法の制定に伴い導入されました。 この制度は、食品製造業者に対して、食品製品に許可された特定の成分や添加物、化学物質、またはプロセスを明示的にリスト化することを要求します。何が許可されている物質かを具体的にリストアップし、それ以外の成分や物質の使用を制限または禁止することで安全性を確保するアプローチです。

□「ネガティブリスト制度」からの進化

PL制度(ポジティブリスト制度)が導入される前、日本の残留農薬に関する規制にはネガティブリスト制度が導入されていました。

ネガティブリスト制度では特定の有害成分や添加物のみがリスト化され、規制されていました。つまり、ネガティブリスト制度は何が禁止されているかを具体的にリストアップする方式であり、それ以外の成分や物質の使用は許可されていました。


この方式は、新しい成分や添加物の導入が遅れ規制プロセスが煩雑で時間を要するだけでなく、新しい科学的情報が得られた場合既存のリストを更新することが難しかったため、安全性に関する最新の知見を反映することが困難でした。

□ポジティブリスト制度の対象となる合成樹脂

ポジティブリストの対象となる物質の一つに合成樹脂があります。これは、合成樹脂が様々な容器包装に使用されており、公衆衛生への影響が大きいことや諸外国においてもポジティブリストの対象となっていることがあります。


アメリカや一部のEU加盟国においては、合成樹脂と同様にゴムもポジティブリストの対象となっています。

一方、日本においてはゴムは熱可塑性がない弾性体として合成樹脂と区別されており、現段階ではシリコーンゴムなどの物質はポジティブリストの対象外とされています。

□ポジティブリスト制度のメリット

禁止物質を明示したネガティブリスト制度と違い、何が許可されている物質かを具体的にリストアップしたPL法(ポジティブリスト制度)は、指定以外の成分や物質の使用を制限しています。では、PL法(ポジティブリスト制度)ボ導入によって何が変わるのでしょうか?下記にメリットを紹介させていただきます。

・透明性

食品製造業者が製品に使用できる成分や添加物が明確に定義され、規制順守が容易になります。


・安全性と品質

科学的に検証され、許可された成分や添加物だけが使用されることで、一貫性のある高品質な製品が提供されます。


・効率性

新しい成分の安全性評価や規制プロセスが迅速に行うことが出来ます。


このように、PL制度(ポジティブリスト制度)は、消費者と企業双方に利益があるといえます。製品の信頼性を高め、安全性を確保した新しい制度により、食品業界はより迅速に変化に対応していくことが求められます。


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