ものづくりプレス

2024-03-18

ゴムの国際会議から見る昨今のゴムの生産事情とは?

国際ゴム会議(International Rubber Conference , IRC)は国際ゴム会議委員会(IRA)によって開催される会議であり、この会議では世界中のゴム産業に関わる専門家や関係者が集まり、ゴムの生産、需要、価格、技術、環境、持続可能性などについて議論します。


本記事では、国際ゴム会議から世界のゴムの生産事情を見ていきましょう。

国際会議

■国際ゴム技術会議(IRC)とは

国際ゴム会議とは、国際ゴム会議委員会によって開催される国際会議です。
この会議では、ゴム生産に関する最新技術の発表が数100件行われます。

◇国際ゴム会議委員会とは

国際ゴム会議委員会は1971年に創立された天然ゴム取引にかかる契約条件の統一と国際取引に関する諸問題につき討議することを目的に設立された国際的民間団体です。


日本からは、当協会、日本ゴム工業会、東京工業品取引所、中部大阪商品取引所の4団体が参加しており、決議機関の総会は隔年、執行機関の常任委員会が毎年開催され、実務的問題が常任委員団体の専門家によって検討される。

■国際ゴム技術会議で発表される内容例

◇新しい評価および試験方法

・新しい評価方法の開発
ゴム製品の品質を評価するための新しい方法や基準の開発が行われているかもしれません。これには、耐久性、強度、柔軟性、耐候性などの特性を評価するための新しいテスト手法や評価基準が含まれます。


・試験方法の改善
既存の試験方法の改善や効率化が行われる場合があります。これにより、ゴム製品の品質管理が向上し、製品の安全性や信頼性が確保されます。


・新素材の評価
新しいゴム素材や合成材料の評価方法や特性試験が開発される可能性があります。これにより、より持続可能で効率的な素材の採用が促進されます。


・国際標準の策定
ゴム製品の評価や試験方法に関する国際標準の策定が行われる場合があります。これにより、異なる国や地域での製品の品質を比較しやすくなり、国際的な取引や規制への適合が容易になります。

◇ゴムの構造と特性

・ナノスケールでの解析
ゴムの構造をナノスケールで詳細に解析することで、その特性や挙動を理解する研究が行われています。これにより、ゴムの弾性や強度、耐久性などの特性を向上させる新しい材料設計が可能になる可能性があります。


・自己修復性の向上
自己修復性は、ゴム製品の耐久性を向上させるための重要な特性です。最近の研究では、ゴム材料の自己修復機能を向上させるための新しい方法や材料が開発されています。これにより、ゴム製品の寿命を延ばすことができます。


・持続可能性への取り組み
ゴムの生産と使用に伴う環境負荷を軽減するための研究が行われています。例えば、再生ゴムや植物由来のゴムなど、より持続可能な原料や製造プロセスの開発が進んでいます。また、ゴム製品のリサイクルや廃棄物削減に関する研究も行われています。


・新しい応用分野への展開
ゴムの特性を活かした新しい応用分野への展開も進んでいます。例えば、ゴムナノ粒子を利用した医療用材料やセンサー、ゴムの特性を活かした新しいエネルギー変換デバイスなどが研究されています。

◇実用ゴムの電気性能

・絶縁性
ゴムは通常、良好な絶縁体として機能します。電気を伝導する能力が低いため、電気的に絶縁された状態を維持します。


・耐電圧性
ゴムは通常、高い耐電圧性を示します。このため、電気絶縁体としての要件を満たすことができます。


・耐摩耗性
ゴムは通常、耐摩耗性が高い特性を持ちます。このため、長期間にわたって絶縁性を維持することができます。


・耐油性
ゴムは油に対して一般的に耐性があります。これは、多くの実用ゴムが潤滑油や他の油性物質と接触する状況下でも電気特性が損なわれないことを意味します。


・耐熱性
ゴムは一般的に耐熱性が高い特性を持ちます。これにより、高温環境下でも絶縁性能を維持できます。
本記事では国際ゴム技術会議の内容を簡略化した形でご紹介しましたが、実際にはより専門的な技術発表が行われています。

◇ゴムのリサイクルと生態系への影響

・リサイクル
タイヤリサイクル: 使用済みタイヤはリサイクルや再利用が行われます。リサイクルされたタイヤは、舗装材料や遊具、エネルギー生産などに利用されます。
その他のゴム製品リサイクル: ゴム製品全般についてもリサイクルが行われており、使用済みのゴム製品から新しい製品や素材を作ることができます。例えば、ゴム粉末や再生ゴムは、新しいゴム製品や舗装材料、人工芝などの製造に使用されます。


・生態への影響
廃棄物処理の問題: 使用済みのゴム製品は環境に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、タイヤの廃棄物は廃棄物処理の問題を引き起こすことがあります。タイヤの不適切な廃棄は、地域の美観や生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。
リサイクルの貢献: ゴム製品のリサイクルは、廃棄物の削減や資源の再利用に貢献します。リサイクルされたゴム製品は新たな製品や素材として再利用されることで、新たなゴムの原料としての需要を減少させ、自然資源の節約につながります。

■まとめ

国際ゴム会議(IRC)は、国際ゴム会議委員会(IRA)によって開催される重要なイベントです。世界中のゴム産業に関わる専門家や関係者が集まり、ゴムの生産事情について議論します。
この会議では、ゴム技術の最新情報や革新的な取り組みが発表され、ゴム産業の発展に向けた方向性が示されます。
国際ゴム会議は、世界中のゴム産業における最新の動向を把握し、産業全体の発展に貢献する重要な場として位置付けられています。


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