ものづくりプレス

2024-08-16

フッ素ゴムとは

ゴム素材の代表格の一つであるフッ素ゴム。

名前は聞いたことがあっても、どんな性質のゴム素材か、知らない方もいるかもしれません。

この記事では、フッ素ゴムの性質について詳しく説明した後、どんな用途で主に使用されているかご説明します!

フッ素ゴム

フッ素ゴムはどうやってできている?

フッ素ゴムは、蛍石から得た無水フッ酸を使用し、クロロアルカンをフッ素化して作られるクロロフルオロカーボン(CFC)やハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を原料にして合成される含フッ素オレフィンから製造されます。 これらの含フッ素オレフィンとエチレン、プロピレンを共重合することで作られ、加硫にはポリオール加硫、ポリアミン加硫、パーオキサイド加硫の三種類があります。 重合は主に乳化重合が用いられますが、含フッ素オレフィンは常温で気体のため、水を入れた重合槽に圧入し、加圧下で開始剤を添加して反応を進めます。




フッ素ゴムの特徴とは?



そんなフッ素ゴム(FKM)は、その優れた耐熱性、耐薬品性、耐油性から、過酷な条件でも耐える素材として自動車部品、化学プラント、半導体製造機器、一般産業機器など 幅広い分野で使用されているゴム素材です。


フッ素ゴム(FKM)の耐熱性と耐薬品性が優れている理由は以下の2点です。

・C-F結合はC-H結合よりも結合エネルギーが高く、切れにくいこと。

・フッ素原子の大きな半径により、C-F結合がC-C結合を覆い、熱や薬品がC-C結合に届きにくいこと。


また、そのほかにも、フッ素ゴムは以下のような特徴を持っています。


◎長所

C-F結合のおかげで、耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐水性が非常に高いです。 他のゴムでは耐熱性を高めるために老化防止剤を加える必要があるが、フッ素ゴムではそれが不要で、抽出物が少なく、汚染を嫌う用途にも適しています。



◎短所

高いガラス転移温度により、耐寒性が不十分です。 強アルカリやケトン、エステル系溶剤への耐性が低いです。 また、高コストで、比重が大きいため、全体的に高価になります。


フッ素ゴム(FKM)の主な用途

フッ素ゴムの持つ耐熱性、耐油性、耐薬品性はほかのゴムに対して卓越しています。 そのため、高温かつ耐油性が求められる自動車のエンジン部品や耐薬品性をいかした化学分野、医療分野での利用が特徴的です。


使用される分野

自動車部品(7割程度)

燃料ホース・Oリング・エンジン・耐熱耐薬品用シール部品


化学・半導体用途

半導体製造装置シール材・化学プラント用メカニカルシール・手袋


医療機器部品

内視鏡チューブ


住宅用品

水回りパッキン


などで使用されています。

まとめ

以下がでしたか?フッ素ゴムはその耐熱性などから、身近な部品にも使われています。

身の回りに目を向けてみると、フッ素ゴム以外にも様々なゴム素材が使用されていることが分かります。

ゴム素材を活用する際は、用途に合わせた最適なものを選びましょう!

ゴムに関するお困りごとは、ご気軽にお問い合わせください。


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